第163話卵を可愛くしよう!
(ウイリアム視点)
キミルとルトブルがいろいろしてくれた次の日の朝、街はキミルが綺麗にしてくれた噴水と、ルトブルがやった街の穴がなくなった事と、木のゴミがなくなった事、それから地面の割れ目が綺麗に直っている事の話題で持ちきりだった。そして誰がこれをやったのか知りたい市民が、やはり多勢城の周りに集まって来た。
これに対しすぐに国王様が市民に対し声明を出した。城に来ていた市民には国王様自らが声を発し、街の掲示板にも知らせを出した。
まあ、最初はどう言い訳をするのか、夜中中ずっと考えた結果が、この声明なのだが。
街にあるすべての土の魔法石を使い、城に属する最高位の魔力を持つものが、最大の力を使い街を元に戻したと。
もちろんこれを言うために、キミルとルトブルにはちゃんと許可を貰った。2人とも自分達の力を人には知られたくないという考えのため、それで良いと言ってきた。
「だいたいユーキのためだけにやった事だ。あとは知らん。言い訳などそっちで考えろ。」
「ホントだよ。キミル関係ないもん。ねえユーキ、花気に入った?」
「うん!」
「えへへ、じゃあ、キミルも嬉しいなぁ。」
こんな感じの会話が朝されたのだが。本当に2人には助かった。これで市民が納得してくれれば完璧だ。
それからは次の日もその次の日も、片付けで毎日が終わっていった。いくらルトブルのおかげで片付けが少なくなったとはいえ、まだまだやる事はいっぱいある。何故か片付けが好きなユーキには、午前中は片付けをして午後は遊ぶように言っておいた。
今日もさっきエシェットが庭に作った雪の家で遊ぶと言って、外に駆け出していった。あれだけ走るなと言っているのに。あの家はあの戦いの最中エシェットの結界が破られる事はなく、綺麗なまま残った。もちろんユーキの雪だるまも完璧だ。
仕事に戻ろうと廊下に出た時だ。ふと何かを思い出しそうになった。何かを忘れているような。何だったか?考えたが出てきそうで出てこない。仕方ない、後でゆっくり考えるか。
(ユーキ視点)
「おしょとであしょぶでしゅよ。それにおはないれるはこあったでしゅ。ゆきだるましゃんのちかくでしゅよ。」
これから雪のお家があるお庭で遊びます。今日はお父さんもお母さんも誰もいないんだ。もうすぐお片付け終わるから、みんなお片付けに行ってるの。僕は遊び時間。それからこのまえキミルが「泡沫の花」摘んできてくれたでしょ。まだコップに入ってたから、お花を植える箱も探しに来たんだ。お庭の端っこの方はね雪が積もってなくて、お花を植える箱置いてあるの僕覚えてたんだ。
「あったでしゅう。どのはこにしゅるでしゅか?」
たくさん箱が積んでありました。四角でしょう丸でしょう、三角によく分かんない形、いろんな形の箱がありました。みんな木で出来てるんだ。その中に1つだけお花の形した箱がありました。
「キミルこれが良い!」
「そうだね。これが1番良いかも。可愛いし。」
「でもその箱、下のところ壊れてて穴が空いてるぞ?」
ディルがそう言ったから見てみたら、ほんとに穴が空いてました。よく見たら他の箱もどこか壊れてます。
「ありゃりゃでしゅう。これつかえないでしゅね。」
「大丈夫。これならキミル直せるよ。」
キミルが光って魔法使ったら、すぐに穴が塞がりました。直った箱の中にルトブルに魔法で土を入れてもらいます。まだたくさん雪が積もってるから土見えないし、土あっても雪でビチャビチャだからね。
土を入れて貰って、いよいよお花を植えます。
「元気になる魔法かけてから植えるね。」
キミルが元気になる魔法かけてそれからお花を植えました。そしたらね、1本だけだったお花の横から、たくさんのお花の芽が出てきたんだ。それからどんどん芽が大きくなって蕾ができて、すぐにお花が咲いちゃいました。「泡沫の花」が全部で10本になっちゃった。
「ふお?!おはないっぱいでしゅう。どちてでしゅか?」
「あれ~?キミル何もしてないよ。1本摘んでみようか?」
キミルがお花を摘んだらすぐにまたお花が咲きました。みんなで不思議がってたらマシロが、お花とお花の箱クンクン匂い嗅ぎました。それでああって。
