第193話結界の中は可愛いお花でいっぱい

 さっきあったとぉ~っても大きな穴が無くなっちゃってて、もっともっとすごぉ~く大きな穴が出来てました。


「とうしゃん! 大きいあなでしゅ。うんとうんと、まちができるでしゅ。」


「あ、ああそうだな。それぐらい大きな穴だな。」


 この前帰ってくる時、ルーリアがいた街が2つぐらい出来ちゃうくらい大きな穴です。


「ふぅ、びっくりした。お外にいたらキミル絶対に、どこか遠くに飛ばされちゃってたよ。」


 もぞもぞキミルが出てきました。キミルの声聞いてモリオンもルトブルのお洋服から出てきました。それで2人で今の爆発の真似始めたんだ。キミルが木の実投げてモリオンが爆発の真似して暴れるの。

 そしたらエシェットが2人のお洋服の襟の所摘んで、まだ仕事が残ってるって。


「ユーキこっちに来い。」


 エシェットに呼ばれてそっちに駆け寄りました。さっきみたいに魔力をルトブルとキミルに流して欲しいって。お話してたらお父さんが慌ててエシェットの所に来ました。


「ちょっと待ってくれ。ほんの少しでいい。この状態をオリビア達にも見せておきたいんだ。」


「良いが。お前がいつも言っている事だろう。誰にも見られないうちに片付けろと。まあ結界で一応見えなくはしてあるが。」


 分かっているがって言いながら、お父さんがくろにゃんとお母さん達呼びに行きました。僕達はお父さん達が来るまで、穴の端っこ突いてみたり、ちょっとだけ中に入ってみたりして遊んでました。

 そしたらね。あのね魔獣の化石が出てきたんだ。地下で見つけたのとそっくりなやつ。モリオンに持って帰ってもらうことにしました。ツノとかもあったんだよ。どんな魔獣だったのかな?


 やっとお父さん達が戻ってきました。お母さんとじいじとばあばとハロルド達と、いっぱい一緒に来たよ。それで穴見てみんな固まってました。僕はお母さんに抱きつきます。お母さんがハッてして僕のおでこにお母さんのおでこつけました。


「ユーキちゃん。もう熱くない? 頭も痛くない?」


「いちゃくない。エシェットとルトブルなおちてくれたでしゅよ。しょしたら、あながあいちゃの。」


「そうなの。でもユーキちゃんが元気になって良かったわ。」


 僕とお母さんがお話してる間に、お父さん達はこしょこしょ小さな声でお話し合いしてました。それがなかなか終わらなくて、エシェットが早くしなくていいのかって聞いてお父さん達が慌てて頷いてました。


 僕はルトブルのお手て握ります。いつもとおんなじ。あったかいのを流す。ちょっと時間がかかっちゃったけど、ちゃんとあったかい魔力ルトブルに流せたよ。でもさっきみたいな光の玉は出来ませんでした。

 よしって言ってルトブルが地面に両手をくっつけます。それで僕達に離れてろって。僕達が後ろに行ったら、ルトブルがちょっとだけポワッて光りました。そしたらズズズズズって地面が揺れました。さっきよりも揺れてないけど、お父さんにくっついてないと倒れちゃうくらい。


 ちょっとして穴が空いてた所に何かが出てきました。たくさんの土とか岩とか、どんどん穴を埋めてきます。大きかった穴はすぐに平らになっちゃいました。遠くの方までちゃんとだよ。マシロが木に登って見てきたんだ。ちゃんと平らになってるか。

 マシロが大丈夫って言ったから、今度はキミルの番だって。


「キミル頑張れ~!」


 モリオンがキミルの応援してます。


「うん!! 僕綺麗な森にするからね!」


 僕はキミルに魔力を流します。それでね途中でエシェットが僕のこと止めたんだ。


「キミルもうそれだけ魔力をもらえば良いだろう。」


「あれ?キミル自分でもういいよって言わなくちゃいけなかったの?ユーキが好きなだけだと思ってた。」


「お前はさっきのルトブルを見ていなかったのか。まったく。ほら早くやれ。」


「は~い。」


 キミルがポワッて光ります。今度は地面揺れませんでした。それでね平らになって茶色だった地面が、遠くの方からだんだんと緑になってきたの。最初は草からなんだって。地面が全部草になったら次は木。可愛いお花が咲く木や、大きな葉っぱが付いてる木。この葉っぱは森の魔獣が雨に濡れないように隠れるための葉っぱ。僕も傘に出来るかな? とっても大きい葉っぱなんだよ。


