第192話とっても大きな穴が空きました
「………キ、ユーキ起きてくれ。」
うゆゆ、誰? 僕ちょっと頭痛い。それに何か体がとっても熱いよ。また誰かが僕のこと呼びました。ん? お父さん?
そっと目を開けたら、お父さんが僕のこと抱っこしてました。周りを見たらマシロ達もいます。それとここお部屋じゃない。木がいっぱい。どこだろう? もうちょっと周りを見ようとしたら、またズキンズキン頭が痛くなってきちゃった。
「ユーキ。ここは街の近くの森だ。これからここでユーキの頭が痛いのと、体が熱いのを治すんだ。」
そうお父さんが言いました。治す? 頭痛かったけど少しだけ頭動かして、ディルを探します。でもどこにもいません。僕がディルがいないよって言ったら、今日はエシェットとルトブルが治してくれるんだって。そうなの?2人とも治す魔法使えるの?
僕がお父さんとお話してるうちに、エシェットとルトブルが何かしてます。ボワってお空の方に結界が見えました。お父さんがずいぶん大きな結界張ったなってボソボソ言ってます。あの結界見たことある。透明だけどちょっとだけ白い結界。エシェットがお城の周りに作ってくれた結界。
僕がじぃーって見てたらその結界の中に、今度は緑色の壁ができました。これも結界なのかな?お父さんがあの緑の結界はルトブルが作った結界って教えてくれたよ。
2人とも何で結界作ったのかな? 結界作ると僕の頭痛いの治るの?体が熱いのも。
「僕はいつでもいいよう!」
ん? どっからからモリオンの声が聞こえるよ。
「よし。ウイリアム!準備が出来た。ユーキを連れて来い!」
お父さんに抱っこされたまま、僕はエシェットとルトブルの真ん中に行きました。エシェットがこれから何するか教えてくれました。
あのね今僕は、体の中にいっぱい魔力が溜まっちゃってるんだって。だからそれをお外に出しちゃえば、頭痛いのも体が熱いのもすぐに治るんだって。でもとってもたくさんの魔力だから、お外に出した魔力はエシェットとルトブルしか使えないみたい。街で魔力使ったら街が壊れちゃうかも知れないから森に来たんだって。結界も張ったから大丈夫だし、森が壊れちゃってもルトブルとキミルが直してくれるから大丈夫。
う~ん、僕魔力使ってもいいの? だってお父さんダメダメって言ったもん。でも痛いのも熱いのももうやだな。僕はお父さんのお顔見ました。
「今日は特別だ。たくさん魔力使いなさい。」
って、お父さん笑ってます。そっか、今日は特別。よかったぁ。
エシェットとルトブルが僕のお手々繋ぎました。エシェットが体の熱いのがなくなるまで、エシェットとルトブルに魔力を流せって。流す、流す…。こうだよね。僕は熱いのが2人に行くようにしました。
どんどん熱いのが2人の方に行きます。でもたくさん魔力流してるのに、全然熱いのなくなりません。僕ちゃんと出来てる?
「ユーキ。上手く出来ている。そのままどんどん魔力を流せ。」
ルトブルがそう言いました。だからもっとどんどん魔力流しました。どんどんどんどん流して、そしてら急に体が熱くなくなってきたの。あ、頭も痛くなくなってきた。
「何だこれは…?!」
ん? お父さん何? お父さん何か言ってるけど、小さいお声だからよく聞こえないよ。僕がチラチラお父さん見てたら、エシェットに魔力だけ考えろって怒られちゃった。もう、お父さんのせいだよ。
それからもどんどん魔力流して、急にふぅって魔力が無くなりました。頭痛いのも体熱いのも無くなって、僕はお父さんの抱っこから降りてジャンプします。うん。もうどこも変じゃない。治った!!マシロが僕のことスリスリ。くろにゃんもスリスリ。キミルは僕の頭の上でジャンプしてます。
「とうしゃん! なおっちゃ!」
お父さんにそう言ったけど、お父さん別の所見ててお返事してくれません。何見てるのかな?僕もお父さんが見てる方見ました。エシェットとルトブルが立っててそれから、
「おおぉ~」
2人がお手て上げてるんだけどその手の上に、大きな大きな丸~い光の玉が乗ってました。ルトブルの方がちょっと小さいけど、でもとっても大きい丸です。凄い、何それ! 僕が聞こうとしたら危ないから離れてろって言われて、エシェットが僕達に結界張ったんだ。その後にさっきみたいにモリオンも結界張りました。モリオンはルトブルのお洋服の中の隠れたんだよ。
「ユーキ大人しく待ってような。」
お父さんがそう言って僕とマシロの隣に立ちました。マシロがもう苦しくてないかって。うん大丈夫だよ。僕とっても元気!