「ルトブルが魔法で土を出して、キミルが花に元気になる魔法かけたであろう。2人の魔法は特別だからな。魔法が混ざって花が元気になり過ぎたらしい。いくら摘んでも花が生えてきそうな魔力の量を感じるぞ。はあ、またウイリアムがぐちぐち言ってきそうだ…。」
ん?だって元気っていい事だよね。お花が元気ならみんな嬉しいし、お父さんだって喜んでくれるよ。お母さん達も。
あれ?今いくら摘んでも生えてくるって言った?僕、良いこと思いついた!!後でお部屋に戻ったら、キミルにお願いしてみようっと。
後、今日はもう1つやる事あるんだ。モリオンとルトブルの雪だるま作るの。僕達の隣に作ります。大きい雪の玉はエシェットとルトブルに作ってもらって、僕は小さいモリオンの雪の玉を作ります。お顔は僕がちゃんと作ったよ。
「これ僕?」
「うん。これモリオンでしゅ!これがルトブルで、あっちのが…。」
全部の雪だるま紹介しました。
「凄いね。みんな似てる。ユーキ作ってくれてありがとう!!」
「我もだ。ありがとう。」
「えへへでしゅう!」
2人にありがとうって言われちゃったぁ。嬉しいなぁ、えへへへへ。
雪だるま作り終わって、雪のお家で少し遊んだら、すぐにお部屋に戻る時間になっちゃいました。ジョシュアお兄ちゃんが迎えに来てくれたよ。それでお花見てビックリしてます。それから俺知らないって。なんの事だろうね?
そうだ!お部屋に戻ったらキミルにお願いしなくちゃ!
「な、な、何だコレは!!」
「とうしゃんかえってきたでしゅう!みて!かわいくなったでしゅう!!」
僕は帰ってきたお父さんを、グリフォンの卵の所に連れて行きました。そしたらねグリフォンの卵見たお父さんが、とってもビックリして叫んでました。とっても可愛くなったから驚いてるんだよね。僕達可愛くするの頑張ったもん。
あのねぇ、お部屋に戻ってきてからキミルにお願いしたんだ。お花摘んでもいいって。グリフォンの卵入ってる入れ物、ワタとタオルしか入ってないでしょう。お花がいっぱい周りにあった方が、卵の中にいる赤ちゃん喜ぶと思ったんだ。
みんなそれやろうって言ってくれて、みんなでお花摘んで可愛くしたんだよ。卵の周りはお花でいっぱい。でも、マシロが言ってたみたいにお花なくなりませんでした。
あとね魔力の化石も入れてあげたんだ。たくさんあるからね。
「そうか、あの時忘れてたのはこれの事だ。いろいろあってすっかり忘れていたが。」
お父さんは何でかがっくりしてます。これダメだった?僕心配になってきちゃった。可愛くできたけど、お父さんダメって言うならやめなくちゃ…。
「とうしゃん、これだめでしゅか…。ごめんしゃい…。」
「ああ、別にダメじゃないんだ。ダメじゃないんだが…。お父さんちょっと王様にこれの事言ってくるな。王様これ見たら、ビックリしちゃうかもしれないんだ。だからそれまではこれは誰にも見せないように。約束出来るか。」
「はいでしゅ!」
すぐにお父さんが王様のところにお話に行ってくれました。みんなでどうして王様がビックリしちゃうのか考えました。ディルがね、
「可愛く出来すぎたからビックリするんじゃないか?だって俺達だけで作ったんだぞ。大人は誰も手伝ってないんだ。」
「きっとそうだよ。ボクこれ気に入ってるし。」
「僕も。」
「キミルの探してきたお花だもんね。」
「石は僕とマシロだよ。」
あっ!もしかしたら可愛くしたグリフォンの卵、王様見にくるかも。そうだよ。だって王様、僕が何か見つけたりしたりすると、すぐに見に来て喜んでくれるもん。
「うんと、もちかちたら、おうさまみにくるかもでしゅ。みんなでもっとかわいくしゅるでしゅよ!」
「「「「「おう~!!」」」」」
「止めなくていいのか?」
「別に悪い事ではあるまい。エシェットは何故止めないんだ。」
「我はユーキが楽しければそれでいい。」
「我もだ。」
王様来るまで、頑張ってもっと可愛くしなくちゃ。後ろでお兄ちゃん達が溜め息してるの全然知りませんでした。
「ジョシュア止めてよ。」
「何で俺が。それにもう遅いだろう?」
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