 木が終わったら次はお花。キミルは全部に木を生やさないで、お花畑にする所空けてました。でもお花畑にする所じゃない所も、たくさんお花植えるからねって。植え終わったら皆で見に行くことになりました。


「マシロ、キミルお花畑作ったんだけど、近くに小さな池とか作れそうな所があるよ。水魔法で池作って。」


「我は水魔法が苦手なのだが。まあ、池くらいは大丈夫か。」


 2人で森の奥に入って行きます。お池が出来たら完成だって。ワクワクしながら2人を待ちます。

 お花畑見に行くのに、ディル達も一緒の方がいいよね。明日もみんなでお出掛けだけど、今日も一緒に観なくちゃ。だから待ってる間に、くろにゃんにお家で待ってるディル達迎えに行って貰いました。


 来たみんな、僕が元気になってたからとっても喜んでくれたよ。シルフィーが首に袋下げてクッキー持ってきてくれたんだ。苦しいのが治ったらお腹が空くはずって。ありがとうシルフィー!

 みんなでクッキー2枚分けて食べました。マシロとキミルの分残ってるよ。マシロはちょっと?とっても小さいけど…。


 帰ってきたキミルがすぐにクッキー見つけて、それ食べ終わってからみんなでお花畑に行きました。


「マシロなんだ? 変な顔して。」


「………ウイリアム、少々問題があるぞ。まあ、見ればすぐに分かるだろうが。」


「今度は一体何なんだ…。はぁ~。」


 お父さんは嫌そうなお顔しながらマシロとお話してました。

 最初にキミルとマシロとくろにゃんでお花畑に行きます。場所確認してからくろにゃんが僕達迎えに来てくれました。くろにゃんかモリオンがいたら、すぐに移動出来ちゃう。楽ちん楽ちん。でもマシロやくろにゃんに乗って移動するのも好きだよ。あと抱っこも。


 黒い丸の中に入ったら、すぐにお花畑に到着!


「ふわわ、ふわわわわ!! かわいいおはなしゃんいっぱいでしゅう!!」


「わぁ、綺麗! 凄いねキミル。こんなにたくさん咲かせちゃうなんて。」


「オレ、こんなに綺麗な花畑見たことないぞ。」


「僕も。」


 僕達はお花畑の真ん中に入っていきます。お花さん踏まないようにそおっとそおっと。せっかくキミルがお花咲かせてくれたし、お花踏んじゃったら可哀想だもん。

 あのね、「泡沫の花」と、赤いお花と黄色いお花と、それから虹色のお花がいっぱいです。他にもたくさん咲いてるよ。


 僕達とっても喜んでたんだけど、あれ? 何か静かだね。そっかお父さん達が何もお話してないんだ。後ろ見たら、みんなまたまた固まってました。お母さんだけすぐに僕達の所に来て、とっても綺麗なお花がいっぱいねって。ねぇ。僕の大好きなお花ばっかり。


 そしたら急にお父さんが叫びました。


「な、何だこれはー!!」


 何だこれ? キミルが咲かせてくれた、可愛くて綺麗なお花ばっかりのお花畑だよ。それからお花畑の隣には、マシロが水入れてくれたお池。あっ! お池の中にも可愛いお花が咲いてる! あれは何ていうお花かな?


「おいけにいくでしゅよ!!」


「「「おー!!!」」」


 今度はみんなでお池に移動です。お池には小さなピンクのお花と、白色のお花がたくさん咲いてました。


「ユーキ、これは池でしか咲かない花だぞ。この花が池に咲いていれば、池の中で生きている魔獣も魚もほかの生き物も、病気にならないんだ。」


 じゃあお家のお池にも、キミルにお花咲かせてもらおうよ。お家のお池ね、小さい黄色とオレンジのシマシマのお魚さんが入ってるの。それに、周りにカエルさんとかもいるし。

 僕がキミルにお願いしようと思ったら、


「キミル!! いったいこれは何だ! この前城でダメだって言っただろう!」


 って、お父さんが叫んだんだ。

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