第294話川で遊んで僕だけびしょびしょ?

「おっふね、おっふね、ちゃっぷちゃぷ」


「嬉しそうだね。でも気をつけるんだよ。池みたいに落ちないようにね」


 お昼ご飯終わって、お母さんはご用事があるから、アンソニーお兄ちゃんが一緒に来てくれました。これからお家に流れてる川でお船で遊びます。僕自分のお船持って、ディルとリュカが一緒に自分のお船持って、キミルとモリオンが一緒に持って、シルフィーとホプリンのお船はルトブルが持ってくれてます。


 川に着いたら、最初にお船を全部くっつけます。乗り物とおんなじ。それからそっとお兄ちゃんとルトブルがお船を川に入れてくれます。


「順番だからね。ルトブルが先頭で押さえてくれてるから、1人ずつそっと乗るんだよ。まずはピュイちゃんから」


 僕のお船にそっとピュイちゃんが乗りました。それから順番にディル達がお船に乗っていきます。最後にホプリンがお船に乗りました。


『ユーキ乗ったよ。出発できるよ』


 ゴールは川が終わるお外の壁の所までです。ちゃんと最後まで行けるかな?


「しゅっぱちゅ!」


『しゅっぱつなのぉ!!』


 ルトブルがお船からお手々離しました。ゆっくりお船が動き始めます。


「すごい! ちゃんと進んでるぞ!」


「ディル危ないからあんまり動かないでよ!」


 森とかお外流れてる川はしゃしゃしゃしゃって早くお水が流れてるけど、お家の川はシュゥってゆっくり流れてるから、お船がゆっくり進みます。でもたまに後ろに乗ってるシルフィーやホプリンのお船の後ろの方が横になっちゃうから、お兄ちゃんがまっすぐ直してくれてくれるの。


 川には小さなお魚さんも居るんだよ。お船が近づくとお魚さんがパァっていろんな方向に逃げていきます。先頭に乗ってるピュイちゃんがそれをじぃ~って見つめて、それで急にお船から飛んで川の中に潜ったんだよ。それですぐにお船に戻ってきたピュイちゃん、お口にお魚さん咥えてました。


 ピュイちゃんの乗ってたお船がグラグラ。そしたら後ろに繋がってるディル達のお船もグラグラ。みんなが揺らさないでって怒ってます。ピュイちゃんがお魚さん食べて、ごめんなさいしてました。お魚さん美味しそうだったから、食べたくなっちゃったんだって。お昼ご飯食べたばっかりだよ?


 川の半分くらいまで進んだとき、キミルがお花流したらもっと綺麗になって楽しいかもって、モリオンに持ってもらってたお花をいっぱい川に流しました。


「ふわわわ、きれいねぇ」


 お花いっぱいだから、川がお花の川に変身です。アルマンドさんの街で貰ってきたお花とか、この前じぃじの浜辺でキミルが咲かせてくれたお花とか、きれいで可愛いお花ばっかり。

 僕達が喜んでたらお兄ちゃんね、遊ぶの終わったら絶対全部のお花片付けてねって。絶対だよって、すごく困ったお顔してました。ちゃんとお片付けするよ? だって大切なお花だもん。キミルが咲かせてくれたお花と摘んでくれるお花はずっと枯れないで綺麗だから、これからまだたくさん遊ぶもん。


「おうちのなかでもあしょびましゅ。おかたじゅけちましゅ?」


「うん分かってるよ(誰かに見られたら大変だってことだよ)」


 お花の川をどんどん進んで、もう壁の所まで来ちゃいました。みんな面白いからもう1回やるって。だからお花しまってお船持って、スタートの所まで戻ります。

 戻ってまた順番に乗って、今度は最初からお花流しました。それでまだゴールまで。みんなとってもニコニコ。僕はお船に乗れないけど、お花の川に入りたいなぁ。お兄ちゃんに聞いてみよう。


「にいしゃん、かわであしバシャバシャいい?」


「足だけだよ」


 そう言ってお兄ちゃんがズボンの下のところ、くるくる巻いてくれます。


「今度は海で遊んだ時の洋服着てきた方がいいかもね。そしたら川に入って遊んでも平気だし、考えたら今だってかなり洋服濡れちゃってるもんね」


 そっとお花の川に足を入れます。冷たいと思ってたら川のお水とっても温かったです。まだまだ暑い日が続くからもう少し水は温いまんまだって。


 バシャバシャ、バシャバシャ、みんなもお船から下りてバシャバシャ。そしたらくろにゃんも暑いって言って、川の中に入ってきました。それからマシロも小さくなって川の中に。ルトブルも亀さんに変身! 川に入ってふぅって言ってます。

