第210話ルーリアのお名前考えよう!
(ルーリア視点)
「全く相手があのカージナルのウイリアム家だったとは。しかし…。ここで要らん疑いをかけられる訳にもいかん。それに。おいお前来い!!」
僕はあいつに呼ばれてあいつの前に座れをして、それから指示を待ったんだ。
夜、昨日みたいにユーキの所に行ってたくさんお話して帰ってきてすぐ、あいつが部屋に来たからちょっとだけドキドキしちゃったよ。でも外に出てるのバレてないみたいで良かった。
あいつがガサゴソ袋の中をあさってハサミを取り出して、ドキドキが別のドキドキに変わったんだ。僕、もしかして殺される? って思ったから。でも違ったんだ。僕の足についてる輪っか。これあいつの物っていう証拠って言ってたやつ。それをあいつがパチンって切って外したんだ。
「お前をあのガキの所へ連れて行く。お前は自由になるんだ。どうだ嬉しいだろう。」
あいつがニヤって笑ってそう言ったの。え? どういうこと? 僕自由? ユーキの所に行く?
「この間からあの騎士一族は、何度もこの街に来て、もしかしたら俺のしていることを調べているのでは? まったく面倒な。ここは良い顔をして少しでも疑いが向かないようにしなければ。ちょうど明日あのガキがお前を気に入っているしお前も気に入っているようだ。これは法律違反でも何でもないからな。譲渡だからな。保護した魔獣の譲渡をしていると思わせれば、素晴らしいと逆に称賛されるかも知れん。お前は何度も魔獣を逃してくれたからな。ちょうどいい厄介払いにもなって一石二鳥だ。」
ユーキの所に…。本当? 本当なの?
「昼には行くからな。最後の別れでもしておくんだな。」
あいつが部屋から出て行って、みんなが僕の所に集まってきて、とっても喜んでくれたんだ。
「良かったね!」
「凄いな、本当に君は自由になるんだ。」
「でもなんか嬉しそうじゃないね。どうしたのか? ユーキの所に嬉しくないの?」
だってみんなまだここに居るんだよ。僕だけなんて…。そう言ったらみんなに怒られちゃったよ。せっかく大好きなユーキの所に行けるのに、ちゃんとユーキの所に行かないと許さないって。そのあとまたみんな、僕のこと喜んでくれたの。
お昼ごろ、あいつと一緒に部屋を出るとき、僕みんなに言ったんだ。
「絶対助けに来るからね! 絶対だよ!」
みんながしっぽをブンブン振ってくれました。ユーキもユーキのお父さんもみんなもとってもやさしいもん。だから絶対助けてもらえるよ。
(ユーキ視点)
夜ルーリアが前の日みたいにお話に来て、たくさんお父さんとお話した次の日。本当は僕達お家に帰るはずだったんだけど、ルーリア助けるからもう少し街に居るってお父さんが。それからねお昼にね。
「ふおお! きょからいっしょでしゅか?!」
「そうだぞ。今日からこのルーリアはユーキや私達と一緒に暮らすんだ。」
お父さんが悪いおじさんから、最初に僕のお友達のルーリア助けてくれたの。今日から一緒に暮らせるんだって。僕達とずっと一緒にいればルーリアがおじさんに隠れてお話しに来なくても良くなるからって。マシロもね、これで早く他の子達助けることが出来るかも知れないし、お仕置きできるかもって言ってます。
「主、ルーリアに名前をつけなくて良いのか? ルーリアは主とちゃんとお友達になる契約したいようだぞ。」
「おともだちいいでしゅか。おなまえちゅけていいでしゅか?」
僕の頭の上でルーリアがキュキュゥって鳴きました。名前つけてって言ったんだって。お友達だけど、もっとお友達になれるんだ。僕頑張ってお名前考えなくちゃ。うんとうんと、どうしようかな?
僕がお名前考えてる間、ルーリアとディル達がお部屋の中、グルグル回って遊んでます。ちょっと静かに! 僕お名前考えてるの! なかなかお名前決められない。
「ユーキは何うんうん唸ってるんだ?」
お昼ご食べにハロルド達が戻ってきました。
「ルーリアの名前考えてるのよ。名前考えてそれから契約するみたい。」
「契約って。そんな簡単に。」
「あの人がルーリア連れて戻ってきたら、すぐにこの状態になったのよ。まあルーリアちゃんも契約したいみたいだし、止めても無駄でしょうからね。それに今更でしょう?」
もう、みんな静かにだよ! キュキュイって鳴くからキュキュ? キュイ? ルーリアだからルリ? リア? ルア? う~ん。
お昼食べてからもずっと考えます。じぃーってみんなと遊んでるルーリア見てたら、ルーリアがタタタッて僕の所に走って来ました。僕の前にお座りして、ルーリアも僕のことじぃーって見てきました。あっ、お目めの色金色なんだね。黄色に見えたんだけどちゃんとよく見たら金色だったんだ。
「そういえば誰も気づいていないようだったが、このルーリアの目の色は金色だったな。ふむ。金色は見分けがつけにくいからな。あの男も変異種と気付かなかったのだろう。」
お母さんがエシェットのお話聞いて、僕の近くに来てルーリアのお目め見ました。それからハロルド達がお泊まりしてるお部屋で、お仕事してるお父さんの所に行っちゃいました。どうしたのかな?
