第198話魔法の練習

 夜、僕が寝るまでにオクタビオ帰って来ませんでした。でも次の日の朝起きて、ご飯のお部屋に行ったら、オクタビオがイスに座ってたんだ。


「おはよごじゃいましゅう…。」


 僕は挨拶してからそのままマシロに寄っかかりました。そのままずるずる座ろうとした僕を、マシロが襟のところ咥えてイスに座らせてくれました。


「ユーキ君はいつも朝眠そうだね。ご飯食べてもう少し目が覚めてから話た方がいいかな?」


 オクタビオが何か言ってたけど、僕ポヨポヨで分かんない。モソモソ、モソモソ、頑張ってパンを食べます。たまにコクってお顔が前にいっちゃうの。ソーセージ食べてスープ食べて、最後はヨーグルトみたいなやつ。名前はパピクト。オレンジ色の蜂蜜味ででとっても美味しいだよ。僕これ大好きなんだ。でもね。


 いつもご飯食べてると、最後のデザート食べるとき目が覚めるの。でも今日は全然目が覚めない。眠いんだぁ。だからパピクト食べてても、あんまり嬉しくないの。こっくり、こっくり…。ベチャッ!! 何々? お顔が少し冷たいよ? 僕はお顔上げました。


「あら嫌だユーキちゃん。」


「ぷっ!」


「くっ!」


「ふふ。」


 ん? ハロルド達と何笑ってるの? 


「ユーキちゃんが食べないで、パピクトがユーキちゃん食べちゃったわね。」


 お母さんが僕の所に来て、鏡で僕のお顔がどうなってるか見せてくれました。お口のところとお鼻のところまん丸くパピクトがくっ付いてました。くまさんみたい。僕こっくりしててお皿にお顔入れちゃったんだ。

 お母さんがお顔拭いてくれてる時、ハロルド達がガハハハハって。僕とっても眠かったけど、半分だけ目開けてキミル見ました。キミルちゃんとわたぼこ攻撃してくれたよ。


 アメリアが新しいパピクト持ってきてくれて、ポヨポヨしたままやっと全部食べました。すぐにお母さんの所にいって抱っこしてもらったの。だって眠いんだもん。


「夜中にトイレに行って、目が覚めちゃったのがいけなかったわね。あれから全然眠れなかったから。」


「バッチリ目が覚めて、遊ぼうとしてたからな。眠ったのは日が昇る少し前か? オクタビオすまないが午後からでも良いか?」


「はい。僕はその間に、買ってきた物の整理をしておきます。」


 ん? 何のお話? 僕いつの間にか寝ちゃってました。

 起きたらお昼ご飯の時間でした。お昼ご飯はちゃんと目が覚めて、パクパク食べられたよ。今日は何して遊ぼうかってみんなでお話してたら、お父さんがお父さんのお仕事のお部屋に来なさいって。だからご飯食べてすぐにお部屋に行きました。お父さん達はすぐ食べ終わって先に行っちゃったから。


「とんとん、きたでしゅよ。」


 アシェルがドアを開けてくれて中の入ります。お部屋の中にはお父さんとオクタビオが居ました。ソファーに座ってお話です。


「ユーキ、今日から少しずつ、魔法の練習をするぞ。」


「まほう!! ぼくれんしゅういいでしゅか!!」


「ああ。だが、よく聞きなさい。少しずつだぞ。」


 毎日じゃなくて5日に1回魔法の練習して良いって。やったぁ~!! 僕は嬉しくてぴょんぴょんです。でもお父さんダメって言ったのに、どうして良いよってなったの?


「とうしゃん、ぼくまほうちゅかえる! ありがとでしゅう!」


 お父さんがどうして魔法の練習していいのか教えてくれました。この前僕頭痛い痛いになったでしょう? あれは魔力がいっぱいお体に溜まっちゃって痛くなっちゃったんだって。モリオンが守ってた虹色の魔力石はとっても魔力がいっぱい。僕が魔力使わないとまたお体に魔力がたまっちゃって、頭が痛い痛いになっちゃうの。だから魔法の練習して、痛い痛いにならないようにするんだって。


 虹色の石のことはよく分かんないけど、魔法の練習できるのとっても嬉しいなぁ。僕が魔法上手くなったら、ディル達ももっと魔法が上手くなるかな? そしたらディル達も嬉しいよね。


 みんなで喜んでたら、お父さんがお約束があるって。魔法の練習は絶対お家ですること。お父さんやお母さんお家で働いている人達には魔法見せてもいいけど、街の人達や知らない人に絶対魔法を見せないこと。僕が1人の時マシロ達だけの時に魔法の練習はしないこと。魔法の練習してるとき、終わりって言われたらすぐにおしまいにすること。絶対に言うこと聞くこと。それからそれから…。


