第301話動き出した計画

(レシーナ)

「ここら辺が良いわね。広いし森の2つだったら十分に大きな森が作れるわ。それに…」


 あそこの見えるのは確かボルフィスだったわよね。お城があってかなり大きな街だったはず。あそこからここまでだったら、ここまで来るのにそんなに時間もかからないし、何より人が多いから来てくれる人も多いはず。

 うん! やっぱりここに決定!


 決まったとなれば、早速2人に連絡しなきゃ。完璧な森を作るのに2日もあれば十分よね。後は小鳥がみんなに声をかけてくれてるはずだし。完成が近づいたら、お城に行って森のこと伝えて。

 そういえば今の国王って誰なのかしら? 前にあった国王はいつのときの国王だった? 確かひ孫が生まれたとかなんとか。名前は確かリチャード? まぁ行けば分かる事よね。


 さぁ、戻りましょう。

 森に戻ったのは、私が場所を探しに行ってから2日目。森についてすぐにキャロラインとクレアの所へ向かったわ。だって早く完成させたいんだもの。もう楽しみでしょうがないのよ。

 あっ、居た! 良かったちょうど2人とも一緒にいるわ。


「キャロライン! クレア!」


「あらレシーナどうしたの? 何か良いことでもあった?」


「なんだ何だ? 面白いことでもあるのか?」


「あなた達に相談があるのよ。もう場所は決めてきたのだけど」


 私はこれからのことを2人に相談したわ。そうしたら2人とも私の考えに賛同してくれて、すぐにこれからの相談に移る事ができたの。


「まず、大人の方だけれど」


「そっちはここみたいで良いんじゃないか? それから少しレベルを上げるとか。宝箱はまだたくさん残ってるんだろう? すぐに手に入ったらすぐに宝箱がなくなって、面白くないって言って、また来なくなると行けないからな」


 確かにそうね。簡単に全てが手に入るようじゃ、すぐに飽きられてまた来なくなってしまうかも。


「私から良い案があるのだけれど」


 キャロラインが良い考えを教えてくれたの。宝箱や、珍しい物を報酬とするにならば、その場所にはそれ相応の力を持っている魔獣を配置したらって。小鳥がいろいろな魔獣に声をかけてくれているし、これから私もあの人達に声をかけに行くし、闘いたくてウズウズしている子達もいるから、力を合わせて宝箱を守ってもらいましょう。

 ここの森は本当に自由にみんなが来て、たまたま宝箱を見つけるとか、たまたま1回も魔獣に出会わずに宝箱を見つけたとか、ちょっとレベルが低かったものね。うん。キャロラインの考えを採用しましょう。大人の方はこれで良いわね。


 さぁ、次は子供達の方よ。こっちは楽しい森にして、子供達の笑い声が溢れる森にしなくちゃ。

 魔獣はみんなが仲良く遊べる魔獣達を用意して、可愛いお花に綺麗な湖に、後は洞窟も用意しなくちゃ。洞窟の中では、綺麗な石とか用意してあげれば良いかしら。


「なぁなぁ、そっちのことでオレに考えがあるんだけど」


 今度はクレアが何か良い考えがあるみたい。


「子供だって冒険したいだろう? なら例えば人体に影響がないくらいの毒しか持たない花とか用意して、それを子供達が駆除すると、駆除した代わりに綺麗な石が手に入るとか」


 クレアの考えはとっても良い物ものだったわ。他にも、川をわたったりちょっとした岩を登ったり、後はツルとかでちょっと行く手を阻んでみたり、そういう所を超えて森の奥まで来てくれた子供達には、私達が用意した宝物を詰め合わせた宝箱をあげる。

 後は綺麗な湖を作るでしょう。それ以外に飲むと元気になれるちょっと甘い、とっても美味しい水でできた湖とか作ってみたらって。

 それからもし森の魔獣や冒険に来てくれた子供達に意地悪する子供がいたら、そういう子は私達がすぐに森から追い出して、2度と森に入れないように追放の魔法をかけようって。

 なんて良い考えかしら。さすが精神年齢が子供のクレア。子供達の喜ぶ事がちゃんと分かってるわね。


「それでいつから森を作るの?」


「もう場所は決めてあるのよ。森さえ作ってしまえば、キャロラインあなたがいるから移動は楽でしょう? 私も空間魔法でみんなを移動させられるし。これから連れて行くから、さっさと森を作ってしまいましょう」

  

 ただその前に小鳥が声をかけてくれた以外の、私達しか近づけない子達に、先に声をかけに行った方が良いわよね。

 キャロラインとクレアと手分けして声をかけに行くことにしたわ。それからもしあの変な黒服達が居たらやっつけちゃってって言って、朝日が昇る頃、またここに集まることにして別れたの。


