第293話新しいお洋服とピュイちゃんのお洋服

「リクくん、かえってない?」


「ごめんね、まだ帰ってないのよ。明日には帰ってくると思うんだけど。ちゃんと昨日言っておいてあげれば良かったね」


 次の日、リク君にお船持って行ったら、リク君まだ森から帰って来てませんでした。


「ほらユーキちゃん、お母さんの言った通りだったでしょう。それにリク君帰って来ても、少しお休みしないと、いつもみたいにユーキちゃんとたくさん遊べないのよ。もう少し経ったらまた遊びにきましょうね」


 早くリク君とお船で遊びたいのに…。ちょっとだけしょぼんです。お母さんが遊べる日が分かったらお知らせしてくれるから、そしたらお家で遊びましょうって。リク君のお船持って帰ります。

 ちょっとだけ残念だけど、お昼のご飯食べ終わったら今日は、僕達だけでお庭を流れてる川で遊ぼう。


「なぁなぁ、あの船、乗り物みたいに繋げてられるかな?」


「ぶつかっちゃわない?」


 じぃじは僕のお船買ってくれたけど、ディル達のお船も買ってくれたの。みんなが乗れるくらいのお船。ディルとリュカが一緒に乗って、キミルとモリオンが一緒に乗って、シルフィーとホプリンが一緒に乗って、ピュイちゃんが僕のお船に乗ります。


『ピュイピュイ♪ ピュイちゃんせんとうなの。ピュイピュイ♪』


 今日はピュイちゃん朝からずっとお歌歌ってます。僕のお船に乗れて嬉しいんだって。それからお家で遊ぶの初めてだから嬉しいって。僕も嬉しいよ。

 ほんとはリク君も一緒に朝から遊ぶつもりだったけど、遊ばなくなっちゃったから、お家に帰ったら、昨日クロエさんから貰ったお洋服を着ることにしました。僕がクロエさんにお願いしたお洋服。

 

 お家に帰ってすぐに僕のお部屋に行って、袋の中からお洋服だします。お洋服は2個入ってます。1つ目はホプリンの、えとルーリアのお洋服です。

 みんなでルーリアに変身!! ルーリアの大きな可愛いしっぽもちゃんと付いてます。ホプリンの隣にみんなで1列に並んでポーズ!!


『みんな僕と一緒。嬉しい!』


 ホプリンが僕達の周りグルグル回って飛び跳ねてます。でもピュイちゃんだけお洋服がありません。お洋服お願いした時、まだピュイちゃん生まれてなかったから。

 だから昨日、クロエさんのお店から帰る前に、クロエさんがサササってピュイちゃんのこと調べて、ピュイちゃんは小さいから、ピュイちゃん用のお洋服すぐにできるから待っててって。あとちゃんとうさぎさんとネコさんとくまさん、僕達が持ってるお洋服全部ピュイちゃんの作ってくれるの。

 ピュイちゃんは洋服着ちゃうと飛べなくなっちゃうから、マシロ達みたいにお耳としっぽ作ってもらいます。


『ピュイちゃんたのしみなの! はやくみんなといっしょがいいなの』


 僕達のお洋服、お母さんとアメリアがとっても喜んでくれました。それからメイドさんと使用人さんがみんな順番に僕達のお洋服見にきてくれて、みんな可愛いって。えへへへ、僕もホプリンといっしょ嬉しいよ。


 ルーリアのお洋服脱いでもう1つのお洋服に着替えます。

 みんなでお洋服に潜って、最後にお顔だけお洋服から外に出して、うん完璧! この前は芋虫さん作って貰ったでしょう。これは毛虫さんのお洋服です。

 本物の毛虫さんはトゲトゲがいっぱいで、お手々で触っちゃうとお手々にブツブツができて、痒くなったり痛くなったりするから気をつけてって。だから本物の毛虫さんは触ったことないけど、お洋服の毛虫さんのトゲトゲは柔らかくてとっても気持ちがいいです。


「うねうね、うねうね」


「「「うねうね」」」


『うねうね』


『ピュイちゃん、これできるかな? なの』


「はぁ、さっきまであんなに可愛いかったのに、芋虫に続いて毛虫。やっぱり小さい子の気にいる物ってよく分からないわ。私が小さい頃はどうだったかしら?」


「ですが奥様、ユーキ様はとても喜んでいらっしゃいます。ほらあんなに可愛らしいお顔をして。アメリアはそれだけで幸せでございます」


「ふふ、確かにそうね」


 みんなでお部屋の中うねうねしたあとマシロ達の所に戻ってきました。それでピュイちゃんが毛虫のお洋服の中に入ったら、どうやってうねうねするかみんなで考えます。 

 みんなで考えてたら、お母さんが毛虫さんのお洋服に紐つけて、マシロ達に引っ張って貰ったらって。うん。それが良いね。決まったからみんなで拍手です。

 

 じぃーって僕達のこと見てたルトブルが丸っこい毛虫になるなって。それを聞いたマシロがルルスーンだなって言いました。ルルスーン? 何それ? 

