第271話海の上へ

 次の日のお昼に、僕達のお部屋にジュードが来て、僕達はお城から出ました。お城から出たら、僕達をあの黒くてモヤモヤでパチパチが包んで、ジュードの前には丸い黒くてモヤモヤでパチパチがでます。モリオンとくろにゃんの黒い丸にとっても似てます。


 男の人が来て、ジュードと少しお話してる間に、ルトブルがモリオンにこっそりお話しました。


「いいかモリオン。我は昨日やつに魔力を貸すときある事をした。うまくいけば力がいつものように使えるようになるかもしれん。そうなればユーキにかけられた従属の鎖も解くことが出来るかもしれない。もしその時が来たら」


「すぐに家に帰るんだね。任せて!」


 ジュード達が話してたら、また別の人達がお城から出てきました。剣持ってる人や弓持ってる人、それから腰に袋付けてる人。全部で10人くらいです。それから最後に、昨日ルトブルが魔力流した黒いボール持って女の人が出てきました。


 ジュードがその黒いボールをもらって、僕達のところに歩いてきます。剣持ってる人達もみんな。全員並んで丸の中に入って行きました。女の人は入らないでお城に戻って行っちゃいました。


 ジュードが僕達も中に入れって言って、僕はルトブルに抱っこしてもらって、怖いからお目々つぶって中に入ります。そしてすぐにディル達が外だ!! って叫びました。

 そっとお目々開けると、ほんとにお外でした。お外の大きなお船の上に僕達居たの。


「おい、こっちに来い」


 すぐに丸から出てきたジュード。僕達はお船の後ろの方に行きます。そしたら目の前に街が見えました。じぃじのお家があるビースロイカの街です。でもちょっとお船から離れてて、お船と街の間に、あのクラーケンと大きくて長い蛇さんみたいなお魚さん魔獣が居て、街を攻撃してました。


 もっとよく見ようと思ったのに、ジュードが僕達を船の中に入れちゃいました。小さなお部屋の中に入って、ここで待ってろって、そのままどこかに行っちゃいました。

 エシェット達クラーケンと戦ってるのかな。すぐにみんなの所に行って魔力あげたいな。お怪我してないかな? 大丈夫かな? 

 僕ルトブルにクラーケンと一緒にいたお魚さん魔獣のこと聞きました。


 あのお魚さん魔獣はシーサーペントっていって、お魚さんで蛇さんの魔獣でとっても強いんだって。僕がこの前岩の所で見たの、あのお魚さんのしっぽかもしれないの。あの背中のギザギザとか似てるもんね。


 お部屋のお外で、いっぱい声が聞こえてきました。ジュードの声も聞こえて、何かに触れって言ってます。あの黒いボールに触れって言ってるのかもってルトブルが。あのボールから魔力貰って、みんな強くしてるみたいです。


「ねえ、ルトブル」


 お部屋の中回ってたモリオンがルトブルの所に飛んできました。


「あいつの魔法って、もしかしたら他の人から奪った力なのかも」


「どういう事だ?」


 前にモリオンがいた洞窟に、お父さん達が読めない文字がいっぱい書いてあったでしょう。あの文字ね、魔法の事とか石の事とか魔獣の事とか、いろいろな事が書いてあったんだって。それでねその中に、他の人から力を取っちゃう石の事が書いてありました。


「僕をあの洞窟に閉じ込めてた人達の中に、その石を使った人のことかいてあってね、他の人から力を奪うと、自分の力にするまでに、とっても具合が悪くなるの。その代わりに奪った力使えるようになるんだけど。その他にもね、魔法が混ざるって書いてあったよ。その人の場合、光と風の魔法が混ざって、新しい力を手に入れたって」


「ジュードも誰かから力を奪って、力が混ざったということか?」


「闇の力ともしかしたら雷の力かな? その混ざった力が強すぎて、結界の中まで入って来れるようになっちゃったのかも。あいつさ魔法使うたんびに具合悪そうにしてるじゃん。まだ自分の力にできてなくて無理やり使ってるからじゃないのかな」


 モリオンのお話し聞いてルトブル黙っちゃいました。それからちょっと考えるから静かにしてくれって。僕達お部屋にあったベッドに座って静かにです。


 少ししてお外がとっても静かになりました。その代わり今度はザブンッ!! ジャババババッ!! って音がしました。ルトブル考えるの終わったのかな? 僕のこと抱っこしてベッドに座りました。


「モリオン、お前の言う通り、もしあやつが自分の力にできていないのなら、ユーキを逃す事が出来るかもしれない」


「本当!!」


 僕達逃げられるの? お父さん達やマシロの所に帰れる?


