第263話魔力で結界を強くしよう!

「良いではないか」


「いや、だからな。私はその為にユーキを連れてきたということが問題だと」


 今日はエシェットが僕の所に来てくれました。くろにゃんは悪い人魚さんが来ちゃうといけないからってすぐに戻っちゃったの。僕くろにゃんとゆっくりお話したいのに。

 でも今日はエシェットともあんまりお話できません。エシェットここに来てからアルマンドさんとお父さんとずっとお話してて、全然僕とお話してくれないんだ。


「我はちょうど良いと言っているのだ。ここに居てはユーキは魔法の練習をして、魔力を外に出すこともできない。練習などそんな余裕はないからな。それならばこのまま溜まって面倒なことになるより良いではないか」


「確かにそうだが」


「何が問題なのだ? 確かにこやつはユーキの魔力を利用しようとここに連れてきた。そのことは我も気にくわないが、使えるものは使ったほうが良いだろう」


「はぁ、分かっている。分かっているが私がなんとなく納得出来ないだけだ」


 やっとお父さんとエシェットのお話終わったみたい。もう! エシェット少ししかここに居られないんでしょう? なんでお話ばっかりしてるの。


 でも、これから少しだけエシェットと遊ぼうと思ったのに、今度は僕がやることがあるんだって。エシェットが僕のこと抱っこしながら、アルマンドさんの後ろ歩いて行きます。僕達の後ろお父さん達がぞろぞろついてくるよ。


 着いたのは広いお部屋で、真ん中にま~るい艶々した、透明なボールみたいなのが置いてありました。ボールの下には絵が描いてあって、絵の周りにも小さいボールみたいなのがたくさん置いてあります。


 エシェットが僕のこと下ろして、これから僕がやる事教えてくれました。

 僕ずっと魔法の練習してないでしょう。それからじぃじやばぁばに魔法見せようと思ってたのに、ここに来ちゃったからまだ見てもらってません。だから魔力がお体の中に溜まっちゃってるんだって。このままだとこの前みたいに、僕具合が悪くなっちゃいます。頭が痛くなったりお熱が出たり。

 それはダメダメだから、これからお体に溜まってる魔力をお外に出すんだって。このお部屋はそれができるお部屋みたいです。


 真ん中の大きいボールに、魔力石みたいに魔力を流すと、あのボールに溜まります。そうすると街の周りに結界が張ってあるでしょう。その結界がとっても強くなって、今よりもっと、悪い人魚さん達が襲ってきても大丈夫になるみたいです。


「ユーキの体の中に溜まってる魔力も無くなって、周りの結界は強くなって、とてもちょうど良い。さぁ、ユーキ今日は我が手伝ってやろう」


 僕お父さんに魔力使って良いか聞きました。そしたら良いって。でも今日はコップ半分じゃなくて、もっと少なく入れなさいって言われました。う~ん。できるかな?

 いつもみたいに魔力さんにお願いします。


「まりょくしゃん、よろちくおねがいでしゅ」


 ありゃぁ、今日も魔力さんダメでした。いつになったらお願い聞いてくれるかな。

 エシェットが後ろに立って僕に魔力流してくれて、僕はコップに魔力入れました。やっぱり多く入っちゃったよ。でもちょっとだけ多くだよ。大丈夫だよね?


 ボールの前に行ってボールに触ります。とっても冷たくて僕ぴゃって言って、お手て離しちゃいました。ビックリしたの。今後はそっとそっとボールに触ります。うゆ~、やっぱり冷たい。でも我慢我慢。魔力をボールに流します。


 ボールにどんどん魔力を流したら、ボールが白く光ってきました。そして。


「こんなに…!?」


「あ~、アルマンド。これは大丈夫なのか?」


「あ、ああ。大丈夫だ。虹色に光ったらやめた方が良いが」


 最初はちょっとだけ白く光ってたボールが、今は真っ白にとっても眩しく光ってます。ま、まぶしいぃ~。まだお手て離しちゃダメ? 眩しくてお目々開けてられなくなっちゃいました。お目々瞑ったまま魔力流します。そしてらアルマンドさんがいきなり叫びました。


「ま、待て! 止めろ!! これ以上はまずい!!」


 僕眩しかったけど、ちょっとだけお目々開けました。そしたらボールが虹色に光ってて、周りの小さいボールも虹色に光ってます。


「ふわわ、きれいでしゅう!」


「ユ、ユーキ、魔力を流すのやめなさい!」


 今度はお父さんが叫びます。あっ、でもちょうど魔力全部流したよ。僕がお手て離しても、ボールは虹色に光ったまんまです。アルマンドさんがすぐにお部屋からみんなを出しました。それからすぐに僕達が泊まってるお部屋に戻って、みんなでお椅子に座りました。アルマンドさん、すっごく汗かいてます。どうしたのかな?


