第160話どんどんお片付け。それとマシロのお話し合い。


 何からお片付けしようかな?最初はこの椅子と机をお外にだそう!椅子から降りて椅子を持ち上げます。


「うんしょ、うんしょ。」


 小さい椅子だから軽いと思ったんだけど、お、重いぃぃぃ。でも頑張ってお片付けしなきゃ。


「うんしょ、うんしょ。ふう。」


 やっとお外に置けました。次は机だね。机は1人じゃ持てないから、ディル達に手伝ってもらおう。


「みんながんばるでしゅよ。ふにゅにゅにゅにゅ!」


「「「「「ふぬぬぬぬっ!!」」」」」


 あっ、少し持ち上がった!今のうちにお外に運ばなきゃ。ちょっとだけ進んで休憩します。それを何度もしてやっとお外まで運べました。ふう、疲れた。よし!これでお部屋の中、お掃除しやすくなったよね。


 今お部屋の中には小さい小さい棚が2つあって、それは動かせないみたい。棚の下は隙間が空いてるけど、端っこのところが床にくっついてるんだって。だから隙間のところはディル達にお掃除お願いしました。僕はお部屋の端っこからごみを拾っていきます。


 それでねお掃除して、落とし物いっぱい見つけました。えっとねぇ、何かのマークが入ったボタンでしょう。それからハンカチでしょう。あとペンとか小さい袋。見つけた物は後で王様が、みんなに返しておいてくれるって。よく見つけたって褒めてもらえたよ。えへへへ。王様達はみんなニヤニヤしてました。


 床のお片付けとお掃除が終わったから、次は棚の中のお片付け。棚の中にはほとんど何も入ってませんでした。でも、紙が何枚か出てきたから、さっきみたいに集めてアシェルに渡しました。またまたアシェルにも褒められて、僕はとってもえへへです。


 お片付け終わってお部屋から出てきたら、お兄ちゃん達もお片付け終わってました。今日のお片付けは終わりです。お部屋に戻ってお兄ちゃん達と夜のご飯食べて、今日もお兄ちゃん達と寝ます。お父さん達はまだまだお仕事するんだって。僕、お兄ちゃん達と寝るのも大好きだけど、お父さんとお母さんと一緒に寝たいなぁ。


 お兄ちゃん達とベッドに入ったとき、あれの事思い出しました。


「わしゅれてちゃ!!」


「どうしたのユーキ?」


「ちゅくえといしゅ、くだしゃいわしゅれちゃったでしゅ!おうしゃまにおねがいいってくるでしゅ。」


「ちょっと待てユーキ!明日俺と一緒にお願いに行こう。あれはまだあの部屋にあるから。もう今日は寝よう!」


「だいじょぶでしゅか?しゅてない?」


「大丈夫だ。な、だから寝よう。(そんな事許したらきっと俺達が怒られる。)」


「はーいでしゅう…。おやしゅみなしゃい。」


 明日起きたら、すぐにお願いに行こう。くろにゃんかモリオンにお願いしたら、持って帰ってくれるよね。貰えたら、あれは遊ぶお部屋で使うんだ。


(マシロ視点)

 主のすうすうという規則正しい寝息が聞こえてきた。立ち上がり寝たのを確認する。そんな我に目を瞑っているエシェットが声をかけてきた。ルトブルも顔を上げる。


「どうした?」


「ルトブル、主のことを頼む。我はエシェットとウイリアムの所に行ってくる。大事な話なのだ。」


 そう言いお腹を出して寝ているモリオンを、主が起きないように起こした。爆睡していたモリオンはかなりプンプン怒っていて、思い切り耳の毛を引っ張られた。爆睡していたところ悪いが起こさない訳にはいかない。あの話をするにはモリオンにも居てもらわなければ。ようやく落ち着いてきた今、早く話しておかなければ、あれがいつ起きてもおかしくはないのだ。

