第173話誰が妖精さんを虐めてるの?
お父さん達がお話し始めちゃって、なかなか妖精さんのところに行けません。お話?最初はお話じゃなくて、探し物から始まったんだよ。
お父さんの机の上にたくさん書類があったでしょう。そこからお父さんが何か探してて、それを見たオリバーさんとアシェルがとっても怒ってました。お話に必要なものなのに、お父さんどこに置いたか分かんないって言ったら2人とも怒ったの。お片付けしないとダメダメなんだよ。お母さんがいつも遊んだらちゃんとお片付けしないとダメって。お片付けしないとみんなが困っちゃうから。
お母さんの言う通りだね。オリバーさんもアシェルもみんな困ってるもん。僕もお手伝いしてあげよう。
「とうしゃん、ぼくもしゃがしゅでしゅ。」
「待て待て、これは大事な書類なんだ。ユーキは触ってはダメなんだ。」
「でもたくしゃんでしゅ。だからおてちゅだいでしゅ!」
何探すか聞いて、オリバーさんみたいに紙をペラペラすれば良いんでしょう?ペラペラなら僕できるよ?でもお父さんが絶対触っちゃダメって。僕がプンプンしてたらリアムさんが、
「よしユーキ、この紙のどの辺探せばいいか俺に言ってくれ。ユーキが言った所の紙を俺が調べるからな。」
って言ってくれました。よし!どの辺探そうかな?う~ん。僕は紙の積んである机を見ます。あっ、何の紙探すのか聞くの忘れたてた。ま、いっかぁ。
どれにしようかなぁ。あの端っこに積んである紙のところにしようかなぁ。それの真ん中くらい?うん。あの辺にある気がするよ!
「リアムしゃん、あしょこしゃがちてくだしゃい。」
「端っこの真ん中か?」
僕が頷いたらリアムさんはすぐに探してくれました。真ん中のところから紙を持ちます。ルトブルに抱っこしてもらって、真ん中の紙を見ました。騎士さんの絵が書いてある紙です。でもお父さんの騎士さんじゃありません。お父さん達は青いお洋服なの。でもこの騎士さんは緑。持ち上げた紙で前が見えないリアムさんに何が書いてあるか聞かれました。
「どうだ何が書いてある?って聞いても分からないよな。文字ばっかりだろう。」
「えと、きししゃんのえがかいてあるでしゅ。みどりいろのおようふく、きてるでしゅよ。」
僕がそう言ったら突然お父さんが、
「それだ!!」
って叫びました。僕びっくりして体がビクッてしちゃったよ。お父さんが僕の見つけた紙を見ます。その紙だけじゃなくて僕が言った所からたくさん騎士さんの絵が出てきました。
「とうしゃん、ぼくおてちゅだいできた?みちゅけたでしゅか?」
「あ、ああ、よくやったぞユーキ。お父さんこれ探してたんだ。」
お父さんが頭なでなでしてくれました。ね、僕お手伝いできたでしょう。えへへへへ。
「凄いな、一発か?!」
「すげーな。」
「さすがユーキ君ですね。」
「僕まだ何ページも調べてないのに。」
オリバーさん達みんな驚いてました。
お父さんがディルとリュカに騎士さんの絵を見せます。2人が見た騎士さんと同じお洋服きた騎士さんの絵がないか確認するんだって。1枚1枚ちゃんと見なさいってお父さんが言ったから2人ともジィーって絵を見ます。それで最後の1枚になったとき、2人が指差して大きな声出したの。またまた僕ビックリ。
「「この洋服だ!!」」
絵の騎士さんは黄色のお洋服着てました。でもなんか変。お洋服がズボンからはみ出してたり、お髭もぼうぼうで、髪の毛がボサボサ。カッコ悪い。お父さん達はいつも騎士のお洋服着てるとき、ピシッてしててとってもカッコいいんだよ。この騎士さんはダメダメ。
「これか。これは確かトーラスタのところの騎士か。それにしても何だこの絵は。騎士たるもの、もう少しきちんとした格好が出来ないのか?だらしない。」
「あそこはボルフィスに1番近い大きな街でしたね。たしかにあそこから何人もカージナルに来ています。」
「ターラスタの騎士は真面目で有名だったはずだが、まあ、何処にでもいるバカな連中があそこにも居たということか。」
お父さん達のお話にリュカがまた混ざります。
