第197話ハロルド達と剣の練習

「いないでしゅか?」


 今日はお仕事お休みの日。オクタビオに冒険のお話聞こうと思って、朝から探してたの。休憩のお部屋にいたお父さんに聞いたら、オクタビオね、隣の街にお買い物に行ったんだって。夜にならないと帰って来ないみたい。な~んだ。つまんないのぅ。


「何だ、ほっぺ膨らませて。よし、じゃあ今日は俺達と遊ぶか。」


 ハロルドとタイドスがソファーから立ち上がって僕の方に来ました。遊ぶ…。僕は急いでマシロにしゃがんでもらってよじ登りました。突撃の用意です。


「わあぁぁぁ、待て待て! 突撃はなしだ。今日は一緒に剣の練習だ。」


「俺達は剣が得意だからな。ほらユーキは腰に剣付けてるだろ。」


 タイドスが僕の剣指差しました。剣の練習!! うん、僕それが良い! 突撃は今度にしよう。

 急いで練習する広場に行きます。マシロに乗ってるからマシロがジャンプしたら一瞬で広場に着いちゃいます。今日は他の騎士さんもお休みだから広場には誰も居ません。


「れんしゅうでしゅう!! はやくやるでしゅよ!」


 後ろを見たらハロルドもタイドスも居ません。あれ? 


「ユーキはマシロで来たから一瞬だが、あ奴らは歩いて来るんだぞ。」


 エシェットにそう言われました。そっか。僕だけ先に来ちゃったんだね。もう、みんなも飛んで来れば良いのにね。エシェットに結界張ってもらって、マシロに風魔法で飛ばしてもらうの。そしたらすぐに着くはず。帰りはそれで帰れば良いよ。玄関の前まで飛ばしてもらうの。うんそうしよう。


 待ってるのになかなかハロルド達来ません。早く、早く。

 やっとハロルド達来たら、お父さん達も一緒だったよ。みんな自分の剣持って来てます。あっ、アシェルも剣持ってる。それにお洋服も変わってるね。


 僕と剣の練習する前に、お父さんとハロルド、アシェルとタイドスが訓練するから待っててって。お父さん達が戦うの? ふわわ! 僕お父さん達が戦ってるのカッコいいから大好き。ちょっとずつ離れてすぐに訓練始まりました。


「カンッ! キンッ!」


「ガギギッ! ガンッ!」


「ふおおおお!!」


 やっぱりカッコいい! えとえと、剣はいつもみたいに見えないんだけど、でも音が凄いんだ。それにお父さん達のお顔もキリッてしてて、僕あのお顔も好きなの。

 突然お父さんの方にタイドスが飛んで来ました。お父さんとハロルドが飛んでそれを避けます。


「くっ…!」


「まだまだですね。これくらいで吹き飛ばされるとは。」


「アンタは相変わらずだな。」


「どうでしょう。ここからは2対2というのは。」


 アシェルがそう言ったら、お父さん達みんなが一緒に戦い始めたんだ。僕何してるか全然分かりません。だって早すぎて何にも見えなくなっちゃったんだもん。マシロにお父さん達が何してるのか聞きます。お父さんとアシェルがチームでハロルドとタイドスがチームで戦ってるんだって。今までお父さんはハロルドと戦ってたでしょ。今はタイドスとも戦ってます。アシェルもおんなじ。ハロルドもお父さんだけじゃなくてアシェルとも戦うんだよ。


 凄いねぇ1人で2人と戦うの。凄いけど全然見えないねぇ。マシロとエシェット、ルトブルはちゃんと見てるから、今誰が勝ってるのか教えてくれるよ。4人の中でお父さんとアシェルはおんなじくらい強いって。ハロルド達はちょっとだけお父さん達より弱いって言ってました。お父さん強いの嬉しいなぁ。アシェルが強いのも嬉しいよ。


 少ししてズササササってハロルドとタイドスが、後ろに凄い勢いで下がって、それでガクって座っちゃました。お父さん達はシャキンって立ったまんまです。


「主、ウイリアムとアシェルが勝ったぞ。」


「きゃああああ!! とうしゃんカッコいいでしゅう!!」


 僕はお父さんに駆け寄りました。ギュッて抱きついてそれからディル達と一緒に拍手です。その後アシェルにもギュウってしました。

 ディル達がお父さん達のマネします。あのねディル達ね、腰にちゃんとおもちゃの小さい剣付けてるんだよ。この前からずっと。寝る時は外すけど、それ以外はずっと付けてるの。僕と一緒だね。