「旦那様。ユーキ様が考え込まれていますよ。あまり多すぎる約束はユーキ様が覚えられず、最後には魔法楽しいで終わってしまうのでは。」


「むっ。それは不味いな。ここまでにしておこう。」


 およ? お約束、最初に言われたの何だっけ? う~ん。僕が考えてたらオクタビオがちょっとだけ笑いました。


「クスクス。分かってなさそうだね。ウイリアム様、私が見ている所でしか使わないように言いましょう。それが今のところ1番なのでは。」


 ん? 何でオクタビオが見てるといいの? お家で働いてるからかな?


「ユーキ。ユーキに魔法を教えてくれるのはオクタビオだ。オクタビオが先生だぞ。」


 ふお、ふおお! オクタビオが先生! 僕はソファーから飛び降りてオクタビオに駆け寄ります。


「しぇんしぇでしゅか?!」


「ああそうだよ。私が先生なんだ。よろしくね。」


 ふわわ! 嬉しいなぁ。僕はオクタビオのお手て握ってお部屋でてどんどん廊下歩きます。お父さんが慌ててお部屋から出てきて、一緒に歩き始めました。今日はお父さんも一緒なんだって。それからアシェルも。お父さんがどこで練習するのか知ってるのか聞いてきたよ。あれ? 何処で練習するんだろう?


「全くお前は…。今日はユーキの部屋が見える庭の所で練習だ。」


 僕は一生懸命オクタビオを引っ張って早く歩きます。今日は騎士さん達はお家の後ろの広場で訓練だからね。僕はお庭なんだって。


 お庭に行って、オクタビオがカバンをゴソゴソします。僕はそれをぴょんぴょんしながら待ちます。それでオクタビオが透明でツルツルのまん丸な玉を出しました。それでねオクタビオ片方のお手てで玉を持ってたんだけど、スゥって透明な玉が黄色とパチパチ光る黄色と緑色に変わったんだ。近づいて見てみたらちょっとだけ青のところもあったよ。


「それではユーキ君。1番最初にやる事を説明するよ。」


 オクタビオが出した玉は、魔法使う時に、どんな魔法が1番上手に使えるかわかる玉なんだって。お父さんもお母さんも、使用人さん達やメイドさん、みぃ~んな魔法を使う前にこの玉を触ったんだって。


「私の上手に使える魔法は光と雷と風だよ。」


 黄色が光、パチパチ黄色が雷、緑が風です。それとちょっと青色のところもあるでしょう。それでちょっとだけ青はちょっとだけ水の魔法ができるんだって。


 次にアシェルが玉を持ちます。アシェルは黄色と赤と白っぽい青と茶色でした。赤は火で、白っぽい青は氷、茶色は土です。1番光ってたのは赤でした。

 次はお父さん。お父さんは色がいっぱいでした。青と黄色と赤と茶色と少しだけ緑と白っぽい青。お父さんたくさん魔法使えるんだ。凄い凄い!!


 最後は僕が玉を持ちます。玉に魔力流さなくても、持つだけで勝手に色が変わるんだって。僕は両方のお手てで持たないと落としちゃうから、お手ての上に玉を乗せてもらいました。


 ちょっとしてお父さんの色が消えました。それからまただんだんと色が変わり始めたんだ。最初が薄い緑色で、次が薄い黄色。次が赤色でその次が濃い青色でしょう。およ? なかなか色がお父さん達みたいに止まらないね。お父さん達は光ったらすぐに終わったのに。色んな色が光って消えて、なかなか終わらなかったから僕壊れちゃったと思ったの。僕壊してないよね?


「とうしゃんこわれちゃ?」


「いや壊れてはいないぞ。光ってるだろう。ユーキはまだ小さいから、この玉がどの魔法が上手に出来るのかきっと迷ってるんだ。もう少し待ってみなさい。」


 僕はもうちょっと待ちました。まだかなぁ、まだかなぁ。あっ! 止まった!! いろいろな色に光るのが止まりました。


 あのねとっても綺麗な虹色だったよ。この前の虹色魔力石みたい。虹色でピカピカ光ってます。あとね虹色の中に茶色とか黒とか虹色じゃない色もたくさん。


「とうしゃんとしゃん、きれいでしゅね。ぼく、どんなまほうじょうじゅにできるでしゅか?」


 だってこの色は初めてだもん。お父さん達と違う色。だからお父さんに聞いたの。でもお父さん何も言ってくれなかったんだ。

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