第202話女の子の内緒のお話と、新しいお洋服。

朝ね、僕いつもより早く起きたの。うんとねぇ、お母さん達が起きる前! それでね起きたら僕、足とお頭反対になって寝てました。でも寝たときみたいに青色妖精さんは僕のお顔のお隣で寝てたよ。シルフィー達もいつもみたいに、最初と違う場所で寝てます。あれ? お父さん何でマシロベッドで寝てるの? たまにお父さんマシロベッドで寝てるね。きっと僕みたいに寝てる時にゴロゴロ動いちゃって、ベッドから落ちちゃうんだ。


「かあしゃんあしゃでしゅよ。」


「う~んユーキちゃん…、まだ起きるのちょっと早いわよ。」


「でもあしゃでしゅ。」


「じゃあ、その小さいお家でなら遊んでもいいわ。お部屋から出て遊んじゃだめよ。静かに遊んでね。お父さんまだ寝てるしお母さんももう少し寝るわ。」


 お母さんそう言って反対側向いてまた寝ちゃいました。

 僕達は小さいお家の中に入ります。小さいお家の中にも、この前キミルが咲かせてくれたお花がいっぱい入ってます。女の子妖精さん達が、少し貰っても良い?って。だからたくさんあげるよって言ったの。だってモリオンの闇の中にまだまだたぁ~くさんあるんだもん。全部出したらお部屋埋まっちゃうから出してないの。


 女の子妖精さんとっても喜んで、小さなお家から出て袋探し始めました。それで机の上にあった、僕のお菓子入ってた袋持って来ました。その中にどんどんお花入れます。それでぱんぱんにお花入れたら女の子妖精さん達、内緒のお話始めました。


「ユーキ、女の子達が内緒の話し始めたら、絶対にお話無理やり聞いたり、お話の邪魔しちゃダメだよ。じゃないと、女の子達とっても怒るからね。怒るとユーキの嫌な事ばっかりされちゃうよ。お菓子取られたり、オモチャ隠されちゃったり。ね。絶対だめだよ。」


 リュカが何回もそう言って来たの。ディルや他の妖精さんも凄く頭振って頷いてるんだ。どうしてお話一緒にしちゃダメダメなのか分かんないけど、嫌なことされるのはやだな。内緒のお話の時は静かに他の妖精さん達やリュカ達と遊んでよう。


 少しして内緒のお話終わった女の子妖精さん。急に帰るって言ってきました。え~。朝のご飯一緒の食べないの? それに今日は遊ばないの?


「私達ちょっとやることがあるの。」


「私達は帰るけど、こっちは残るからね。ね、そうでしょう。」


 男の子達がうんうんさっきみたいに頷きます。


「それに、私達の用事が終わったらすぐにまた遊びに来るわ。だからそれが終わったら、また遊びましょう。」


「ディルも私達がまた来るときまでに、あのキラキラの羽の魔法のこと、考えておいてよね。」


 ディルとっても嫌そうです。女の子妖精さん達はそう言って、袋みんなで運びながら帰って行っちゃいました。僕はマシロに乗って、窓からお外見てみんなにバイバイです。バイバイ終わって後ろ見たら、リュカ達がふぅって溜め息ついてました。


 その後僕達はまた小さなお家に入って遊びました。遊んでるうちにまた眠くなってきちゃって、気づいたらいつの間にか小さなお家の中で寝ちゃってました。みんなもね。


「あらあら、体がお花だらけね。」


 お母さんに抱っこしてもらってお花全部落として、お着替え終わったら朝のご飯です。それが終わったらすぐにお庭に行きました。昨日壊しちゃった壁と窓見に行ったら、全部直ってて、それに直す前よりも綺麗になってたの。凄いね。僕のお部屋の時みたいにすぐに直っちゃった。


 今日は魔法の練習も剣の練習もお休みです。みんなお仕事の日だから。それにオクタビオはまたまたお隣の街に買い物に行っちゃいました。妖精さん達いるから練習よりも遊ぶほうがいいや。

 じいじの木の所に行って、お池に浮かべたお花見せてあげたんだ。それからお家の中にある川に行ってお花流したら、妖精さん達良いこと思いついたって。それで少し大きいお花をモリオンに出して貰いました。お花に妖精さんが乗ります。妖精さんが1人乗ってちょうどいいお花です。それを僕が川に押してあげたの。お花がお船みたいになって、どんどん川を進みます。川の最後の所まで転がらないでちゃんと行けたんだよ。