「よしルトブル、お前から放て。お前の方が比較的小さい。その威力を見てから我の方を放つ。」
「分かった。ユーキ、耳を塞いでいろ。皆もだ。」
パッてお耳手で塞ぎます。それを見てルトブルがボール投げるみたいに光の玉を投げました。遠くの方に玉が落ちます。そしたら…。
『どっがあぁぁぁぁぁぁぁぁん!!!』
って凄い音がして、それからも何かが爆発しました。お父さんが僕を急いで抱きしめて、マシロが僕達をしっぽで包みました。キミルも僕のお洋服に隠れてプルプル震えてるよ。エシェットが結界張ってくれたから、爆発で飛んできた木や石が結界にバシバシ当たります。当たりすぎて結界のお外が何も見えなくなっちゃいました。
お外が静かになるの、とってもとっても時間がかかりました。静かになってルトブルが結界に溜まっちゃった木とか石とかどかしてくれて、やっと向こうの方が見えました。まだ煙が見えるけど、結界の周り片付けてくれたルトブルが風魔法使ったら、その煙もなくなりました。
「ありゃぁ~………。」
「は?」
お父さんはそれ見て固まっちゃったんだ。体つんつんしてお手て引っ張っても、全然僕の方見てくれません。あのね、さっきまでたくさんあった木も花も石も岩も、ぜ~んぶ無くなっちゃってて、と~っても大きな穴が空いてたんだよ。
「ふむ。とりあえずこれくらいで済んだか。これならば…。ルトブル! さらに結界を広げるぞ。それから結界を後2枚程重ねる。モリオンに闇に落としてもらってもいいが、いつかどこかに現れたら厄介だ。ここで全て終わらす。お前とキミルが後で直せば良いだろう。ユーキはだいぶ魔力を使ったが、まだまだ余裕で使えるはずだ。その魔力を使えばすぐにここを元に戻せるだろう。」
エシェットがそう言ったら、固まってたお父さんが動きました。
「ま、待て! どのくらいの威力になるんだ!」
「もう少し、そうだな今空いている穴の2倍と言ったところか。心配するな。結界を広げるし、枚数も増やす。よしやるぞ。」
「おいおい…。」
エシェットとルトブルがもっと大きい結界を張って、それからもう1つずつ結界増やしたんだ。マシロが後ろに下がるぞって言ったから、みんなで結界のギリギリまで行ったの。
「いいか投げるぞ!!」
ぽぉ~んってエシェットが光の玉を投げました。この前の魔獣みたいに遠くまで飛んでいきます。それでさっきみたいに玉が落ちました。でもさっきみたいにすぐに爆発しなくて、あれ?って思ってたんだ。そしたら急に地面がガタガタって揺れ始めたんだ。それから…。
『ドガガガガガガっ、どがあぁぁぁぁぁっ!!』
さっきよりも大きな爆発です。結界で木とか石は僕達の方に来なかったけど、エシェット達が新しく作った結界は壊れちゃいました。途中でマシロが危ないといけないからって、風結界をもう1つ作ってくれたんだよ。凄いねあの光の玉。
さっきよりも静かになるの遅くて、なかなかエシェット達が来てくれません。もくもく煙のせいで何にも見えないし。3人とも大丈夫かな?
「ええい面倒だ。そろそろ落ち着いただろう。煙を飛ばすぞ!」
エシェットの声だけ聞こえて、びゅうびゅう風が吹き始めました。煙がなくなって、ルトブルが結界のお外の片付けしてくれて、やっとお外が見えました。
「お、おお、おおおおお?」
「………これは直せる規模なのか?」
お父さんがボソッてそう言いました。
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