第203話今日は水の魔法の練習だよ

「さあ、今日はこの前の魔法の練習の続きだよ。」


「はいでしゅ!!」


 芋虫の次の日、オクタビオと魔法の練習です。でも僕、最初あんまり魔法の練習したくなかったの。この前みたいにお家とかお庭壊しちゃうのはヤダ。お父さんにそう言ったの。そしたらねお父さんどんどん壊して良いって言ったの。え~、だって壊しちゃうとアシェルも使用人さんもメイドさんも、それにキミル達もとっても大変なんだよ。


「ユーキちゃん。ユーキちゃんみたいに魔法練習してる子は、みんないろいろなもの壊すのよ。たくさん壊してそれでだんだん魔法上手になるの。お父さんもお母さんも。オクタビオもアシェルもみんな、最初はたくさんお家の物壊しちゃたのよ。お父さんは、お庭にある小さい小屋、何回も壊しちゃったの。ね、あなた。」


「そうだぞ。それに花壇だろう。それから自分の部屋も何回も壊したぞ。ユーキと同じだ。」


「だからユーキちゃんも壊して大丈夫よ。それにね、今日からエシェット達が結界を張ってくれるから、この前みたいにお家壊れたりしないわ。」


「ぼく、まほうだいじょぶ? たくしゃんバァ~ンってなってもだいじょぶでしゅか? 」


「ええ、たくさんバァ~ンてして大丈夫。だから魔法の練習しましょね。そうね。じゃあユーキちゃんが思いっきり練習できるように、お母さんが魔法見せてあげるわ。」


 お母さんとこの前練習したお庭の所に行きました。エシェットに結界張ってもらって、お母さんが魔法使います。お母さんが前に手を出したら、火の丸い玉が出来ました。それをお母さんがお家の方に投げたの。火の玉投げたときにビュゥって音がしたんだ。それから風がブワって。僕転びそうになっちゃってマシロが咥えてくれました。お母さん風の魔法も使ったのかな? 

 火の玉がバアァァァァァンッ!! って凄い音してぶつかりました。それでそのあとドォ~ンって爆発したの。おお?! この前のエシェットとルトブルの魔法みたい。それで煙がなくなったらエシェットの結界も、お家もお庭も全然壊れてませんでした。


「どうユーキちゃん。全然壊れてないでしょう。これならユーキちゃんが魔法練習しても壊れないわよ。だからどんどん練習しましょうね。」


 お母さんがあんなに凄い魔法使っても壊れなかったんだもん。これなら僕が魔法の練習しても大丈夫だよね。僕もお母さんみたいにカッコいい魔法出来るようになるかなぁ。


「かあしゃんしゅごいでしゅ! ひとかじぇのまほう!」


「火と風? 今のは火だけよ。」


 およ? 火だけなの? でもビュウって風吹いたよね。


 お母さんは頑張ってって言ってお出かけしちゃいました。今日は街のお母さん達が集まる日なんだって。僕達はそのまま魔法の練習です。


 最初は1人で魔力溜める練習です。最初は1人で練習してダメだったら、この前みたいに手伝ってもらうの。

 練習しようと思ったら、でもその前にって、オクタビオがこの前よりも小さいコップを袋から出したの。この前のコップの半分くらいのコップだよ。僕のコップみたい。僕のご飯食べる時のコップ小さいの。うさぎさんの絵が書いてあるんだよ。この前のはお父さん達のコップくらい。それでね今日はそのコップの半分に魔力を入れてって。


「魔力が溜まって、僕が言った量よりも多く入っちゃったら言うんだよ。」


 よし、頑張ろう!! 最初はちゃんとに魔力さんにご挨拶。それから魔力を溜めます。でも、お願いしますしたのに今日も魔力溜められませんでした。魔力さん僕とお友達まだダメ? 小さいとお友達になるのダメなのかな? 僕ちょっとだけしょんぼりです。


 しょんぼりしてたらルトブルが僕の頭なでなでしてくれました。今日はルトブルがお手伝いしてくれるんだって。エシェットにジャンケンで勝ったって言ってました。僕がねじゃんけん教えてあげたの。ルトブルじゃんけん面白いって言って、この頃じゃんけんばっかりやってるんだ。この前もキミル達とじゃんけんしてお菓子多くとってたんだよ。


「よし我も挨拶からだな。」


 ルトブルも僕の魔力さんにちゃんとご挨拶してくれたよ。それからマシロみたいに僕に魔力流してくれました。いつもみたいに魔力流してもらったらちゃんと魔力溜められたよ。よし、コップコップ。小さいコップに半分だけ…。あっ! またいっぱい入っちゃった…。


