第276話みんなそれぞれお手伝い

 お父さんちょっとだけハァハァしてます。バタバタしてたから、きっと走って来たんだね。どうしたのかな? また悪い人魚さん達が来ちゃったのかな? そう思ってマシロ達見たけど、みんな全然慌ててません。

 違うのかな? じゃあお父さんお仕事終わって、走って僕の所に帰って来てくれたの? 


「とうしゃん、おちごとおわり?」


「あ、いやちょっとな。まだお仕事は終わってないぞ。ちょっとエシェット達に聞きたいことがあってな」


 なぁ~んだ。やっぱりお仕事終わったんじゃなかった。お父さんすぐにエシェット達の方見てお話始めました。


「今回はユーキやオリビア、そしてこの街を守るために、いろいろ手を貸して貰ったから文句は言わない。が、確認したい事があるんだが。あのシーサーペントが浮いている湖みたいなものは、お前達がやったのか?」


「ああ。そうだな。一応結界は張ったぞ。だからあれだけで済んだ」


「2回分の攻撃だからな」


『あのねすごかったの! ドガアァァァァァァン!! って。ピュイちゃんびっくりなの!!』


「そうか分かった。それを確認しにきただけだ…」


 お話終わったお父さん、困ったお顔して、それからちょっとだけ笑ってるお顔して、ブツブツ言いながら、お部屋から出て行きます。僕ちょっとだけブツブツ聞こえたよ。えっとねぇ、「シーサーペントの攻撃のせいにしておくか」だって。


 エシェットの方見たら、エシェットはニコニコ、ルトブルはいつもみたいに怒っても笑ってもなくて、普通のお顔してます。くろにゃんは、ぷいって別の方見て、ピュイちゃんは凄いの!! って言いながら、お部屋の中ぐるぐる飛んでます。

 そんなに凄いのがあるの? 僕も見たいなぁ。でも今はお外に出ちゃダメダメです。だってお母さんがお部屋で待っててって言ったもん。お母さん帰ってきたらピュイちゃんが凄いって言うの、見に行っていいか聞いてみよう。


「ユーキ、見に行きたいとか考えてない?」


 アンソニーお兄ちゃん、僕が考えてる事分かるの? 僕何も言ってないのに。


「ダメだよ。まだ何があるか分からないんだから。またユーキお家に帰れなくなっちゃうかもしれないよ」


 それはやだ。でもでも、お父さん達が悪い人魚さん達みんな捕まえたら大丈夫でしょう? クラーケンとシーサーペントはエシェット達が倒してくれたし。ね?


 僕達がそのお話してたら、またお父さんがバタバタ戻って来ました。お父さんとっても忙しいです。

 お父さんねルトブルとくろにゃんとピュイちゃん迎えに来たの。アシェルのお手伝いお願いしたいんだって。僕もお手伝いするって言ったらダメって言われちゃいました。僕ちょっとしょんぼりです。僕だってお手伝いできるのに…。


「そう膨れるな。ユーキにお客さんだぞ」


 お父さんがドアから退きます。それでひゅんって、凄い勢いよく誰か入って来て、僕の事抱きしめたの。


「ユーキ無事で良かったわ!!」


「俺達心配してたんだぞ!!」


「また俺がユーキの好きなドルンの絵描いてやるぞ!!」


「おねえちゃ!! おにいちゃ!!」


 シーラお姉ちゃんとアラトお兄ちゃんとポーロお兄ちゃんです。僕もみんなにぎゅうって抱きつきます。それからすぐにちょっとだけ離れて、みんなお怪我してないか聞きました。そしたらアラトお兄ちゃん足のところお怪我してたの。僕すぐにディルにお願いしてお怪我治してもらいます。お怪我が綺麗になってアラトお兄ちゃんとってもびっくりしてました。あと、ポーロお兄ちゃんが腕痛いって言ったから、それも治してもらって。お姉ちゃんはどこもお怪我してなかったよ。


 お怪我が治って僕がお姉ちゃん達とお話してるうちに、ルトブルとくろにゃんとピュイちゃん、お父さんとどこかに行っちゃったの。


「ユーキ、あなたの家族とっても強いのね。私びっくりしたわ」


 お母さんのこと? じぃじのこと? それともばぁば? 


「『ユーキ様に危害を与える者は誰だろうと許しません』って言って、敵の中に突撃していったんだぞ」


「凄い殺気で俺怖かったよ」


 誰のこと?


「ユーキ、それたぶんアシェルのことだよ」


「だろうな。アシェルはユーキ1番だもんな」


 僕アシェルと全然会ってない。アシェルお怪我してないかな? 僕が心配してたらお姉ちゃんがさっき会ったって。なんかね悪い人魚さん達が逃げないように見張ってたって。あとね人魚さんが何か言おうとすると、近くに落ちてた木の棒で頭叩いてたって。ん? 元気なの? お怪我してないってこと? 