 お父さんとアシェルをリュカとモリオンが真似して、ハロルドとタイドスをディルとキミルが真似します。


「ディル覚悟!! たぁー!!」


「キミル行くよ!! とぉー!!」


「ヤラレたぁ~!!」


「わぁー!!」


 最後のガックリとシャキンも全部真似します。みんな見てたら、早く練習したくなったよ。僕はまだハアハアしてるハロルド達の所に行きます。


「はやくれんしゅうしゅるでしゅ! はやくでしゅう!」


「ま、待ってくれ。まだ息が…。」


「お、俺も…。」


「何ですだらしない。これくらいの事で。さあ早く立ちなさい。」


 2人をアシェルが無理やり立たせました。


「さあ、ユーキ様。練習のお時間ですよ。剣を持ってください。ハロルド、シャキッとしなさい。それでも先生ですか。」


「あ、ああ。ユーキまずこうやって…。」


 最初にハロルドが教えてくれたのは、剣の持ち方でした。うん。リク君に教えてもらったのとおんなじ。でもちょっとだけ違ったの。リク君は片方の手で持ってたのに、ハロルドは両手で持てって言ったんだ。


「ユーキはまだ小さいからな。ちゃんと両手で持った方が良いんだ。その方がギュって剣持てるだろう。」


 お父さん達は片手で持ったり両手で持ったり、いろいろな持ち方して戦うんだって。ふ〜んそうなんだ。僕、いつも見てたのに気付かなかった。半分くらいは見てるけど見えないから。


 両方でギュッて剣を持ちます。僕の隣に並んでディル達も練習です。


「よし、今度は俺の真似してみろ。こうだぞ。フンッ!!」


 ハロルドが両手で剣を持って、フンッて剣を振りました。おお〜、カッコいい!! よし僕も…。


「ふゆっ!!」


「「「「ふゆっ!!」」」」


 ハロルドがやるとヒュンって音がするのに、僕達がやると何の音もしません。もう1回。ふゆっ!! やっぱり音がしないよ。ちゃんと真似してるのに何で?


「おとちないでしゅ。シュッて。」


「ん? ああ、そうかそうか。俺が力入れすぎたな。よしこれならユーキと同じだろう。」


 ハロルドがもう1度剣を振りました。今度はさっきよりもゆっくりです。それから音がしません。


「早く上手く剣が使えるようになると、さっきみたいな音がするんだぞ。ユーキはまだ小さいしからな。ほら、もう1回だ。」


 僕はもう1回剣をふゆッてやってみます。


「よし、今のはバッチリだ。さあ、何回かやってみろ。」


 みんなで何回かやってみます。ちょっとしてすぐに疲れちゃいました。いつもはもう少し出来るのに。


「きちんと剣を持って練習して、慣れてないからすぐに疲れるんだ。でも、ちゃんと練習すれば、たくさん出来るようになるからな。」


 ちょっとお休みして、また練習して。それ何回かしたら、お父さんが僕達の事呼びました。今日の練習は終わりだって。

 いつの間にかお父さんが座ってたベンチの前に机が用意してありました。それで広場の入り口からアシェルが何か運んで来ます。お茶を乗せた台とタオルです。ちゃんと汗をふきふきしないと風邪コンコンです。風邪コンコンしてもすぐにディルが治してくれるけど、ならないのが1番いいよね。

 それからみんなで座って、アシェルが持ってきてくれたお茶飲みました。


「ユーキ様、練習はいかがでしたか? 楽しかったですか?」


「たのちかった!!」


 あっ、そうか。お茶用意してくれたアシェル、僕の練習見てないはず。僕きっと、少し上手くなってるよね。アシェルに見せなくちゃ。僕はタタタって少し机から離れて剣を持ちました。


「アシェル、みてて。ぼく、たくしゃんれんしゅうちたでしゅ。」


 僕が剣を振ろうとしたらお父さんがカップ持ったまま後ろ向いたんだ。お父さんねカップ持ってる時に僕が剣を持つと、後ろ向いて飲むんだよ。どうして?

 ふゆって剣を振ります。アシェルが上手って褒めてくれました。僕嬉しくてブンブン剣を振りました。


 そしたら、剣を振ろうとしたとき、すぽって剣が手から出ました。それで剣がお父さんの方に、お山みたいな感じに飛んで行きました。それで後ろ向いてるお父さんの前に落ちました。


「カシャンッ!」


 僕が見に行ったらお父さんのカップ壊れてました。壊れてバラバラのカップの上に剣が落ちてました。お父さんの壊れたカップの上に落ちちゃったんだ。


「とうしゃん、どちたでしゅか? カップわれちゃったでしゅか? とうしゃんけんとってくだしゃい。」


 剣拾いたかったけど、お父さんもお母さんも壊れてるカップ近づいちゃダメって。


「はぁ〜…。そうだな。ここは外。まさかバッチリこっちに飛んでくるとは思わないよな。」


 お父さんはぶつぶつ言いながら剣を拾って、魔力石のお水で洗って僕にくれました。


「よくまあ、あれだけ上手く当たったな。」


「ハロルド様もお気を付けを。あのカップは7個目の犠牲者ですから。」


「は?」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る