第281話大きな木と可愛いお花。そしていつもの怒鳴り声

 あの動いてるの何かなぁ?


「とうしゃん、あれなんでしゅか?」


「あれ? 何のことだ?」


「きのうえ、うごいてるでしゅ」


 お父さんに動いてるって言っても、お父さん全然分かりません。でもディル達は分かってくれました。


「オレ見てくるぞ!」


「ボクも!」


 飛べるみんなが動いてるの何か見に行ってくれました。それですぐにみんなが戻って来てとっても慌ててるの。


『ユーキたいへんなの! チョコミのおともだちきのうえでふらふらなの!』


 ふお!? チョコミのお友達? ヤドカリさんが木の上でフラフラしてるんだって。助けなくちゃ!!

 モリオンがくろにゃんにじぃじのお家に戻って、チョコミの入ってる入れ物持って来てって、モリオンはヤドカリさん助けに行くからって。

 くろにゃんとお兄ちゃんがお家に行って、モリオンはヤドカリさんの前に黒い丸出します。ディル達がヤドカリさんが黒い丸に入るように後ろから押して、ヤドカリさんが黒い丸に入りました。それで僕の隣の砂の上にヤドカリさんが出てきました。

 ヤドカリさんがまた海の方に行って木に乗っちゃわないように、ヤドカリさんの前に立って、お兄ちゃんとくろにゃんが戻ってくるの待ちます。

 

 お父さんの隣に黒い丸ができて、やっとお兄ちゃん達戻ってきました。そっとヤドカリさんの貝を持って入れ物の中に入れます。

 みんなで入れ物の中覗いて、少し経ったらチョコミがお顔出して、ヤドカリさんもお顔出しました。ちょっと近づいたチョコミ、すぐに反対の方に行っちゃいました。ヤドカリさんも反対の方に歩いて、すぐに貝の中に入っちゃいました。


「チョコミ、なかよくでしゅよ」


「ユーキ、キミル名前付けてもいい? チョコミってキミルが付けたから」


 僕達良いよって言ったらキミルとっても喜んで、お家に帰ったらゆっくり考えるって。今度も可愛いお名前が良いなぁ。


 僕達がチョコミ達見てる間に、ルトブルにお父さんがどのくらいまで砂浜に戻すかお話してました。ここからここまでとか、前よりもちょっと広い砂浜にするみたいです。お話し合いが終わってルトブルが僕達のこと呼びました。


「よしこれから砂浜を作るぞ」


 みんなでルトブルの後ろに立ちます。ルトブルが海にお手々出したら、水からブクブクブクって小さな泡がたくさん出てきました。それからどんどん泡が大きくなって、バシャシャシャシャッ!! って大きな音がしたら端っこの方から地面がどんどん出てきてお水が無くなっていきます。


 お水が無くなって静かになったら、次は砂だって言って、もう1度ルトブルがお手々あげました。サラサラ、サラサラ。今度はお砂がどんどん積もっていきます。雪みたい。ルトブルがお手々下げたら終わりです。じぃじの砂浜とっても綺麗に直りました。みんなでルトブルに拍手です。


「あっ、あとこれだね」


 モリオンが砂浜をあっちに飛んだりこっちに飛んだり、黒い丸から何か取って砂浜にパラパラ撒いてます。


「これで完璧だよ。良く見て」


 モリオンが何か撒いたところに行ったら、たくさん貝殻が落ちてました。この前遊んだ時じぃじがね、貝殻は割れやすいから、僕達が拾った貝殻割れちゃってもすぐに別の貝殻で遊べるように、たくさん持って帰った方がいいって、モリオンに教えてくれたんだって。だからその時たくさん集めた貝殻今まきました。僕達またまた拍手です。


「じゃあ今度はキミルがお花たくさん咲かせるね。あと大きな木も。みんな遊んで休憩するとき、木の下で休憩すると涼しいでしょう。だからとっても大きな木を生やすね」


「お、おい待て! どんな花咲かせるか先に教えなさい。それにどれだけ大きな木を生やす…」


「いくよ~!」


 お父さんがお話してる途中で、キミルがぽわぁって光りました。じぃじの浜辺は向こうの岩の所から、こっちの岩の所までだけど、両方の岩の所から、ちょっとずつお花が咲いていきます。でもくらいからどんなお花が咲いてるのか分かりません。僕がそう言ったらリュカが