お姉ちゃん達にピュイちゃんのこととか、いろんなことお話してたら、今度はばぁばがお部屋に来ました。ばぁばね僕達におやつ持って来てくれたの。ドーナツ。みんなで1個ずつドーナツ食べます。ちゃんとエシェット達の分とっておきます。

 僕達がドーナツ食べるの見てたばぁば。とってもニコニコです。

 

 ドーナツ食べ終わったら、シーラお姉ちゃん達お姉ちゃん達の仲間の所に戻る時間だって。もっと一緒に居たかったのに…。お姉ちゃん達もお仕事いっぱいなんだって。だからお仕事終わったらまた遊ぶお約束してバイバイしました。お仕事頑張っての応援もしたよ。


 お姉ちゃん達がいっちゃってすぐに、今度は騎士さんがお部屋に来た。僕ね初めて見ました。女の騎士さん。最初僕の持ってるお鍋のお帽子みたいなの被ってて、お顔見えなかったから女の人って分からなかったの。でもお話する前にそれとったら、綺麗なピンク色の長い髪の女の人でした。

 名前はミレアさん。とっても強い騎士さんで、ばぁば達のお家守ってる騎士さんの隊長さんです。あのねアメリアと同じくらい強いんだって。凄い凄い! 


 ミリアさん箱持ってて、モヤモヤがちょっとだけでてる石や、何にも出てない石が入ってました。変なの? 僕もっと良く見ようとしてぴょんぴょんジャンプしたら、ばぁばが危ない物だからダメって言いました。シーラお姉ちゃん達が石を見ます。


「ああこれね。奴らこの石のおかげでかなり強くなってたわね」


「屋敷と周辺にいた人魚から押収した物と、屋敷の周りに落ちていた物です。他にもあるでしょうが、今のところはこれを」


「分かったわ。私の部屋に運んでおいて、すぐに行くから」


「ばぁばなんでしゅか?」


 この石は悪い人魚さん達が持ってた石で、この石から魔力が流れて、人魚さん達が強くなるんだって。でも途中で急に魔力が流れなくなっちゃって、人魚さん達ビックリしてたんだって。これからばぁばがこの石調べるお仕事するの。

 

 エシェットが2つ石を持ちます。1つはモヤモヤが出てる石、もう1つは何にも出てない石です。


「これは消した方が良い。モリオンにでも闇に捨ててもらえ。こっちはお前達の中で使えるやつがいれば使えるぞ。まぁ、闇魔法が使えるお前達の仲間が居ればの話だが」


 エシェットが捨てろって言ったのはモヤモヤが出てる石です。エシェットが別のモヤモヤが出てる石とって、これもだなって。きっとモヤモヤがダメダメな石なんだね。


「あら、あなた分かるの?」


「なんとなくだがな。魔力の流れで判断したのだ」


「ならあなたに手伝ってもらおうかしら。私達だけだと時間がかかりそうだし」


 エシェットお手伝い! 僕もモヤモヤの石分かるからお手伝いできる!! ばぁばに僕もお手伝いするって言いました。


「ユーキちゃん。さっきも危ないって言ったでしょう。それにどの石がダメなものか、ユーキちゃんじゃまだ分からないわ」


「わかるでしゅ!!」


 僕石から出てるモヤモヤのこと言いました。ばぁばが変なお顔してミリアさんにちょっと見せてあげてって。ミリアさんがしゃがんで僕に石が良く見えるようにしてくれます。箱の中石でいっぱいです。


 そしたらモヤモヤが出てる石だけじゃなくて、ちょっとだけ黒く光ってる石もありました。それから黒いパチパチが出てる石も。

 エシェットがどの石がダメダメな石か聞いてきたから、これはモヤモヤ、こっちはパチパチってちゃんと言いました。


「なるほど。我にはただの魔力の流れに見えるが、ユーキにはそういうふうに見えるのか。これはユーキの方がちゃんと見分けられているな。細かく分けるならユーキに手伝ってもらった方が確実だぞ」


 僕が言ったダメダメな石ちゃんと合ってるって。ね、だから僕お手伝いできるよ。僕ばぁばのお顔見ます。

 ばぁばとマシロとエシェットが少しお話して、ばぁばが僕が石に触らないで、どの石がダメダメな石か言うお手伝いならしても良いって。やったぁ! 


 ばぁばのお部屋に移動して、他にも箱用意します。モヤモヤとかパチパチとか全部分けて箱に入れるんだって。お手伝い僕頑張るよ!

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