第158話お片付け開始! 1


 僕が起きたらもうみんな起きてて、朝のご飯も終わっちゃったってマシロが。


「ぼくもあしゃごはん、たべるでしゅう。」


「主、もう昼ごはんの時間だぞ。」


 ふぉ!もうお昼ご飯の時間?お洋服ばあばに着せてもらって、アシェルがお昼ご飯持って来てくれました。


「ばあば、にいしゃんたちどこでしゅか?」


「2人は今、お片付けの手伝いに行ってるのよ。ユーキちゃんはこのお部屋で遊んでましょうね。」


「ぼくもおてつだいいくでしゅ!」


「でも、きっとユーキちゃんじゃ大変よ。」


「だいじょぶでしゅ!」


 僕だってお片付けのお手伝いできるよ。この前もお家のお片付けお手伝い出来たんだから。早くご飯食べて行かなくちゃ。エシェットはお手伝いヤダって言うんだよ。エシェット力持ちなんだから大きい荷物とかのお片付けしてもらわなきゃ。そうだ。あの大きな玄関のドア、エシェットにお片付けしてもらおう。


「エシェットはあのおもちゃいドア、おかたじゅけでしゅ。」


「だから我は手伝わないと言っているだろう。」


 もう、エシェットにしか出来ないお片付けなのに。僕、せっかくエシェットに用意したお菓子、あげるのやめようかな?僕がボソボソそう言ってたら、すぐにエシェットがお手伝いしてくれるって。そう?良かったぁ。


 ご飯食べ終わってみんなで玄関ホールに行きました。玄関の所見たらたくさんの騎士さんがなんか紐を引っ張ってます。それから騎士さん達、ウンウン唸ってました。何してるの?近くで見てみたら壊れちゃったドアに紐つけて、みんなで一生懸命引っ張ってました。

 お城で1番大きい入り口はここなんだけど、今は壊れちゃったドアのせいで通れません。だからゴミとか荷物は今、別の小さい入り口から運んでるんだって。早くここが通れるようにならないとみんなとっても困っちゃうって、近くを通った使用人さんが言ってました。

 ドアは開けたり閉めたりするのは騎士さんでも出来るんだけど、持ち上げるのは重すぎて出来ないって。ほらね、エシェットじゃないとダメなんだよ。


「エシェットおねがいでしゅ。ドアどかちてくだしゃい。」


「はあ、本当に人間は力がないな。魔法を使って退かせないのか?」


「エシェット、普通の人間は貴方達ほど、強い魔法も使えなければ、物理的な力も持っていないのですよ。」


 アシェルがエシェットにそう言ったら、エシェットはぶつぶつ言いながらドアの所に。僕がお願いしなければとか、お菓子がなければとか、これくらい運べないのかとかいろいろぶつぶつです。

 そういえばエシェットの髪の毛、グリフォンに突かれた所まだハゲちゃってる。あれ、ディルの魔法で治らないのかな?


 エシェットが壊れたドアの前に立って、騎士さん達が全員離れました。しゃがんで左のドア、右のドアを片方のお手てで掴んで立ち上がります。ギギギって音がしてドアが持ち上がりました。そのままお外に出てブンって投げました。ドアはクルクル回りながら、噴水の側に落ちました。ドォーンッて凄い音がしたよ。

 騎士さん達がみんな拍手してくれました。エシェット良かったね、みんな喜んでくれたよ。でもあの重いドアもうやめたほうがいいよ。僕達お家に帰っちゃってまた壊れちゃったら、騎士さん達が大変だもん。後で王様にお願いしてあげよう。僕のあの嫌いなお洋服の事も、ちゃんとお話聞いてくれたもんね。


 ドアがなくなったのをエイムさんが見に来ました。


「良かった。これで片付けがはかどります。エシェット殿ありがとうございます。」


「ふん、ユーキにお願いされたからな。それにお菓子も大事だ。」


 ドアがなくなるの待ってた人達が、どんどん荷物をお外に出していきます。ここはもう大丈夫そう。次はお父さんかお母さんかお兄ちゃんのお手伝いに行こう。アシェルにそう言ったら、お兄ちゃんのお手伝いがいいって。だからお兄ちゃん達のいる所に移動です。


