第156話凄い卵と怒られる面々
「とうしゃん!たまご!!たまごもらったでしゅう。グリフォンのあかちゃんと、おともだちになるでしゅよ。」
お父さんに卵を見せるために。ヨタヨタしながら振り返ります。
「ユーキダメだ!動くな!私がそっちに行く!」
お父さんがサッて僕の所に来て、僕の代わりに卵を持ってくれました。ふう、重かった。落とさなくてよかったぁ。
「本当にユーキに卵を預けるのか?我々はグリフォンの卵を見たのは初めてなんだ。どう育てれば良いのかも分からないんだぞ。」
やっぱりお父さん達も、グリフォンの卵見たの初めてだったんだね。みんな初めてうれしいねぇ。
「ああ、それならば簡単だ。我が教えよう。」
エシェットが卵の育て方知ってるみたい。
まず巣の代わりの箱を用意します。それから葉っぱとかワタとかタオルとか、卵をあったかくする物を集つめて、それを箱の中に入れます。それが出来たらそこに卵を置いて終わりです。
え?それだけで良いの?だってすずめさんとか鳥さんは、卵の上に乗っかって卵あっためるんでしょう?絵本に書いてあったよ。僕が箱の上に座った方が良いんじゃない?
「エシェット、たまごのうえ、だれしゅわるでしゅか?」
「ユーキじゃないが、本当にそれだけでいいのか?もっと何か特別なこととかしなくていいのか?それにどのくらいでグリフォンは生まれるんだ?その前にこれは決定なのか?ユーキで大丈夫なのか?」
なんかお父さんたくさんお話してるね。いつももっとゆっくりお話してくれるのに。
「あなた、いろいろあって慌ててるのは分かるけど少し落ち着いて。グリフォンがユーキちゃんが良いって言うのだから、私達はユーキちゃんを手伝ってあげなくちゃ。」
「分かっている。分かっているからいろいろ聞いておかなければ。」
グリフォンはまだまだ生まれないんだって。季節があと2つぐらい。ずっと箱の中に入れて置いて大丈夫。でもねたまに卵にお話して欲しいんだって。卵の中に居る赤ちゃんお外の声が聞こえて、ちゃんとみんなが何話してるか分かるみたい。だから朝のご挨拶とか、何して遊んでるかとかいろいろ話かけてあげると、とっても喜ぶみたい。それにね生まれた時、ご挨拶とか覚えて生まれてきます。
最初は今ここに居るグリフォンみたいに、ピュイピュイて鳴くけど、大きくなると人の言葉でお話できるんだって。だからどんどん話しかけろってエシェットが。
「おい、人間の言葉が話せるってどう言うことだ?!」
「ああ、この卵は特別らしいぞ。卵が産み落とされた時から分かっていたらしい。生まれてくるのはグリフォンの変異種だ。良かったなユーキ。特別のお友達だぞ。マシロやルトブルと一緒で、普通のグリフォンとはちょっと違う奴が生まれるらしい。」
ふぉ?!特別!!やった!!お話ができる特別なグリフォンなんだね。僕みんなとお話するの大好きだもん。僕がディルやみんなで喜んでたら、お父さんは何かガックリして、お母さんはニコニコいつものお顔。お兄ちゃん達やアシェルやサルバドールさんは困ったお顔して笑ってます。王様は、
「がははははっ!!ユーキの友達は最高じゃな!!ワシが友達になりたいくらいじゃ。最高の息子をもったな!がはははは。」
王様はお父さんのことバシバシ叩きながら大笑いしてました。
それからグリフォンはもう1度僕と卵にスリスリして、これから自分のお家に帰るんだって。また会えるのか聞いたら、ここからとっても遠い所にお家があるし、僕のお家知らないからもう会えないって。お家がどこにあるのか聞いたら、くろにゃんがグリフォンが住んでる森のこと知ってたんだ。
だから時々くろにゃんがグリフォンを迎えに行って、僕のお家で会えることになりました。最初に迎えに行く時モリオンも一緒に行けば、モリオンも迎えに行けるようになるって。いつでも会えるよって言ったら、グリフォンとっても喜んでました。
今日もくろにゃんに送ってもらうって聞いたんだけど、どこかで他の仲間がまだ黒服さんと戦ってるかも知れないから、確認しながら帰るみたいです。今まであのうるさい黒服さんが1番強い闇の魔法使って、グリフォン達無理やりお友達にしてたから、黒服さん達に攻撃出来なかったけど、もう大丈夫だからね。だから楽勝って、
「ピュピ、ピュピ、ピュピィィィ!!」
