第152話モリオンは闇の精霊

僕達がワイワイ騒いでたら、突然誰かが大きな声で叫びました。


「お前は、何をしたあああぁぁぁ!!!」


 ビクッ!僕体がぴょんってなっちゃったよ。誰、大きな声出して。もう、びっくりしちゃった。

 叫んだ人の方見たら、初めて会った黒服さんが真っ赤なお顔して怒ってます。あっ、黒服さん達居たんだね。そう言えばフンフン言ってたよね。その後、エシェットとモリオンのケンカに混ざったから忘れちゃってた。

 どうしたのかなぁ、あんなに怒って。僕達何もしてないよね。それに悪い事してるの黒服さん達なのに。今怒るのは、黒服さんじゃなくて、サルバドールさんとか、みんなでしょ?


「お前だ!そこのガキ!何をした!」


 僕のこと見ながら怒る黒服さん。だから僕、何もしてないよ。モリオンに助けてもらっただけだもん。


「そう言えば、何であいつら攻撃してこないんだ?」


 ってジョシュアお兄ちゃんが。


「そう言えば僕達今ケンカしてたよね。うん、てゆうか、忘れてたよ。危ない危ない。」


 アンソニーお兄ちゃんも、黒服さん達のこと忘れてたみたい。おんなじだねぇ。へへへ。


「勝手に喋るな!!俺は、ガキに何をしたか聞いているんだ!!」


 黒服さんこんなお話の仕方してたっけ?もっとこう静かにお話ししてたと思うんだけど。隣にいる黒服さんはまだ、フンフン言ってます。

 モリオンが僕の肩に戻ってきました。それでね、ふふんって笑いました。それから腰に手をつけてお話を始めました。


「へへんっ。闇魔法使えないでしょう。それからその持ってる石。もう使えないからね。今は眠ってる状態だよ。」


 黒服さんがジッと、持っていた大きな魔力石を見ました。それからハッてお顔してモリオンのこと見ました。

 モリオンが僕のこと助けてくれた時、モリオンはあの石が僕達に悪いことしてるのすぐに分かって、静かにしてるように、魔力石に言ったんだって。そうしないと力全部貰っちゃうよって。


 あの魔力石はね、ずっとずっと昔から、闇の力を魔力石に溜めてきたんだって。それでとっても凄い魔力石になったから、僕達みたいに考えることが出来るようになりました。魔力石が嫌いだと思う生き物は倒しちゃうし、好きな生き物には力を貸してくれるんだって。でも力を貸してくれても、貸してもらった人はとっても苦しまないといけません。あの黒服さんもとっても苦しいはずって。


「何故お前が貰うなどと言える?お前は、そうだな。その容姿ではお前は闇の力を使う妖精か?夢からはそのガキを助けるくらいの力は持っているようだが、妖精如きがこの石の力を抑える?笑わせるな!」


「ふうん?言っておくけど、僕、妖精じゃないよ。でもこの話の続きをする前に。ユーキ、今明るくしてあげるからね。こんな闇、すぐに払ってあげるよ。」


 モリオンがそう言って、今度は僕の頭の上に立ちました。上を見るけど何してるか見えません。なんかモゾモゾ動いてるけど…。ディルが飛んで何してるか教えてくれます。何か変な踊り踊ってるって。踊ってるの?お兄ちゃん達がクスクス笑ってます。サルバドールさんもね。どんな踊りなのかな僕もみたい。僕の前でやってくれればいいのに。後で見せてもらわなきゃ!


 モリオンが踊り始めてすぐでした。今までお城を暗くしてた闇がなくなり始めて、いろんな所から明るい光が入ってきました。それからお城のてっぺんからどんどん明るくなってきて、太陽が見えたと思ったら、全部の闇がなくなりました。


「ふわわ、やみなくなったでしゅ。モリオンありがとでしゅう!」


「えっへん。凄いでしょう。ずっと寝てたから力満タン。これくらいすぐに出来るよ。まだまだ動けるからね。僕早くお菓子食べたいから、早く面倒くさい事終わらそう!」


「凄いな。で、君は誰なんだい?」


 そういえばサルバドールさんにモリオン紹介してなかった。あっ!お兄ちゃん達にも。だって紹介する時間なかったんだもん。ちゃんとお友達のこと紹介しなくちゃ。僕がお話しようとしたら、マシロが止めました。