 ルルスーンは虫さんで、普通は毛虫さんや芋虫さんみたいに動いてるんだけど、寝る時はお団子みたいにまん丸になって寝る虫さんなんだって。もしかしたらお庭に居るかも知れないって言ったから、僕達お庭に行くことにしました。お昼のご飯までまだ時間があるからそれまでお庭でルルスーンを探します。


 お庭に行くなら毛虫さんの格好のまま行こう。みんなでドアの方にうねうね行ったら誰かがドアを叩きました。それからアシェルとジュード達が入って来ました。それから

ジュード達は僕達の格好見て変なお顔してます。


「なんだそれは?」


「けむしさんでしゅ。かわいいでしょう?」


「可愛い? それを可愛いと言うのか?」


 ん? 可愛いでしょう? 


「ぐっ………!?」

 

 急にジュードとセオドリオがお腹おさえました。どしたの? 急にお腹痛くなっちゃった?


「セオドリオ、ユーキちゃん達可愛いわよね」


「もちろんですわ奥様。セオドリオ達も可愛いユーキ様達を見て、感動でお腹が痛くなってしまったのですわ」


 ??? よく分かんないけど可愛いんだよね。けむしさん作ってもらえて良かったね。


 そのままうねうね廊下を進んでいきます。あっ…僕達階段の前で止まります。僕階段のこと忘れてたよ。毛虫さんのままじゃ下りられない。誰かに抱っこしてもらわないとダメダメです。うねうね後ろ向き直って、誰に抱っこしてもらおうかな? 1番近くにいるのは…ジュードです。うん、ジュードに抱っこしてもらおう。

 僕はジュードに抱っこしてって言いました。そしたらジュードが不思議そうなお顔してます。


「ジュード、だっこ」


「なぜだ? 洋服を脱げば下りられるのだろう? っ!!?」


 今度はジュードがお腹じゃなくて頭をおさえます。


「ジュード、主であるユーキ様の言うことは絶対です。それに抱っこというものは、人間の世界では普通のことなのですよ。さぁ、抱っこをして下まで下りて差し上げなさい」


 ジュードがそっと僕のこと抱っこしてくれます。でも…なんかジュードの抱っこ変。この前僕のこといじめた時の方が、ちゃんと抱っこしてくれてたよ。今は硬い感じです。お父さんも硬いけど柔らかいの。

 ジュードは階段を下りて、すぐに僕のこと下ろしました。ディル達はお母さんが運んでくれたよ。僕ジュードにありがとうって言います。そしたらまたジュードが不思議なお顔してました。


 玄関を出てすぐの所は階段だけど、2個しかないからごろごろ転がって階段を下ります。それからお花とか草がいっぱいのお庭の方に進んでいきます。ルルスーンいるかなぁ。小さいのかなぁ、大きいのかなぁ。

 

 お花がいっぱいの所に着いたら、お庭をきれいにしてくれるおじさんが、新しいお花を植えてました。


「ユーキ様、お散歩ですか?」


「うんと、ルルスーンみにきたの。ルルスーンいましゅか?」


「ルルスーン? さっきその辺で丸くなってましたが…確かこの辺に、ああ、居ましたよ、ほら眠ってます」


 お花とお花の間から見たら、水色で毛虫のトゲトゲがついてる丸いボールみたいなのがありました。僕のお手々にちょうどすっぽりくらいです。これがルルスーン? 

 おじさんがルルスーンを突きます。もぞもぞ動いて丸から毛虫に変身です。おじさんがルルスーンを手に持ちました。触っても大丈夫? お手々痒くならない? 痛くならない?

 ルルスーンのお毛々は毛虫みたいに悪いお毛々じゃないから、触っても大丈夫なんだって。それにとっても大人しい虫さんで、お花にくっつく悪い虫さんを食べてくれる、とっても良い子なんだって。


 おじさんが撫でて良いって言ったから、毛虫さん脱いでそっとなでなでします。


「ふわふわ!!」


「そうでしょう。私もこのふわふわ大好きなんですよ」


 みんなでなでなでしたあと、元の寝てた所に戻してあげます。少ししてまたまんまるくなったルルスーン。他にも居るかもしれないから、みんなでお昼ご飯までいろいろな所探しました。でもなかなか見つけられなくて、3匹しか見つけられませんでした。おじさんが今度また見つけたら教えてくれるってお約束です。


 お昼になってお家に戻って、ご飯の前にお父さんに毛虫さんのお洋服見せました。お父さん困った顔して笑ってたよ。でも可愛いって。

 早くピュイちゃんも一緒に、いろいろなお揃いのお洋服着られると良いなぁ。

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