 妖精さん達がみんなお花に乗り始めました。モリオン達も。


「ふわぁ、面白い!」


「これ楽しいね!」


「キミルはモリオンと手繋いで到着!」


「キミル、もう1回やろう!」


 みんないいなぁ。僕もそれやってみたい。でも僕妖精さんみたいにちっちゃくない…。つまんないよ。みんなとっても楽しそうなのに、僕とシルフィーはブスっとしちゃった。そしたらルトブルが、


「ユーキ、それにシルフィー、今度、そうだなもう少し季節が暑くなったら、我がいい所へ連れて行ってやる。ユーキ達でもたくさん水遊びができる場所だ。だから今はちょっと我慢だ。今日は我のおやつは2人に譲ろう。あげるという意味だ。」


 いい所?! どんな所だろう。う~ん、ルトブルがいい所に連れて行ってくれるなら、ちょっとだけ我慢しようかな。それにおやつもくれるって。僕はシルフィーと一緒にルトブルとお約束です。


 その後は別のお庭の所に行って遊びました。虫さんがたくさん居る所だよ。今は芋虫さんがいっぱいなの。もうすぐたくさん可愛い蝶々さんになるんだよ。妖精さん達も蝶々さん可愛いから好きだって。あっ! 蝶々! 僕とっても大事な事忘れてた! とってもとっても大事な事。


 妖精さん達と遊んだ次の日、僕はお母さんと一緒にクロエさんのお店に行きました。僕の新しいお洋服買いに行ったんだ。あのね、今日買ってもらうお洋服、僕が考えたんだよ。僕がクロエさんにお願いしたら、最初お母さん別のお洋服がいいって言ったの。でも僕絶対あのお洋服が良いんだもん。


「こんにちわでしゅう!!」


「ユーキちゃんいらっしゃい。ちょうど良かったわ。洋服が出来たって知らせに行こうと思ってたのよ。それじゃあユーキちゃん。こっちのお部屋で着替えてみて。サイズが良ければ持って帰れるからね。」


 お洋服着た僕。ちょっと大きいけど、でも大丈夫。僕これから大きくなるんだもん。今日買ってもらったお洋服は3つ。僕全部好きだよ。お母さんは2つ好きだけど。僕が最初にお願いしたお洋服はお母さんあんまり好きじゃないみたい。どうしてかな。可愛いのに。


 お家に帰ってすぐに遊びのお部屋に行きます。それですぐにお着替えです。それからそのお洋服のままお花のプールの中に潜ります。ほら完璧だよ。僕とっても嬉しくてお花の中モゾモゾ動きます。キミルやモリオンもおんなじの着てるんだよ。シルフィーもね。ディルとリュカはクロエさん姿が分からないから作ってもらえませんでした。でもその代わりに作って貰ったのがあるんだ。


「ユーキここに居るのか?」


 お父さんだ! 


「まってでしゅ! かくれんぼでしゅ!」


 僕はお花の中にもう1度潜りました。お尻がちょっとだけ出てるってマシロが教えてくれたから、上からお花かけて貰いました。みんなもお花に潜ります。 


(ウイリアム視点)

 部屋に入ると、全然ユーキ達の姿が見えなかった。おそらくあの花の中だろうが、ここは分からないフリをして探してやろう。部屋の中をひと通り探すふりをして回る。


「まいった。全然分からないな。しょうがない。お父さんユーキに果物のジュースをもらって来たんだが。これはお父さんが飲んでしまおう。」


 そう言うと慌てたユーキの声が、やはり花の中から聞こえてきた。


「ジュース!!」


 花が飛び散る。そして駆け寄って来ると思った私の予想はまちがっていた。緑の塊がウニョウニョと近寄って来たのだ。ユーキくらいの緑の塊と小さい塊が3つ。何だあれは?!緑の塊が頭を上げると、顔の部分だけちゃんと見えるよになっていて、そのまままたウニョウニョ這い出した。


「オリビアこれは一体何なんだ?」


「それが、初めてお庭で芋虫見つけたとき、芋虫が気に入っちゃったみたいで。街に遊びに行ったとき、自分からクロエに芋虫のお洋服作ってくださいって頼んだのよ。」


 確かに今のユーキ達の格好は芋虫だ。何でまた芋虫なんか…。私と同じことを思っていたオリビアが、


「どうして芋虫なのかしら。他にもいろいろあるじゃない。今日買ってきたお洋服、1番に着たのがあの芋虫よ。芋虫の何がそんなに惹かれるのかしらね。」


 部屋の中を1周したユーキ芋虫軍団が、芋虫から抜け出し、私が持ってきたジュースを飲み始めた。本当に芋虫の何が良いんだ。子供の気に入る基準が分からない…。

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