第161話お片付けはお休み。楽しい楽しいおままごと。

(***視点)

「おい、ボルフィスが大変な事になってたみたいだぞ。」


 タイドスがチラシを持って酒場に入ってきた。チラシを受け取り簡単に読むと、隣にいたオクタビオに渡す。オクタビオもサッと読むとそれをふわっと机の上の置いた。


「随分面白い事になってるね。でももう混乱も収まってるようだし大丈夫じゃないの?さすがボルフィスだね。」


「俺がそれだけの情報しか持ってきてないと思うか?」


 タイドスはニヤニヤしながらこっちを見てきた。


「何だ?」


「俺の情報じゃ、この前『死黒の鷹狩り』の件で活躍したお前の兄貴が、報告でボルフィスにいたらしくてな、家族一同この事件に関わったみたいだぞ。オヤジさん達も居たらしい。」


「は?本当か?」


 たまたま報告の時にこんな事件に巻き込まれるなんて運が悪い。それにしても家族一同か。兄貴の息子アンソニーとジョシュアはどのくらい大きくなったか、2年会ってないからな。それにオヤジもおふくろも相変わらずといったところか。

 う~ん。それを聞いたら久しぶりに会いたくなってきた。ん?そう言えば鷹狩りの事件の時なんでオヤジ達は実家に居たんだ?隠居して別宅で自由を満喫してるはずだよな?よし、その理由を確かめに、久しぶりに実家に帰ってみるか。事件の後始末もあるだろうし、もう少し経ってからこの街を出よう。それまではここで冒険者活動して遊んでるか。


「よしお前ら、これからの予定を決めたぞ。」


 俺のニヤニヤ顔に、2人も反応しニヤニヤする。土産は何が良いだろうか。


(ユーキ視点)

 今日は僕はお片付けお休みです。昨日お片付けした時、たくさん大きなゴミがあって、それを先にお片付けする事になったんだって、大きいゴミは僕お片付け出来ないからお休みなんだ。でもエシェットとくろにゃんはみんなのお手伝いしてます。くろにゃんは魔法使ってゴミを外に出す係。エシェットは別の所で重い荷物をどっかに飛ばしてお片付けする係です。ルトブルはお手伝いヤダって。ルトブル黒服さんのせいで人間が嫌いなんだ。お父さんやお母さん、僕の家族は好きになってくれるといいなぁ。僕の大切な家族だもん。


 お昼まではエシェットがゴミ投げるの見てました。エシェットに噴水の所に投げてとか、エシェット達が戦って穴開けちゃった所に投げてとか、いろんな所に投げて貰いました。


「ちょっとユーキ、それにみんなも、あの穴はゴミ置き場じゃないんだからね。もう、ほらみんなお昼だから部屋に戻るよ。」


 アンソニーお兄ちゃんとお部屋に戻ってご飯食べたあとは、お部屋でおままごと。今日は冒険者ギルドごっこです。ギルドの中見た事ないけど…。アンソニーお兄ちゃんがギルドで働いてる人、僕達が冒険者。机の前に順番に並びます。

 あのね朝、机くださいって王様にお願いしたの。ちゃんと覚えてたよ。それでね王様ね、昨日僕頑張ってお片付けしたからってくれたんだ。お家に持って帰っていいって。だから僕達がお泊りしてるお部屋に持ってきたんだ。今それ使って遊んでるの。最初は僕とシルフィーです。


「こんにちはでしゅう。」


「こんにちは。」


「はいこんにちは。今日はどんな用ですか。魔獣を持ってきたの?それとも宝物?」


「えと、たからものたくしゃんでしゅ!」


 僕がギルドに持ってきたのは、地下で見つけた化石です。全部で10個あるんだよ。貝の化石と葉っぱの化石と魔獣の化石いろいろです。


「はい確認しました。お菓子と交換しますか?」


「はいでしゅ!」


「お菓子。僕もそれが良い。」


 お兄ちゃんに化石を渡して、お兄ちゃんからお菓子を貰いました。本物の冒険者さんもこうするんだって。本当はお金と交換だけど、僕はお菓子の方が良いもん。あっでもね、交換しない人もいるんだって。自分で交換するかしないか決めて良いみたいです。

 僕はお菓子をもらってカバンに入れて、また列の1番後ろに並びます。次は何と交換しようかな。


 次はキミルとモリオン。キミルが朝お外お散歩しに、近くの森まで飛んで行ったんだ。その時に見つけてきた可愛い水色のお花をお兄ちゃんと交換します。コップにお水入れて花を入れてあります。