お羽をバッて大きく開いて、カッコいいポーズしてます。お羽広げた瞬間、またディル達が空中転がってました。その後、リュカに怒られてグリフォンしゅんとしちゃった。
「ちょっと、さっきから何なの!ボク達何回転がせば気が済むのさ!大体大きい魔獣っていつもそうだよね。ボク達小さい者のこと考えないでいっつも飛ばしたり、踏みそうになったりしてさ。」
グリフォンだけじゃなくて、マシロとエシェットとルトブルも、グリフォンのお隣に一緒に立たされて怒られてます。僕はリュカのお話分かるから、リュカが怒ってる時は静かにです。怒るリュカ怖いんだもん。でもお父さん達は声が聞こえないから、何でみんな並んでるか分かりません。お父さんが聞いてきました。
「あそこで飛んでるのはディルかリュカかどっちだ?みんな並んでどうしたんだ?何だかしょぼくれてしまっているが。」
僕はディルに粉持ってるか聞いて、みんなに粉かけて貰いました。それで何してるか分かったお父さん達。お父さん達もリュカが怒ったら大変なの知ってるから黙っちゃいました。
リュカが怒ってる間に、お父さん達はこれからの事決めます。僕はこのままこのお部屋にいるけど、お父さん達はまだまだやる事いっぱいだって。お城も街も半分に割れちゃってるし、黒服さん達お仕置きしないといけないから。
僕もお手伝い出来たらいいのに。この前みたいにゴミ拾いとかならできるよ。
お父さん達のお話が終わるまで、リュカの怒るの終わりませんでした。やっと終わってグリフォンが帰る時、グリフォン最初の時より小さくなっちゃった気がしました。
グリフォンにバイバイしてお外見たらもう夕方。王様もサルバドールさんもお父さん達もみんなこれからお仕事です。僕達とお兄ちゃん達はこのお部屋に居なさいって。アシェルがいろいろ用意してくれました。
最初にグリフォンの卵のために箱を用意してくれて、もう使えないベッドのマットからワタをたくさん出して箱に入れました。それからワタが飛んじゃわないように、ふかふかなタオルを入れてから卵を入れました。重いからジョシュアお兄ちゃんが持ってくれます。後はベッドや机や椅子を運んで来てくれて、卵を置くための机も運んで来てくれました。
アシェル凄いんだよ。ごちゃごちゃだったお部屋が、すぐに綺麗なお部屋に戻っちゃったんだ。壊れちゃってた所もサササッて直してちゃったの。
夜のご飯食べてる時、ばあばが帰って来ました。
「ばあば!!」
僕は椅子から下ろしてもらって、ばあばに抱きつきます。ばあばのお洋服とっても汚れちゃってる。お怪我してないかな。
「ばあば、おけがしてないでしゅか?ディルになおしてもらうでしゅよ。」
「ばあばは大丈夫よ。それよりもいろいろあったみたいね。後でじいじと一緒にお話聞かせてね。でも…、ずいぶんこの部屋綺麗ね。」
「おばあちゃん、アシェルが居るんだから。」
「あら、そうだったわね。相変わらずねアシェル。ここだけ何もなかったみたいに完璧な部屋じゃない。」
ばあばがお着替えして来て一緒にご飯食べました。本当はねご飯は、避難してるときに食べるご飯だったんだ。硬いパンと硬いお肉。僕が初めて食べたご飯と一緒。あとスープ。でもねアシェルがお部屋で、魔法使って料理したら、とっても美味しいグラタンみたいなのが出来たの。良かったぁ。僕ご飯食べられないかと思ったよ。だってあの硬いの僕噛めないんだもん。
「あら、料理の腕前も上がったのね。とっても美味しいわ。」
「ありがとうございます。これもユーキ様のためですから。」
ご飯食べてすぐ、ディルとリュカ、シルフィーとキミルとモリオンが、用意してもらった専用のベッドで寝ちゃいました。僕もね。
「こっくり…。こっくり…。」
「あらあら、今日はお兄ちゃん達と一緒にお寝んね。さあ、歯磨きしましょう。」
眠いけどなんとか歯磨きして、壊れてないおトイレに行って、お部屋に戻って卵の所に。おやすみなさいのご挨拶。
「おやしゅみなしゃいでしゅう…。」
それからお兄ちゃん達の真ん中に入りました。僕がベッドに入ったとき、お兄ちゃん達もう寝ちゃってたよ。ジョシュアお兄ちゃんは、グワグワ言いながら寝てました。ちょっとうるさい。でも眠たかった僕はすぐに寝ちゃいました。
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