「我は魔力をアレに流したとき、あることをしたのだが。それが上手くいけば。だがそれにはもうひとつ問題がある。ユーキの『従属の鎖』をとかなければ」


 今度はみんながうんうん考えます。そしたら突然お船が動きました。ジュードが僕達のこと呼びに来て、お外に出て、今度は前の方に行きます。

 お船の横にはクラーケンとシーサーペントが泳いでて、それから良く見たらサメさんみたいな魔獣に人が乗って進んでます。


 お船の1番前には黒いボールの乗った台が置いてあって、僕達にボールの隣に立てって言われました。


「これから街を攻撃する。お前は力が足りなくなるようなら、これにどんどん魔力を流せ。私は街に下りるが、良いか。もし逃げようとすれば私にはすぐに分かるからな。子供の事を考えるのならば、大人しくここで魔力を流せ」


 そう言って、モヤモヤパチパチの丸を出して、何処かに行っちゃいました。


「ルトブル。マシロもエシェットもかあしゃんも、みんなみんなだいじょぶ?」


「ああ、みんなとっても強い。大丈夫だ」


 ルトブルがニコって笑いました。


 お船が街に着きました。たくさんお船もお家も壊れてて、僕とってもびっくりです。ルトブルにじぃじのお家の方どっちか聞いてそっちの方見たら、まだ壊れてるお家ありませんでした。ふぅ、良かった。

 でもクラーケンやシーサーペントがいろいろなもの壊して、どんどん街の中に入って行くから僕ドキドキです。


 端っこにいたクラーケンが1匹、急に後ろに少しだけ飛びました。それからクラーケンのお手々が2本切れて、海の方に飛んできました。


「これだけ魔力阻害を受けていて、これだけの攻撃を出来るとは、さすがエシェットだな。ユーキ、今のはエシェットがやったのだぞ」


 おおお!! エシェットやっぱりとっても強いね。よし! 僕達応援しなくちゃ。僕がお手々上げて応援しようとしたらルトブルがダメって。何で応援するの分かったの?

 僕達のお隣に今セオドリオがいるの。セオドリオが僕達の応援見たら、僕この前みたいに叩かれちゃうかもしれないからダメだって。う~、叩かれるのやだ。しょうがない。頑張れ! って心の中で応援しよう。 頑張れエシェット!! 頑張れマシロ!!

お母さんもみんなみんな頑張れ!!


「やはり奴らを最初に止めるべきなのだ! こちらには子供が居るのだから。おい!」


 セオドリオが近くに居た剣持ってる人達呼びます。それからどっかから大きなシャボン玉みたいなの出しました。それにお手々近づけると、シャボン玉の中に変なミミズみたいなのが出てきました。ミミズみたいなの人魚さん達の文字なんだって。

 そのミミズさんが消えて、シャボン玉がお手々に乗るくらい小さくなりました。


「私はここを離れられない。ジュード様にこれを渡してくれ。それにどうも私には嫌な予感がしてならない」


「はい!」


 男の人がシャボン玉持ったまま海の中に飛び込みました。飛び込むときお足がお魚さんに変身したよ。やっぱりここに居る人達みんな人魚さんなんだね。

 セオドリオがルトブルを睨みます。


「お前が無理やり子供についてきた時から、私はお前をずっと監視しているが、どうもお前の行動はおかしい気がする。今のところ何事もなくジュード様の計画は進んでいるが。この違和感。絶対に突き止めてやる」


「何の事だ? 我はお前達の言う通りにしか動いていない。そんなことよりも気をつける事だ。奴はお前達が思っている以上に手強いぞ」


「ふんっ!」


 ルトブルのことじっと見つめます。ルトブルが気付いて僕の頭なでなでしてくれます。それからにっこり笑って、エシェットがみんな倒すところ見ていようって言いました。

 ちょうどその時、クラーケンのお手々がもう1本こっちに飛んできました。バシャアァァァァッ!! クラーケンのお手々の先っぽが、船の横に居た男の人2人にぶつかって、2人ともその場に倒れて動かなくなっちゃいました。


「エシェット凄いな。こっちの悪いのまで倒しちゃったぜ」


 ディルがそう言ってみんなで拍手です。それ見たセオドリオがブツブツ何か言ってました。役立たずがとか。なんかいろいろです。


 ほらね、これならすぐにエシェット、みんな倒しちゃうよ。みんなやっつけてお家帰ったら、たくさんなでなでしてあげなくちゃ!




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