第303話精霊さん?

「いっちょいくでしゅか?」


「ぷゆゆゆゆん」


「主、今回はウイリアムが慌てている。本当の友達になっていないのだ。このスライムは連れて行かない方がいい」


 スライムさんに行ってきます言いに来たら、スライムさんが一緒に行くって言いました。僕も一緒嬉しいけど、でもマシロがダメだって。エシェットは良いって言って、ルトブルはどっちでも良い。みんなは一緒が良いって。

 う~ん。お母さんかお父さんに聞かないとダメダメです。


「え? 一緒に行くって言ってるのか?」


 お父さんのお部屋に行って、お出かけの準備してるお父さんとお母さんにスライムさんのお話します。


「今回はどうなるか、私にも分からないからな。今回はお家で待っててもらいなさい」


「そうねぇ、王様にもいろいろお話することがあるし、すぐには帰って来れないかもしれないし。友達になっていないのに、街で一緒に歩いていたら、怒られてしまうかもしれないわ。それにもし迷子になっちゃったら大変でしょう」


 迷子!? 迷子はダメダメです。でもボルフィス行ったことあるのに迷子になっちゃうの? 僕1人だと迷子になっちゃうけど、マシロ達がいれば大丈夫なのに。でも迷子になってスライムさんが泣いちゃうのはヤダなぁ。

 

 マシロがスライムさんにお家でお留守番してろって言ったら、スライムさんしょんぼりです。僕はスライムさんの頭なでなでして、お土産たくさんだよってお約束しました。僕達が帰ってくるまで、僕のお部屋とかお遊びのお部屋で遊んで良いからね。でも溶かしちゃダメだよ。


 スライムさん僕のお部屋で待ってるからねって言って、僕のお部屋に行きます。そうだ、僕の大好きなぬいぐるみも一緒にいると良いよ。ディルやリュカ達そっくりのぬいぐるみ。

 スライムさんがベッドに乗っかって、周りにぬいぐるみ置いてあげます。そしたらお友達になったらスライムさんのぬいぐるみも作ってって。うん! お友達になったらぬいぐるみアシェルに作って貰おうね。


 もう1回スライムさんに行ってきますして、玄関ホールに行きます。お兄ちゃんとサルバドールさん達がもういました。

 サルバドールさんがエシェットとシャーナに今は絶対喧嘩しないようにって、お父さん達が来るまでずっと言ってたの。エシェットは嫌なお顔のまんま、シャーナはもっと嫌なお顔です。みんな仲良くだよ。


「お待たせして申し訳ありません」


「いや、こちらが急にきたのだから気にするな。もう良いのか?」


「はい」


 ボリフィスに行くのは、お父さんお母さんとお兄ちゃん達、それから僕達とじぃじ達とアシェルとアメリアです。アメリアとお出かけ嬉しいなぁ。だっていつもアメリアお留守番なんだもん。僕嬉しくてニコニコです。


 くろにゃんが黒い丸を出して、みんなでぞろぞろその中に入ります。僕はマシロに乗っかって中に入って、着いたのは僕達がボルフィスのお城でお泊りしたことのあるお部屋でした。

 持ってきた荷物をお部屋にみんな置いて、サルバドールさんがこのお部屋と隣のお部屋とその隣のお部屋が僕達の泊まるお部屋だって、それからアシェルとアメリアとジュード達が泊まるお部屋は別の所。


 荷物はお城のメイドさんと使用人さん達が片付けてくれるから、僕達はすぐに王様のいるお部屋に行きました。最初にサルバドールさんがお部屋に入って、次にじぃじとお父さん。それからばぁばとお母さん達が入ってお兄ちゃん達でしょう、あとは…ばらばら! 入ってすぐ王様じぃじに、こんにちわのご挨拶です。

 ご挨拶終わったら


「こんにちわ!!」


「良く来たのう。元気にしておったか」


 ご挨拶してお顔あげたら、王様じぃじの隣に女の人が3人立ってます。ひらひらなお洋服着てて、良く見たら立ってるんじゃなくて浮いてるの。僕じぃ~て女の人達見ます。そしたらキミル達があっ! って言いました。それから女の人達の周りをぐるぐる回って戻ってきました。


「ユーキ、精霊。あの人達精霊」


 ってシルフィーが言いました。ん? 精霊? 女の人だよ。浮いてるけど。精霊ってシルフィーみたいに可愛いワンちゃんの姿だったり、キミル達みたいに妖精さんみたいな子が精霊さんでしょう?