「ボクが光って良く見えるようにしてあげるからね」


 って、今度はリュカがぽわぁって光って、砂浜全部が明るくなりました。


「砂のところはあんまり咲かせないから、砂になる前の所からと、街の方にどんどん咲かせるからね」


「だから待てと…」


 僕が近くに咲いたお花見ます。キミルがあんまり咲かないって言ったけど、この前来た時よりお花いっぱいです。それにとっても綺麗なの。横から見て反対の横から見て、今度は上から見て、全部色が変わるんだよ。ピンク色になったり黄色や青色、紫や赤色、いろいろな色に変わってキラキラ光ってます。1つのお花なのに色が変わるの凄いね。虹色のお花も綺麗だけど、このお花もとっても綺麗です。

 

 浜辺のお花咲かすのが終わって、次は大きな木を生やします。岩の近くと浜辺の中心に大きな大きなじぃじの木みたいな木が、にょきにょきにょきって生えてきました。葉っぱもとっても大きんだよ。

 

「うん、これで完璧!!」


 わあぁぁぁ! みんなでキミルに拍手です。でもすぐにお父さんが、


「だから何を咲かすのか生やすのか、話してからだと言っただろう!!」


 って僕達の後ろで叫びました。後ろ見たらお父さんはとっても怒ってて、お母さんはニコニコ、ハロルド達はお顔があ~あってお顔してます。じぃじとばぁばは驚いたお顔して、じぃ~っとお花と木見てました。


「どう考えてもこの花は咲かせちゃいけない花だろう! それにこんな大きな木を生やして」


「何でいつもダメなの! このお花も前に咲かせたお花も、キミルの大好きなお花なんだよ!」


 キミルとお父さんがケンカ始めちゃいました。僕達2人が喧嘩してる間に木の所に歩いていきます。

 お母さんがね、大きな木で葉っぱも大きいから、太陽がピカピカでとっても暑くてもきっと涼しいって。だから遊びに来てお休みするときは今度からこの木の下でお休みするって。


 端っこの木の所にも行ってみよう。だってお父さんとキミルのケンカ全然終わらないんだもん。キミルがお花咲かせてくれると、いつもお父さんが怒って2人ともケンカです。キミルのお花とっても可愛いのばっかりなのに、いつもダメダメなお花ばっかり。

 

 夜は砂が暑くないから裸足でも歩いて良いってお母さんが言いました。だからお靴脱いでそのまま砂浜歩きます。サラサラ、サラサラ、お砂がとっても気持ちがいいです。

 

「! ユーキ止まれ。マシロユーキを乗せろ」


「主しっかり掴まれ。他の者も我より前には出るな」


 もう少しで木の所に着いたのに、エシェットが僕達のこと止めました。お母さん達が僕達のこと見て剣を持ちます。


「大丈夫だ。剣は必要ないだろう。我らのような存在や魔獣は必ず魔力を持っていて、力がないと言われるような人間でも、微かに魔力の反応を感じられるが、あれからはその微かな魔力も感じん。完全に魔力を失っている。もしかすると2度と魔力を使えないのではないか。おい! ウイリアム!」


 エシェットが大きな声でお父さんのこと呼びました。パッと振り返るお父さんとキミル。


「面白い者が落ちているぞ。死にかけと言ったところか」


 お父さんが慌ててこっちに走ってきました。それでエシェットの隣に立って岩の奥の方を見ます。エシェットがリュカに岩の所明るくしろって言って、リュカが今までよりもっと明るくぽわぁって光りました。あのね岩の所に誰か居るんだって。僕みんなの後ろに居るから、誰が居るのか全然分からないの。

 岩の所が明るくなって良く見えるようになって、そしたらお父さんも剣をシュバッ!! って出しました。


「だから大丈夫だと言っているだろう。あやつは戦えん。良かったではないか、探す手間が省けて」


 ザッザッ、ってお砂を歩いていくエシェット。急にしゃがんで立ち上がったら、お肩に何か大きな物持ってます。足が見えて、その足がだらんてしてました。そのまますぐに戻ってくるエシェット。こっち向いたら今度は頭とお手々が見えて、頭の方もだらんてしてます。

 ザッザッ、戻ってきたエシェットがドサッて、持ってきた人を砂の上に落としました。


「あっ、悪い人魚だ!!」


「ユーキのこといじめた嫌な奴!」


 ディルとリュカがそう言ったら、シルフィーとホプリンが倒れてるジュードの所に走って行っちゃって、ジュードのお顔にひっかく攻撃としっぽ攻撃しました。あのね岩の所に居たのジュードだったの。

 僕ねシルフィーとホプリンのことすぐに呼びます。だってまた意地悪されちゃうかもしれないでしょう。戻ってきた2人のことマシロが怒りました。


「奴は確かに攻撃出来ないが、我やエシェット達が良いと言うまで近づくんじゃない!」


 マシロが怒ってる時でした。ジュードがね


「ううっ…」


 小さく唸りました。


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