「これ…。ねえ、アシェル僕の見間違えじゃないよね。」


「ええ、そうですね。見間違えではありませんよ。『泡沫の花』ですね。はあ、これは旦那様に報告しなければ。しかし見つけたのはキミルですからね。権利はこちらにありますから遊んでも大丈夫でしょう。それにしても少しも枯れてませんね。」


「え~、枯れないよ。キミルがお世話するもん。キミルがお世話すればお花枯れないんだから。ユーキ後で何か入れ物探しに行こう。それでお花植えて持って帰ろう。」


「だそうです。また旦那様が騒ぎそうですね。」


「はぁ、まったく。」


 このお花はちょっと珍しいお花で、お花摘むとき上手にお花を摘まないと、摘んだ瞬間に枯れちゃうんだって。枯れなくてもお花の部分がちょっと枯れちゃったり、葉っぱの部分が枯れちゃったり、綺麗なままのお花はなかなかありません。今キミルが持ってる『泡沫の花』はどこも枯れてなくてとっても綺麗で可愛いお花です。


「夕食のときに父さんが来れたらその時に報告かな。」


 2人がお兄ちゃんからお菓子もらって、コップを机に置いて、また僕達の後ろに並びます。2人ともお菓子貰えてとっても喜んでます。


 次のディルとリュカは、マシロが地下で取って来てくれたキラキラ光る魔力の石。魔力石と違うんだよ。さっき僕化石出したでしょ、あれと一緒で魔力の化石なんだって。さっき貰ったばっかりなんだ。マシロ忘れてたの。

 そしたらそれ見たお兄ちゃんがとっても嫌そうなお顔してます。


「これ、父さんに言った?」


「いまもらったでしゅよ。きれいないちでしゅね。マシロありがとでしゅ。」


「何で毎日毎日、こういろいろあるわけ。」


「これも報告ですね。花にしろ石にしろ、見つけたのはこちらです。旦那様が断るのが大変なだけでしょうから大丈夫でしょう。」


 2人もお菓子貰ってニコニコです。みんな宝物渡しちゃったから、今度はぬいぐるみ渡したり、おもちゃ渡したりしてお菓子貰いました。お菓子いっぱい嬉しいねぇ。他のお菓子はくろにゃんとモリオンが闇にしまっておいてくれてるよ。


 今日のおやつは交換したお菓子をみんなで食べました。お菓子食べてたら、お父さんがキミルを呼びに来ました。なんかねぇ、キミルにお願いがあるんだって。喋りながらお部屋に入って来たお父さん、僕の机の上に置いてある『泡沫の花』と石見て、体が固まっちゃったよ。


「おい、それはどうした。」


「花はキミルが朝の散歩で見つけて来たみたい。石は地下でマシロが見つけたって。」


 お兄ちゃんが説明してくれました。


「とうしゃん、おはなきれいでしゅ。いちも。きれいなものいっぱいでしゅ!!」


 お父さんはがっくり。何でかな?ま、いっか。


 おやつ食べてからお城の上に行きました。この前お外見てた所です。そこにサルバドールさんとエイムさんも居ました。

 この前見たときお城の周り穴ぼこだらけだったけど、今日も穴ぼこだらけ。さっき僕達がエシェットに投げてもらったゴミもあの中です。そういえばあのたくさんの穴ぼこどうするんだろう。


お父さんがキミル呼んだのは、街の中心にある噴水の所にお花咲かせて欲しかったんだって。噴水の所だけでも綺麗で可愛いお花咲かせてあげたら、街のお片付けやお家のお片付けしてる人達が、ちょっとだけ元気になれるかも知れないから。

 そっかぁ、みんな毎日お片付け大変だもんね。僕もお花見るの大好き。いろいろなお花たくさん咲いてるとなんか嬉しくなるよ。うん。僕もキミルにお願いしよう。


「キミル、ボクもおはなみたいでしゅ。おはなしゃかしぇてくれましゅか?」


「うん。それくらいなら良いよ。ユーキの頼みだしね。」


 みんなが起きてる時に咲かせるとみんながびっくりしちゃうから、夜みんなが寝てからお花咲かせる事になりました。僕頑張って起きてなくちゃ。


「ありがとう。」


 サルバドールさんがキミルにありがとうしました。エイムさんもね。


「あの穴もどうにかしないとな。道だけでも通さなければ。荷物が街の中に入ってこないし、出ても行かないからな。あとはあの割れ目か。」


 サルバドールさんのお話聞いてて、ルトブルが僕に聞いてきたよ。


「あの穴と割れ目が無い方が、ユーキは嬉しいか?」


「?」

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