 あっ! 僕はお船に乗れないけど、ルトブルに乗って川進めるよ! ルトブルにお願いしたら良いよって。だからお船持ってスタートの場所までみんなでまた移動します。


 今度は僕がルトブルに乗って先頭、次がピュイちゃんです。ルトブルの亀さんおしっぽに紐結んで、その紐を僕のお船にも結びます。それからみんなが順番にお船に乗って最後に僕がルトブルに乗っかりました。


「いくでしゅよ! いい?」


「「「いいよ」」」


「しゅっぱちゅ!!」


『しゅっぱつ!』


『しゅっぱつなのぉ!!』


 ゆっくりルトブルが歩き始めます。ルトブルは小さな亀さんに変身しても大きいでしょう? お家の川は小さいから泳ぐより歩いた方が良いんだって。

 ゆっくりゆっくり。僕はお手々伸ばしてお水に触ろうとしました。う~ん、あと少しだけどお手々が届きません。もうちょっと…!!?


「ふわわわわっ!!?」


「ユーキ!!」


 僕ルトブルから落ちそうになっちゃいました。でも落ちなくて、僕ゆらゆら揺れてます。それからルトブルの背中にもどりました。


「何をやっているんだ」


 ジュードが僕のお洋服からお手々離しました。僕が落ちそうになったのジュードが助けてくれたの。ジュードにありがとう言います。そしたらまたジュードが変なお顔しました。何でいつもジュードは変なお顔するの?

 ルトブルの背中に戻ってまた出発です。今度は落ちないようにしなくちゃ。


 たくさん遊んで、お兄ちゃんが僕のズボンをクルクルしてくれたけど、お洋服びしょびしょになっちゃいました。お母さんが僕達のこと迎えに来てくれたら、あらあらって。お兄ちゃんが言ってたみたいに、暑い時に川で遊ぶ時はお着替えしないとダメねって。リク君もお水で遊ぶお洋服持ってるかな?


 今日のお外で遊ぶ時間は終わりです。お船を川から出して、モリオンにお花をしまってもらって、みんなで1列に並びます。マシロが風魔法で僕達のこと乾かしてくれます。でも僕のお洋服だけなかなか乾きませんでした。

 乾かないまま玄関まで行きます。玄関の前でアメリアがまってて、僕のお洋服見て玄関から中に入らないで待ってて下さいって。


「すぐに戻ってまいります。絶対に入ってはいけません」


 タタタタタッてアメリアが走って行っちゃいました。


「これだけ濡れちゃってたらマシロの風でもすぐには乾かないものね。ああ、ズボンまくったところから滴が」


 その時蝶々さんがお家の中に入っていきました。とっても綺麗な蝶々さんで、青色でキラキラ光ってるの。その蝶々さん見て、シルフィーとホプリンとピュイちゃんが蝶々さん追いかけます。僕アメリアに入っちゃダメって言われたから、シルフィー達も入っちゃってダメって思ったの。だからみんなの事僕追いかけました。


「ダメ! はいっちゃだめでしゅう!」


「待ってユーキちゃん! 入っちゃダメなのはユーキちゃんよ!」


 玄関ホールをシルフィー達は蝶々さんを、僕はシルフィー達を、お母さんは僕を追いかけてきました。


「捕まえたわ! ふぅ、何でこういう時だけすぐに捕まえられないのかしら。ユーキちゃん入っちゃダメなのはユーキちゃんなのよ。ほら見てみて、玄関ホールが濡れちゃったわ」


「うゆ?」


 床を見ます。あれ? 何で床が濡れてるの? 今日雨降ってないよ?


「主、主が濡れた洋服のまま走ったからだ」


 僕自分のお洋服見てそれから床も。そっか、みんな乾いてるけど、僕乾いてなかったんだった。アメリア入っちゃダメって僕だけだったんだね。失敗しっぱい。

 アメリアが階段から下りて来ます。それで床見て困ったお顔して笑ってます。


「ユーキ様、入られてしまったのですね」


「ごめんしゃい」


 僕ごめんなさいしてアメリアの方に行こうとしました。


「だからユーキちゃん、歩いちゃダメよ」


「ユーキ様、次はちゃんと外で待っていてくださいね。さぁ、お洋服をお持ちしました。着替え終わったらおやつの時間ですよ」


「おやちゅ!」


 急いで着替えます。今日は3階のテラスでおやつなんだって。3階のテラスはカージナルの街がとってもよく見えるんだよ。僕ねテラスでおやつ食べるの大好きなの。着替えが終わってみんなで急いでテラスに向かいます。


「ユーキちゃん走っちゃダメよ! アメリアごめんなさいね。止められなかったわ」


「仕方ありませんわ。小さいお子様の行動は私達には分かりませんもの」


 今日のおやつ何かなぁ。

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