「ユーキ魔力をありがとう。これで悪い人魚はなかなか攻撃して来れなくなる。はぁ」


 ありがとうなのに、アルマンドさんあんまり嬉しそうじゃないです。何で? せっかく僕魔力流したのに。僕がちょっとブスッてしてたらディル達が僕のこと見て、攻撃の格好しました。


「まっ、待ってくれ!」


 アルマンドさんがお手てを振ります。お父さんもディル達のこと止めました。


「あれ以上魔力を流すと、結界が壊れてしまっていたんだ。だから俺は止めたんだ。ユーキには本当に感謝している。ありがとう」


 今度はアルマンドさんが立ってお辞儀しました。そっか、結界壊れたら大変だもんね。ちょうど魔力無くなって良かったです。お父さんが言ったよりコップに魔力入れちゃったからかな。


「足りなければ我も力をかそうとおもっていたが大丈夫だな。ユーキが陸に戻れるようになっても、陸が危なければここによこすつもりでいたからな。


 エシェットが僕の頭なでなでしてくれます。

 でも、魔力流すの終わってエシェット帰っちゃいました。くろにゃんが迎えに来て、少しだけギュッてしてなでなでしたらすぐに帰っちゃったの。僕お父さんに抱きつきます。やっぱりみんな一緒が良いなぁ。ちょっと寂しいです。でもあと5回寝たら帰れるんだよね。僕我慢する。


 お昼食べてからスージーちゃんとアーク君と、またお魚さん見に行きます。今日はどんなお魚さん見れるかなぁ。

 壁の所まで行って、今日は最初からプルカ見れました。この前よりも小さいプルカの塊だったけど、やっぱりとっても可愛かったです。

 でもねジョシュアお兄ちゃんはずっとあの魚美味しそうばっかり言うの。お兄ちゃんご飯のことばっかり。森に居たときも木の実が美味しそう。魔獣のお肉が美味しそう。いっつもそうなんだよ。もう!! 

 

 その後もたくさんお魚さん見て、アイリーンさんがそろそろ戻りましょうって言ったときでした。お父さんとお手て繋ぎながらお城に戻ります。

 僕ちょっとだけ振り返りました。明日も見に来れたら嬉しいなぁって思ってたら、遠くの大きな岩の所、大きなお魚さんのおしっぽが見えた気がしました。僕がそのこと言おうとしたら、ルトブルとアイリーンさんが勢いよくバッ!! って振り向きます。


「今の気配…。気がついたか?」


「ええ。一瞬でしたが。ですがアレはこの海にはいないはず…。お兄様に知らせます。おそらくお兄様も気がついたはずです」


「どうしたんだルトブル」


「とりあえず城に戻るぞ。話はそれからだ」


 ルトブルとアイリーンさんのお顔見て、お父さんなんか怖いお顔になりました。お兄ちゃん達も。ルトブルがスージーちゃんとアーク君抱っこして、僕はお父さんに抱っこしてもらってお城に帰ります。


 お部屋に戻るとき、アルマンドさんが走ってきました。それでお父さんやルトブル、アイリーンさんとコソコソお話です。さっき僕がおしっぽだけ見たお魚さんのお話かな? 悪い人魚さん達が連れて来ちゃったの?


「気配を感じたか? 今から周りを調べる。アイリーン、皆を連れて城の中央の部屋へ。あそこが1番安全だ」


「はい。お兄様お気をつけて下さい。それからあまり離れないように。ユーキちゃんのためにも絶対にです」


「我も行こう」


「ありがとうございます。ルトブル様」


 コソコソお話終わって、アイリーンさんが僕達のお泊りしてるお部屋じゃなくて、別のお部屋でご飯食べましょうって言いました。今日はスージーちゃん達と一緒にご飯食べて良いって。僕達3人でお手て繋いで歩きます。ルトブル達はどこかに行っちゃいました。


「とうしゃん、わるいにんぎょしゃんきちゃ?」


「う~ん。どうだろうな? 今ルトブル達が見に行ってくれてるから、ユーキ達はご飯食べて、お部屋で待ってような」


「うん…」


 ルトブルお怪我しないでね。お怪我したらすぐに帰って来て、ディルに治してもらってね。

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