 気配を辿り、すぐにウイリアムの所にたどり着く。どうやら部屋の中にはウイリアムも含めて5人ほど居るらしい。5人と1匹か。エシェットは嫌そうな顔をしていた。

 エシェットが思い切りドアを開ける。壊したドアを持ちながら部屋の中に入って行く。勿論部屋に入ってすぐにウイリアムに怒られたが…。


 部屋の中にはウイリアム、国王とサルバドール、アシェルにエイム、そしてシャーナがいた。


「まったく。それで何の用だ。ユーキは大丈夫なのか?」


「ユーキはルトブルに任せてある。我は大事な話があってここに来たのだ。すぐに話さなければいけなかったが、どうにもバタバタしていたからな。」


 そこで我は所々モリオンに確認をしながら、モリオンに聞いた闇の話を皆に聞かせた。最初は普通にしていた皆の顔が、だんだんと険しい顔つきへと変わっていき、最後には部屋の中が重い空気に包まれた。

 エシェットの顔を見ると、やはりエシェットも知らなかったらしい。皆程でもないが驚いた顔をしていた。


 最初に口を開いたのは国王だった。


「まさかそのような事が。奴を闇に落としこれで安心だと思っておったが、そううまくはいかんようじゃな。」


「申し訳ありません。まさかこのような事態になるとは。」


 ウイリアムが国王に頭を下げた。


「頭を上げよ。お主に責任はない。それよりも感謝しなければ。そなたの息子のユーキが精霊様と出会っていなければ、この事実さえ知らずにいたのだ。」


 その通りだ。あのとき主が虹色の魔力石に選ばれなければ、そしてモリオンと出会えていなければ、永遠の闇が無い事を知ることはなかった。そしてもし知らなければ、もしかしたら復活してしまうかも知れない奴に、突然の攻撃を受けていたのかも知れないのだ。


 最初は険しい顔をしていたウイリアム達だったが、いつ起きるか分からない、それどころか起きるかも分からなものはどうしようもない、という感じで話がまとまった。確かにこちらからどうにかすることは出来ないのだからな。しかしだ、我は何故か嫌な予感がしていた。我と違いエシェットに至っては、


「ふん。出てくるならまた送り返すまで。」


 と軽く言っていたが…。とりあえずこの話を伝えることが出来ただけでも良しとするか。


 その後ウイリアム達は主の話を始めた。その途端に今までのピリピリした空気が、柔らかいものへと変わった。さすが主だ。主本人が居ないにも関わらず、主の話をするだけでこんなに良い空気にしてしまうとは。もし主の可愛さを語り合うならば我も参加するが。


「それにしてもユーキ君には驚いた。ただ片付けをしてただけなのに、不正の証拠と、隠し部屋を見つけてしまうとは。エイムどんな感じだ。」


「書類に関してはもう少し時間がかかりますが、だいたいもう名前は上がって居ます。それと隠し部屋の方ですが、あの食器棚を設置した者達を既に捕捉。あとはユーキ君が見つけてくれた証拠の品で、関係のある貴族を捕捉しました。前々から進めていた内部調査で上がっていた人物達です。」


「そうか。ユーキ君に感謝しなければ。」


「ガハハハハッ!ウイリアム、少しユーキを貸してくれんかのう。城の中を歩いてもらったら、すべての証拠が集まりそうじゃ。あの愚かな貴族共も、まさかあんな幼子に足元をすくわれるとは思わんかったろうのう。」


「本当に申し訳ありません。」


「何を謝る。ワシはそんなユーキが好きでたまらんのじゃ。ハハハハハッ。」


 ウイリアムの顔が赤い。そして汗もかいている。

 どうも国王はかなり主のことが気に入っているらしい。主のことを話す国王からは、かなりの明るい気配を感じだ。それはサルバドールとエイムからもだ。シャーナはあまり変わらないが…。


 この世界で主が暮らし始めてからだいぶ経った。確かにこれまで出会った者達には、黒服や盗賊のように殺気を持って近づいて来る者も居たが、それでも主に出会い、こうして主の虜になって行く者達もたくさんいる。

 それに今では主の周りは契約者でいっぱいだ。これからも増えるのだろうか…。幸せな主を見るのは我も幸せだが、複雑な気持ちだ。本当は独り占めしたいのだが。まあ、仕方がない。


 とりあえず話を終え、主の寝る部屋へと帰る。主の寝顔を見てからそれぞれの位置につき眠りにつく。明日も主の可愛く笑う顔を見ながら1日を過ごすとしよう。

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