 さて私は彼と彼女に声をかけようかしら。後は彼らね。ここから1番近いのは彼らね。プレゼントは使ってくれているかしら。


 すぐに彼らの縄張りについて今回の話をすると、みんなやる気満々になってくれて、大人の森の方に移動してくれることになったわ。


「小鳥から話は聞いていたが、あのときお前はそんな話しなかっただろう。どうしてそんな楽しそうな話し、先にしておいてくれなかったんだ」


「場所が見つからない可能性があったのよ。でも良い所が見つかったわ。声掛けが終わったらすぐに作りに行く予定よ」


「それで子供の方なんだが、子供達をそっちに遊びにいかせても良いか? 遊ぶにはちょうど良いだろう?」


「ええ勿論よ。そのかわり他の魔獣を襲うのは禁止よ。楽しく遊ぶのが私の考えた森なのだから」


「ああ」


「じゃあ決まりね。明日の夕方には移動できるとおもうから、それまでに準備しておいてね」


 ルーカー達と話を終えて、次に向かったのは大きな洞窟。この大きな洞窟に入れるのは強い魔獣か私達ぐらいね。何しろここは彼の縄張りだから。

 洞窟の1番奥まで行けば、相変わらずいつもの格好で寝ている彼女が居たわ。何回も声をかけてやっと起きた彼女。


「面倒な人間が来たな。今度は一体何をたくらんでいる?」


 明らかに起こされて不機嫌だという感じで、私のことを睨んでくる彼。そんな彼に私達の考えを話せば、すぐに眠そうにしていた目をカッと見開き、口元をにっと上げて笑い始めて、そのあと近くに置いてあった魔獣の死骸をひと飲みに。

 そしてすぐに良い返事を聞かせて貰えたわ。


 いつから移動するのか、どんな強い人間達と戦えるのか、どれくらい暴れて良いのかもう質問責めよ。

 詳しいことは森ができてからだけど、自分の持ち場は好きに使って良いと言ったら、さらに喜んだわ。


 彼との話もさっさと終わって、私が急いで声をかけないといけないのはもう1人の彼。ここに残るか、それともあの頃みたいに暴れたいと私の話に食いついてくるか。私は昔の元気良く動いていた頃の彼の方が好きだけれど。だって最近の彼は、彼に敵う相手がいなくてずっとふてくされて篭っているんだもの。


 森の1番奥深く。彼の寝床が見えてきた。あのしっぽ。ちゃんと居るわね。

 寝床に着くと相変わらず馬鹿でかい図体で、お腹を出して寝ている彼が居たわ。


「久しぶりだな。何の用だ?」


「面白くて楽しい話よ。私良いこと思いついたの。キャロラインとクレアにも話して、彼女達ももう動いてくれてるのよ。それに洞窟の彼女とルーカー達にも良い返事をもらってるの。きっとあなたの気にいる話よ」


「ふん。今更何ができる」


 とりあえず私の考えと、キャロライン達の考えてくれたこと、それからついてきてくれる魔獣達がたくさんいることを話したわ。たくさんついて来てくれるかはまだ分からないけど。まぁ大丈夫でしょう。


 最初はどうせ嘘だと、ぜんぜん真剣に話を聞いてくれなかった彼。でも私がしつこくこれからの事を話して説得しているうちに、私が本気だとやっと分かってくれたみたい。でもそれでも全部は信用してくれなくて、何度も何度も本当か? 本当に好きにやって良いのかって聞いて来た。


 勿論私達の作った森を破壊しない程度なら何をしてもいいし、子供達の方に遊びに行っても構わないと答えたの。彼、こんなに大きくて怖い図体してるのに、かなりの子供好きなのよね。


「ふふふ、ハハハハハハっ! 面白い事を考えたな。よし! 我もそっちの森に移動するぞ。我は子供達と遊びたいからな。もう1つの森の方は、まぁ、そっちはついでだ」


「別に構わないわよ。あなたが楽しく暮らせるなら」


 戦うことより遊ぶことの方で気持ちが決まるのも彼らしいわよね。


 話が決まると、彼は用意があると、すぐにどこかに飛んでいってしまったわ。さぁ、私も戻ってキャロラインとクレアと一緒に森を作らなくちゃ。


 そしてルーカー達に言った通り次の日の夕方までに森を2つ作り上げ、集まったみんなと森へ移動したわ。

 さぁ、森の細かいことはみんなに任せて、私はキャロライン達を連れてあそこに行かないと。だって森が出来たこと知らせないと、遊びに来てもらえないかもしれないし。

ああ、楽しみだわ!!


      *********


いつも「やさもふ」ご愛読いただきありがとうございます。ありぽんです。

今日で「やさもふ」ついに300話をむかえました!

皆様にはいつも感想、応援の言葉をいただき、本当に感謝しております。

これからも皆様に楽しんでいただけるよう、頑張っていきますので、

皆様よろしくお願いします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る