「ユーキ。我は昔金色の花を見たことがあるぞ。我々ドラゴンはホプリスと言っていたが、人間達は『希望の花』と言っていたはずだ。『泡沫の花』よりも珍しい花だぞ。」
ホプリス。なんかカッコいい。僕ルーリアにホプリスってお名前どう? って聞いてみました。エシェットがちゃんと説明してくれたよ。ルーリアお名前聞いたあとお部屋の中何回もグルグル走って、それからまた僕の前にお座りしておしっぽぶんぶんです。
「気に入ったようだな。よしユーキ、お友達契約だ。」
今日はルトブルが魔力さんのお手伝いしてくれました。あったかい魔力が溜まって、
「ホプリスおともだちなってくだしゃい。」
ホプリスがポワァッて光ってすぐに光が消えます。それでさっきよりもおしっぽふわふわで。お目めももっと綺麗な金色のお目めになりました。これで完璧なお友達だね。みんなでバンザイします。キミルが花びらふわふわ飛ばしてくれました。
みんなで喜んでたらバタンってお父さんがお部屋に入ってきて、バッてホプリスのこと抱っこして、お目めをじぃーって見つめます。それから「はあぁぁぁぁぁ~」ってすごい溜め息ついて、ホプリス置いてお部屋から出て行きました。お父さんがお部屋から出て行ってすぐお母さんが入ってきます。お名前のこと言わなくちゃ。
「かあしゃん、おなまえホプリスでしゅ。」
「ホプリス良い名前ね。」
お母さんが頭なでなでしてくれて僕えへへだよ。でもちょっとだけお名前言いにくいんだ。たまにホプリシュになっちゃうの。そしたらねモリオンがくろにゃんみたいにすれば良いよって。くろにゃんの本当のお名前ルドックでしょう。ニックネームがくろにゃん。だからホプリスもニックネーム考えたらって。
それでねホプリスにニックネーム考えてもいいって聞いたんだ。そしたらね、
『うん良いよ。』
ってどっかから声が聞こえたの。僕の知らない声。何処から聞こえたのかな?僕があっち見たりそっち見たりしてたらホプリスが僕の前にちょこんって座ります。
『僕ユーキがつけてくれるお名前だったらなんでも良いよ。』
??? ホプリスから声が聞こえます。マシロが、
「主がつけた名前ならなんでも良いと言っているぞ。」
おんなじこと言ったんだ。聞こえたと思っただけかな? う~ん?
ニックネーム何にしようかな? かわいいのが良いなぁ。くろにゃんみたいなやつ。でもホプにゃんはダメダメな感じがするし。ホプホプ? ホップ? ホップってなんだっけ? 確か料理人さんがクリーム作るとき、かき混ぜることホップって言うって教えてくれたよね。クリーム…。プリン食べたくなっちゃった。お母さんの青いプリン。とっても美味しんだ。あっ!!
「ぼくプリンしゅきでしゅ。ホプリンかわいいでしゅ。ホプリンどうでしゅか!」
『ホプリン、うんかわいい感じがするよ。僕はホプリスでホプリン。ユーキお名前付けてくれてありがとう!』
あれ、また声が聞こえたよ。隣でホプリスの言ったこと教えてくれるマシロがまたおんなじこと言いました。
「ホプリンおはなちできるようになったでしゅか?」
僕がそう言ったら、マシロがびっくりしたお顔しました。僕さっきからホプリンから声聞こえたことみんなに言いました。そしたらねエシェットがもしかしたらって。ホプリン特別のルーリアだったでしょ。特別なルーリアだったから契約したら言葉が分かるようになったのかも知れないって。契約した僕だけが分かる声じゃないかって言いました。僕ね、お母さんに聞きました。ホプリンの声聞こえるって。そしたらお母さんホプリンがキィキィって鳴いてるのしか分からないって。
「やはり契約したユーキだけ特別なのだ。良かったなユーキ。」
僕だけ特別。ふわわ! なんかとっても嬉しい! またまたみんなでバンザイです。僕達がバンザイしてたら、またお母さんお父さんの所に行ってくるって、お部屋から出て行っちゃいました。お父さんもお母さんもハロルド達もみんなとっても忙しいです。ルーリア達助けるためにみんなとっても忙しいの。
だから僕達もお父さん達のお手伝いしようって言ったんだ。
お手伝い。お父さん達は悪い人達捕まえる方法考えるので忙しいから、そのあとのお仕置きの方法考えようって、どんなお仕置きがいいか、みんなでお話し合いです。
どんなお仕置きが良いかな? 僕はこの前にポヨンポヨンの結界のお仕置きが良いな。ディル達は、もし遠くに飛ばすお仕置き出来るならそれが良いって。でもこの前みたいにダメなときはポヨンポヨンで良いって。
僕達がお話してたら、ホプリンがどんなお仕置きか聞いてきました。そっか。ホプリン見たことないよね。僕はカバンの中から、ちいちゃなお人形さん出しました。人のお人形と魔獣のお人形だよ。
最初はエシェットに魔獣のお人形飛ばしてまらいます。エシェットが指でお人形触ったら窓の方まで飛んでいっちゃいました。でも魔獣飛ばしたときはこんな感じだったよね。ぽーんって。ディル達がホプリンに説明してくれます。
『面白そう! 僕それ見てみたい!』
って。でもダメダメってなっちゃうかも知れないから、ポヨンポヨンのことも教えてあげます。
『わぁ、それも面白そう!どっちもが良いなぁ。』
そうだ!ポヨンポヨンなら今遊べるよね。エシェットにポヨンポヨンの結界作ってもらって、みんなで飛び乗って遊びます。ホプリン凄いんだよ。クルクルクルって、空中で1番クルクル回って降りるの。みんなの中で1番回ったんだ。僕はジャンプだけ。全然回れません。
ポヨンポヨンで遊んでたらお父さんがお部屋に入って来て、それでポヨンポヨン見て静かにしなさいって怒られちゃった…。エシェットにお部屋にも結界張ってもらったから大丈夫なのに。すぐに遊ぶの終わっちゃったけど、でもホプリンとっても喜んでくれたから良かったぁ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます