第194話可愛いお花で遊ぼう!!

 お父さんがとっても大きなお声で叫びました。僕ビクッてしちゃったよ。ディル達も。すぐにキミルがお父さんの所に飛んでいきます。モリオンも一緒だよ。


「キミル、お前は城で私や国王様が注意したこと忘れたのか! 何でこんな珍しい花ばかり咲かせた!」


「キミル何もしてないもん! ユーキに魔力もらって、森にそれを流しただけだもん! 勝手に咲いたんだよ!」


 2人でケンカ始めちゃった。珍しいお花ばっかり? 周りのお花もう1度見てみます。う~ん。僕分かんないや。お城で見たのは分かるけど他は分かんない。でもそういえば王様、「泡沫の花」とか黄色いお花とか、他の人に見せちゃダメって言ってた。


 お父さん達はケンカしてるから、僕お母さんに聞いてみたの。


「かあしゃん、このおはなは、ぜんぶダメダメでしゅか? とってもきれいでかわいいでしゅよ。」


「う~んそうね…。」


 ここに咲いてるお花、ほとんど珍しいお花なんだって。大丈夫なお花もあるけど、他の人に見せちゃいけないダメダメなお花ばっかりだって。え~、せっかくキミルが咲かせてくれたのに。

 ケンカしてるお父さんにマシロが近づきます。それでお父さんのこと無理やり自分に乗せました。


「私は今キミルと話しているんだ!」


「いいから上から見てみろ。主、主も一緒に見るといい。主は喜びそうだからな。」


 僕は急いでマシロの方に行って、マシロに乗せてもらいました。今日はしっぽで支えてもらわなくても大丈夫。お父さんが支えてくれるもん。

 ぴょんぴょんぴょんって木を登って行きます。それで木の1番上で、ぴょ~んってとっても高く高くジャンプしました。マシロは落ちるのがゆっくりになるように、「ぴょん、くルクル、ぽん」みたいに風魔法使ったんだ。


「下を見てみろ。」


 マシロに言われて下を見ました。


「ふおおおおお!! しゅごいでしゅう!」


 エシェットとルトブルの結界の中ぜんぶ、たくさんの木と、それからとってもきれいな色で埋まってました。きれいな色はぜんぶお花だって。お父さんがそれ見て聞いて、また叫んでます。


「まさかこれ全部…。」


「ああ、その通りだ。全ておぬし達があまり咲いていて欲しくない花だ。」


 ほんとはダメダメなお花ばっかりだけど、でも結界の中いっぱい可愛いお花でいっぱいです。結界の中1周してる間、お父さんは溜め息ばっかり。せっかく綺麗なのにね。

 みんなの所に戻ってお父さんは、すぐにお母さん達とお話し始めました。


 僕達はその間に、ルトブルが他のお池から連れてきたお魚さん、お池に入れて遊んでたの。お池に入れてあげたお魚さん、ぴょんぴょんお水の上跳ねたあと、スイスイ~って泳ぎ始めました。マシロの出してくれた水、綺麗な透明だから泳いでるところちゃんと見れるよ。


 お城から帰ってくる、小さな街にあったお池はとっても濁ってて、とっても臭かったの。お鼻摘んでも臭いんだよ。お父さん達がお酒たくさん飲んだ時も臭いけど、もっと臭かったんだ。街の人達がゴミを捨てちゃうんだって、だから濁ってるし臭いの。ゴミ捨てるのダメダメだよ。あのお池にいたお魚さん達どっかにお引越ししてるといいなぁ。あのね地面を歩けるお魚さんや魔獣がいるんだって。いつもは水の中で暮らしてるけど、お池に住めなくなっちゃうと、地面歩いて移動出来るってルトブルが言ってたんだ。ここにお引越ししてくれば、きっと楽しいよね。


 やっとお話が終わったお父さん達が僕達の所に来ました。


「キミルすまないが、この花全部回収するぞ。摘むってことだ。」


「え~、なんでぇ!! キミルせっかく咲かせたのに!」


 キミルがとっても怒ってます。僕達もだよ。みんなでプンプンです。そしたらエシェットがとってもいい考えがあるって言ってきたんだ。


「キミル、ユーキが面倒な事件に巻き込まれるのは嫌だろう。」


「うん…。でもせっかくキミルお花いっぱい咲かせたんだよ。」


「そうだ。だからこの花は摘んで家に持って帰る。ここにはもう1度、花を咲かせるんだ。今なら先程ユーキから受け取った魔力は残っていないだろう。その状態で花を咲かせれば、普通の花が咲くはずだ。摘んだ花はモリオンお前が持って帰れ。家に戻ったら、面白いことをしてやる。」


「絶対面白い? 面白くなかったらキミルもっと怒っちゃうよ。エシェットのおやつぜんぶ取っちゃうから。」


「ああ、絶対だ。(お菓子を取られるわけにはいかん。)」


 キミルがポワッて光ったら、キミルの下にお花が集まり始めました。どんどん集まるお花。お池のお花も集まります。お魚さんビックリしてないかな?

 全部集まったら大きなお山が出来ました。全部モリオンが闇の中にしまいます。それからもう1回キミルが光ったんだ。それで今度はお庭に生えてるお花と、おんなじお花がたくさん咲きました。うん。とってもきれい。お池にもちゃんとお花咲いてます。これでお魚さんも大丈夫。


「よし、これで何とか誤魔化せるな。ふう、一時はどうなるかと思ったが、他の冒険者や旅人達が見ても、違和感はないだろう。まあ、道は少し変わってしまったが、それはこちらで情報を出せばいいからな。さあ、帰るぞ!」


 みんなで並んでくろにゃんの黒い丸通ります。帰って最初に行ったのはお家にあるお池。そこに持って帰ってきた水のお花を入れました。


「キミルの咲かせた花は枯れないからな。家の中にあるのなら問題あるまい。」


「問題ないって、ここには家の人間以外も来るんだが…。」


「その時はしまえばいいだろう。さあ、次に行くぞ。」


 次に行ったのは、街のお外から流れてきてる川。この前妖精さん達に会った川とおんなじ川だよ。この川にも水のお花入れました。クルクル回りながらお花が流れて行きます。可愛いしね。みんなでクルクルマネしながらお花について行きます。あんまりクルクルしちゃって、みんんだフラフラ。川がお家の壁から出ていく所にお花が溜まります。


「これはユーキ達が遊ぶときにいいだろう?花以外にも、何か流してみたらどうだ。」


 うん。そうだね。リク君と今度何か流して遊ぼう。おもちゃのお船とか。ちょっと大きいお船だったらディル達乗れないかな?


 最後に行ったのは僕のお遊びのお部屋。お部屋に来るまでずっとお父さんは溜め息ばっかり。楽しい事ばっかりなのにね。

 エシェットが何処かから、大きな入れ物持ってきました。うんとね、僕前に見たことあるよ。前の住んでたお家の近くで、小さなプールで遊んでたの。それと同じくらいの入れ物。

 それをお部屋の端っこの方に置きます。その中いっぱいに持って帰ってきたお花入れろって。入らなかったお花はとっておけって言いました。モリオンがお花をバサバサバサってたくさん入れました。


「よし入ってみろ。ユーキも皆も水遊びが好きだろう? 風呂でよく遊んでいるからな。それの真似してみた。水ではないが面白そうだろう。」


「ふわわ、おはなのおふろ!!」


 みんなでお花のお風呂に飛び込みます。お花をたくさんお手てに乗せて飛ばしたり、中に潜ってから飛び出してみたり、お花のかけっこしたり。うん! 凄く楽しい!

 僕は玩具箱の中から船と、小さい人形持って来ました。


「おはなのおふろ、しゅっぱ~ちゅ!!」


 遊んでるとき、キミルがエシェットの方に飛んで行きました。


「エシェット、キミルこれとっても気に入ったよ。面白いし楽しいね。ありがとう!!」


「そうか。ユーキも楽しんでいるし良かった。」


 ずっと遊んでたかったんだけど、お父さんもお母さんも、じいじ達も、今日はこれで遊ぶのおしまいって。朝具合が悪かったから、大人しくしてなさいって。え~、僕とっても元気だよ。森でも元気だったでしょ。

 それでもダメだって。静かにしてないと、明日のお出かけやめちゃうって。それはダメダメ。明日みんなでお出かけするんだもん。


 僕我慢して、静かにお絵描きしたり、折り紙したりして遊びました。お出かけの準備途中なの思い出してアメリアに言ったら、アメリアが用意しておいてくれるって。お菓子だけじゃなくてミルクも。ありがとうアメリア。


 夜ご飯食べて、今日はすぐに寝ました。明日は早く起きるからね。みんなでお出かけ嬉しいなぁ。

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