「いっぱいはいっちゃったでしゅう…。」


「どのくらい入っちゃったかな?」


「うんと、はんぶんとちょっと!」


「それくらいなら大丈夫だよ。(わざと少なく言って置いて正解だった。多分入れすぎると思ったんだ。)それじゃあ今日はこの魔力石を使って練習してみよう。」


 オクタビオが青色魔力石を袋から出しました。お水の石だね。でも…。この前の魔力石とってもちっちゃかったけど、今日のはもっとちっちゃいの。アメみたいやつ。ディル達もアメ?ってオクタビオに聞いてたよ。この前の石は大きかったんだって。僕はこのアメ魔法石がぴったりみたい。


 魔力石をもらってギュウって握って、コップに入ってる魔力を流していきます。ちゃんと流せたかな? 僕はそっと手を開きました。魔力石がちょっとずつ光ってきて、そしたら魔力石の上に、僕のお顔より大きいお水の玉が出来ました。

 そしたらその水の玉が、ヒュって上に飛んだんだ。飛んだお水の玉がエシェットの結界にぶつかります。それでパンって割れちゃったの。


「きゃあぁぁぁ! あめでしゅう! モリオンこの前の大きな葉っぱさんだちてくだしゃい。」


 モリオンにこの前キミルが生やしてくれた、大きな葉っぱ出してもらいました。茎のところもつと傘になるんだよ。バサバサバサって雨が降ってきます。僕の初めてのお水の魔法、雨魔法です。ちゃんと魔法出来たよね。


 僕ちゃんと魔法できてとっても嬉しかったよ。ディル達もヤッタァ~してくれました。あれ? でもお父さん達何も言ってくれない? 僕ちゃんと魔法できたよ? 僕はお父さん達の方見ました。お父さんもオクタビオも頭とかお洋服とかびしょびしょです。あっ! お父さん達傘がない! モリオンにお願いするの忘れちゃったよ。でもアシェルはぜんぜん濡れてないね? 


 僕アシェルが濡れてないか、ちょんちょんして確認です。どうして濡れてないの? アシェルが僕に白っぽい水色の魔力石見せてくれました。氷の魔力石なんだって。雨が降ったときに氷の魔法で、僕みたいな氷の傘作ったんだって。


「旦那様、それにオクタビオ。氷の魔力石を持っているはずですが? それに私はこういうときどうすれば良いかお教えしていたと思います。旦那様とはパーティーを組んだときに。オクタビオ、あなたはあの方に習ったのではないのですか? ふむ。これはユーキ様の練習でもありますが、こちらの訓練にもなりそうですね。」


 お父さんとオクタビオがしゅんってなっちゃいました。どうしたのかな? 

 オクタビオがしゅんってしたまま、僕にどんどん練習してって言ってきたの。だから僕どんどん練習です。2回目も3回目も雨の魔法が出来ました。結界にぶつかって割れちゃうから。

 あのね僕の魔法不思議って言われたの。水の玉上に上がらないはずなのにって。いろいろな所に飛ばすのは、もっとたあ~くさん練習した後に出来るよになるの。だからほんとは僕が水の玉作るでしょう。そしたらすぐに割れちゃって僕のお手ての上に落ちるんだって。それなのに上に飛んで行っちゃうから不思議って言われたの。

 えへへ。僕の魔法、不思議な魔法。なんか嬉しいなぁ。


 今日はあと1回練習したら終わりって言われたから、最後の1回頑張るよ!

 1人だとやっぱり魔力溜められないけど、コップには上手に入れられるようになったよ。最後の練習してたら結界のお外にハロルド達が来ました。エシェットが2人を結界の中に入れました。僕の魔法見にきたんだって。


「さっきから向こうで見てたら上に飛んで行ってるからな。今日は大丈夫そうだから見にきたんだ。」


 僕のお手てと魔力石の上に水の玉が出来ます。ん? 最後の水の玉が1番大きいね。でもちょっとだけだから大丈夫。ヒュンって最後の水の玉が上に飛びました。でも…。


「…おおぉ、でしゅ?」


「………どうしてだ? 何でこっちに飛んで来るんだ?!」


「あなた方もですか…。まったく、皆訓練が足りないようですね。はぁ~。」


 上に飛んで行った水の玉、途中でビュンって曲がったの。それでハロルド達の方に飛んで行っちゃったんだ。それで2人の頭の上で割れちゃったの。2人ともびしょびしょだよ。エシェットの方見たらニヤニヤ笑ってました。


 それでね、今度から僕が魔法の練習する時、お仕事がない日はみんなで練習するってアシェルが言ったの。お父さん達は僕の魔法を見るのが練習なんだって。変な練習だね。

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