妖精さん達は捕まっちゃってるけど、くろにゃん達みたいに違う場所に連れた行かれたりしないんだって。この街で生まれた妖精さんは僕とリュカ達みたいにお友達にならないと街から出れないんだって。もし無理やり連れて行こうとすると、勝手に妖精さん達が生まれた場所に戻っちゃうんだって。そうなんだ。
「それは誰もが知っている事では?」
オリバーさんが不思議そうなお顔してます。え?僕知らないよ。そんなことディル達言ってたっけ?ん?言ってたような気もするけど…。
「無理やり契約して連れ出そうとしているのか、一か八かで外に連れ出せたらその妖精を売ろうと考えたか。どちらかだろう。2人の話からなかなかの力を持ってる奴が居るみたいだからな。だが無理やり連れ出そうとしてるみたいだからな。金がつきかけているんだろう。真面目に働けば良いものを。」
もう、またお父さん達だけでお話始めちゃったよ。僕はエシェットの抱っこから下ろしてもらって、ソファーに座って待ちます。ねえ、早くみんな探しに行こうよ。
お話に混ざってたディルが僕の所に戻ってきました。リュカに邪魔だからあっち行っててって言われたんだって。早く助けに行きたいのにディルがいるとお話出来ないって。ディルなんか寂しそうなお顔してます。僕はカバンからアメ出してディルにあげました。ディルすぐにいつもの元気なディルに戻ったよ。僕もアメ食べて待ってよう。
みんなにもアメあげます。シルフィー達にアメあげてから、ぽんってアメを投げます。マシロとくろにゃんが1回転してアメをパクって食べました。次はエシェットとルトブル。2人にもアメ投げてあげたら、空中ででんぐり返ししてパクってアメ口の中に入れました。2人ともおんなじにくるって回るんだよ。凄い凄い!
僕達が2人に拍手してたらお父さん達お話終わったみたい。僕の所にお父さん達が集まりました。
「何してるんだまったく。ルトブルもいつの間にそんな事覚えた。」
「これをするとユーキが喜ぶと聞いた。」
「ユーキ、ボク頑張ってお話してきたから、大きいアメ玉頂戴!」
僕達が食べたアメより大きいアメをリュカにあげました。どうかな?もう助けに行けるのかな?
お父さんが僕とお約束があるみたい。お約束したら、お父さんとオリバーさん達とみんなで、妖精さん探しに行っても良いって。
妖精さんの集まってる所に行っても、妖精さん達探しにいっても、絶対にお父さんから離れないこと。マシロもエシェットもみんなも絶対離れないこと。お父さんが危ないから動くなって言ったら絶対動かないこと。もっと危なくなったらすぐにお家に帰ることだって。お約束いっぱい。でもみんな助けるんだもん。お約束守らなくちゃ。
お父さんはマシロ達にもお約束があるって。勝手に動いてやりすぎるなって。
「お前達は普通にしててもやりすぎるんだ。普通じゃなくて少し抑えて動いてくれ。街の住人にやり過ぎたところを見られたら、後の説明が大変なんだ。」
マシロ達のお約束が1番大事みたい。何回もお父さんマシロ達に言ってたよ。マシロ達は大丈夫って。
「大丈夫だ。主に迷惑がかからないように、一瞬で終わらせるか、目の前から消してしまおう。もちろん人間には見えない速さで動けばいい。そうすれば、説明など必要ない。」
「いやだからそれがやり過ぎだと。」
お父さんとマシロ達のお約束が終わるまでに、食べちゃった分のお菓子カバンに入れに行きました。お父さんのお仕事のお部屋に戻ってマシロに乗っかって、玄関ホールに行きます。
お外に出てザッザッザッて歩くお父さん達、とってもカッコいいんだ。お洋服もピシッだし。あの絵の騎士さんは妖精さん捕まえるカッコよくないダメダメな騎士さん。見つけたらエシェット達がササッてやっつけてくれるよ。この前みたいに人のお山が出来るかも。それかボルフィスの時みたいに、どこかに投げてくれるかも。楽しみ。
「ほらしっかりマシロに掴まってろ。(何ニコニコしてるんだ。また何か余計なこと考えてるんじゃないだろうな。)」
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