 僕がそう言ったら、女の人達がクスクス笑いました。


「まさか精霊がこんなに人の近くにいるなんてね。しかもその小さくて可愛い男の子と契約してるみたいだし。きっとよっぽど波長があってるのね」


 女の人達が僕の方に飛んできて、さっきのキミル達みたいに僕の周りをグルグル回ってから、僕にこんにちわして自己紹介してくれました。

 薄い茶色と緑のちょっとキラキラで、ひらひらのお洋服着てる人は大地の精霊さん。お名前はレシーナ。

 薄い緑色とオレンジ色の、おんなじお洋服着てる人は木の精霊さんで、お名前はキャロライン。

 薄い緑色と水色の、おんなじお洋服着てる人は水の精霊さん。お名前はクレア。


 クレア達の自己紹介聞いてお父さん達が固まりました。


「あなたのお名前は?」


「ユーキでしゅ!! よろちくでしゅう!」


「よろしくねユーキ」


 僕達とお兄ちゃんはご挨拶が終わったら、お部屋の準備はまだできてないから、別のお部屋に行って、お父さん達のお話が終わるまで待ちました。

 ルーベンお兄ちゃん達居ないのかな?


      *********


「はっ?」


 父さんがそう言って固まった。私も思わず声を出しそうになったが止まり、大地の精霊レシーナに聞き返してしまった。


「森を作った? 2つ?」


「ええ。とっても楽しい森よ」


 レシーナは自分たちが作った森について詳しく話し始めた。そしてその内容に愕然とする。1つは冒険者達が力を競えるような、そしてかなりの難易度の冒険ができる森、もう1つは小さな子供達が笑顔になれる、そしてちょっとした冒険ができる森だというのだ。しかもその規模はどちらもかなりの規模で、簡単には攻略ができない森らしい。


 国王陛下によると、数日前突然彼女達が現れ、自分たちが精霊だと名乗ると、この国の近くに新しい森を作ったから、住民や他の街に森のことを伝えてほしいと、今私達に説明した通りの内容を話してきたらしい。

 慌てて殿下とシャーナが調べに行けば、言われた通り森が2つできていた。その森を見てシャーナが、昨日の魔力の爆発はこの森ができた時の魔力の爆発だったのねと。


 新しい森ができたとなれば、どれくらいのレベルの人間が森に入っても大丈夫か確認する必要がある。

 しかしレシーナ達によれば、子供の方は子供が入れるだけあって、その辺の大人が調べて大丈夫ということだった。が、もう1つの森は、生半可な力の持ち主では調べられないと言われ、これはどうしたものかと考えていたら、私の所にいるエシェット達のことを思い出し、すぐに手紙で呼ぼうとした、ということだった。


 が、手紙で呼び出したのでは時間がかかり、もしその間に誰かが森に入り何かあれば困ると。

 そこで殿下とシャーナが夜にドラゴンに戻り森の上を飛び、明るいうちは歩くというのを繰り返してカージナルまで来たそうだ。シャーナが飛んでくれたおかげで、何日も早くカージナルにつく事ができた。


「ウイリアムお主の所には、エシェットやモリオン、そして人間で言ってもハロルド達やアシェルがいるであろう。それからオリバー達もおる。森の力を測るにはちょうど良いと考えたんじゃ」


 確かにこういう調査をするには、私達の所はちょうど良いかもしれない。


「それにのう、精霊との話となれば、彼らがいてくれた方が良いと思ったのじゃ。ユーキもおるでの」


 ユーキか…。おそらく今精霊と契約している人間はユーキだけだろう。我々のように隠していればわからないが。

 その前にこれだけたくさんの精霊が、我々の近くにいる事自体がおかしいのだ。


 ユーキの名前が出た瞬間、今までニコニコしていたレシーナ達がさらにニコニコに。


「あの小さい子。ユーキだったわね。ユーキもきっと気にいるわよ。子供が楽しく遊べる森を作ったんだから。あなたもあの森を確認すれば良く分かるはずよ。それでリチャード、確認にはいつから来る? 早い方が良いのでしょう? 明日からなんてどう? 最初は大人の方の森にいる魔獣達には襲わないように言ってあるから安心して確認に来て」


 勝手にどんどん決めてしまうレシーナ。移動は任せてと。どうやらくろにゃんやモリオンのように移動ができるらしい。


「楽しみだわぁ、ねぇ~」


「ええ、楽しみですね」


「ああ、久しぶりにワクワクしてるぜ」


 レシーナ達が楽しいと言っている、子供専用の森にユーキ達が行ったらどうなることやら。


 そして3日かけて森を調査したのち、子供の方は本当に、子供達のことを考えた森になっている事が確認できた。そして大人の方は…。

 森の中腹まではそこそこの腕のある冒険者達なら大丈夫だろうと、しかしそれ以上奥へ行くには、かなり腕に自信のある者か、上級クラスの冒険者そして騎士しか入っていけないという結論に至った。


 後日、国王がいろいろな街に知らせを出し、聞きつけた者達が森の攻略へと集まって来ることとなった。

 新しい森と言うことでかなり話題になり、街は大盛り上がりだったが、その盛り上がりの中にユーキ達もいたことは言うまでもない。

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