 階段の方に行こうとして横をみたら、あのお鍋が転がってました。近づいてよく見たら手で持つ部分が片っぽ取れちゃって、それからいろんな所が割れてました。


「おなべ、ボロボロでしゅう。」


 僕が見てるのを見て、エイムさんが近寄って来ました。


「ああ、もうこれはダメですね。これだけボロボロになってしまっては直せないし飾れない。これも捨てなければ。」


 ん?飾る?お鍋壊れててここに置いてあったんじゃないの?壊れたお鍋持って立ってたら僕の頭の上に天井から小さな石が落ちて来ました。


「いちゃい!!」


 いろんな所ボロボロだからね。それでね僕、いい事思いついたんだ。エイムさんにお鍋捨てるならくださいって言ったら良いよって。だからお鍋もらってからお兄ちゃんの所に。お兄ちゃん達は今、お城の上の方をお片付けしてるんだって。エイムさんにバイバイして上へ行きます。


 僕はマシロに乗ったままだから、ボロボロの階段も廊下も大丈夫。それにね通れなかった所が少しだけ直ってて、みんなが歩けるようになってました。でもまだ穴が空いてる所はいっぱい。アシェルは直ってる所歩かないで、穴の所ピョンピョン飛んで歩いてたよ。その方が早いって。

 お兄ちゃん達は5階の大きなお部屋お片付けしてました。


「にいしゃん!おてつだいきたでしゅよ。」


「あれ?ユーキはおばあちゃんと…、って何被ってるの。それって確か1階にあった。」


「確か世界一の陶芸家が作ったって言う、よく分からない入れ物。」


「はぁ、ジョシュア様もあまりユーキ様と変わりませんね。」


 今ね僕、お鍋頭にかぶってます。ヘルメットだね。ちょうど良い大きさなんだよ。これで上から何か落ちて来ても大丈夫。これで完璧。


 エシェットとルトブルに重い荷物とかゴミとか片付けるのお願いして、マシロとくろにゃんに運んでもらいます。僕達は小さい荷物片付ける係です。ディル達は僕が入れない場所のお片付けお願いしました。


 僕が今いるお部屋は、みんながお話し合いするお部屋だからとっても広いんだ。でも机とかイス、たくさん壊れちゃってる。あと、紙とかしまっておく棚とかも壊れちゃってて紙がバラバラ。それを全部集めてアシェルに渡します。それをアシェルがサササッて読んで、要らないものは風魔法でバラバラにして、火魔法で燃やしちゃいました。どうしてお外に持っていって捨てないのかな。お部屋の中で火を使ったら危ないのにね。


「どちて、もやしゅでしゅか?おそと、いかないでしゅか?」


「これはお城で働いている偉い人や、私のように内容がすぐに分かる人しか読んではいけない物なのですよ。外に持っていって、もし街の人達が見たらいけませんので、だからここで燃やしてしまうんです。」


 ふうん?よく分かんないけど、お外に持っていっちゃダメなのは分かったよ。よし、どんどん集めてアシェルに渡そう。

 棚の周りの紙を全部拾い終わったら、次は棚を片付けないといけないから、棚の中の紙も集めてって。だから棚の中に入って紙を集めます。僕が入っても全然平気な大きな棚です。

 全部紙を集めて棚から出ようとしたとき、棚の1番奥の壁がちょっと外れてて、そこから何か出てるの見つけました。何だろう?近くで見たら紙の端っこみたいでした。僕はその紙の端っこ引っ張ってみました。そしたら壁が外れちゃって、中から紙が何枚か出てきました。

 その紙も全部集めてアシェルの所に持って行きました。


「アシェル、かべはずれちゃったでしゅ。おもちろいたなでしゅね。」


「面白い?」


 だって棚の中に見えないように、しまう所が付いてるんだよ。僕みたいに小さい大人の人が居るのかな。

 アシェルが頭だけ棚の中に入れて、僕が言ったしまう所確認します。それから、そこから出てきた紙見せてくださいって。だから僕その紙だけ渡しました。


「よくもまあこんな書類を。棚が壊れて隠されていた物が出て来ましたか。まさかこんな事になるとは思わず、しかも取りに来る時間がなかったようですね。ふん、どこにでもバカな奴らはいるものです。これは後で国王様に持って行きましょう。」


 アシェルがニヤニヤ笑ってます。大切な紙が見つかったのかな?


「アシェル、ぼくいいものみちゅけた?たいしぇちゅなもの?」


「ええ。ユーキ様のおかげで、とっても大切な物が見つかりました。ありがとうございます。」


「えへへへ。」


 アシェルにありがとうって言われちゃった。嬉しいなぁ。もっとお片付け頑張ろう!!


『まさか金の貸し借りの証拠が出てくるとは。しかも不正取得の証拠まで。悪人にとってユーキ様は、魔獣よりも危険な人物ですね。ふふふっ』

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