「エシェット良いのか話して?」


「良いだろう。あの表情、もう薄々感づいているはずだ。ユーキ紹介してやれ、新しい友達を。」


「はいでしゅ!!えと、モリオンはちかでおともだちになって、それでモリオンはヤミのせいれいしゃんでしゅ!!ねぇ、モリオン。おともだちになったでしゅよねぇ。」


 アンソニーお兄ちゃんは驚いたお顔した後に、とっても困ったお顔してます。ジョシュアお兄ちゃんもはじめは驚いたお顔したけど、後はとっても笑ってました。アシェルは溜め息ついて首を振ってます。サルバドールさんは最初から笑ってました。エイムさんはずっと驚いたお顔したままです。

 黒服さんの方見たら、2人とも普通のお顔してました。笑っても、怒っても、驚いてもいないの。こう、すんって感じのお顔。


「そう、僕は闇の精霊のモリオン。闇の源みたいなものだよ。だからこれくらいの魔力石の力だったら抑えられるし、それにそこの2人の力なら、消すこと何て簡単だよ。」


 黒服さん達が手を前に出したり、小さな魔力石振ってみたり、なんか変な動きしてます。それでね、気がついたらいつの間にか黒服さんの後ろにエシェットが居て、またまた気がついたら、黒服さん達が僕達がお外に出てきたドアの所にめり込んでました。2人とも全然動きません。エシェットが蹴り落としたんだって。見えない攻撃です。カッコいい!!


 アシェルとエイムさんが2人をロープでグルグル巻きました。そのロープどっから出したのかな?ロープでグルグルされてる時、知らない方の黒服さんが目を覚ましました。それで僕の頭の上にいるモリオン見て、無理やり近づいてこようとして、アシェルに地面に押さえ付けられました。押さえ付けられたままお話します。それに変な笑い方してるの。


「精霊様!あなたを探していたのです!どうか、どうか私達に力をお貸し下さい。いえ、あの方に是非とも力を!」


 あれまたお話の仕方が変わってる?エシェットが近づきます。


「ふん。先程の話し方が本当のお前なのだろう。その話し方は、相手に媚を得るためといったところか。」


 エシェットを見た黒服さんは、一瞬だけ嫌そうなお顔したけど、すぐにモリオンの方見てまた変な笑い顔です。

 その後も黒服さんは、ずっとモリオンに一緒に来て下さいとか、我々の希望ですとか、一生懸命お話しました。モリオンのこと見えない僕はディルにモリオンが何してるか聞いてました。

 そしたらモリオンね全然お話し聞かないで、僕の頭の上でお座りして大きなあくびした後、闇の魔法で小さな丸い玉作って、それ飛ばして遊んでるって。モリオン、僕の頭の上で遊ばないでよ。それに、遊ぶなら僕も遊ばせてよ。


 全然お話し聞かないモリオンに、黒服さんが怒りました。


「精霊様、なぜ話を聞いて下さらない!!私は真剣に…。」


「真剣に何?真剣に僕の大切な友達のユーキの事、力だけ奪って殺そうとしたの?それとも殺さなくても、自分達のいいように使おうとしたでしょ。僕、君達の事嫌い。嫌いなのに何で力を貸して、一緒に行かないといけないの。」


 そう言われても黒服さんはお話し止めませんでした。そのうちモリオンが僕の頭から飛んで、黒服さんの所に。


「僕にいろいろ言ってるのいいけど、他のこと心配した方がいいよ。」


「どういう事でしょうか精霊様。」


 モリオンがふふんって笑います。


「僕さっき言ったよね。君達の力消しちゃったって。」


 モリオンね、お外に出てきた時は、初めての事が多くてうまく力を使えなかったんだって。慣れてきたときには疲れちゃって寝ちゃったけど、今は元気でしょう。それでね、今街にいる黒服さん全員の闇の力を消しちゃったんだって。

 消しちゃうとどうなるの?みんなが戦いやすくなるの?それならいいなぁ。だってまだお父さん達戦ってるでしょう。


「………!!」


 急にルトブルがお外を眺めました。僕も近くに行きます。


「なにみてるでしゅか?」


「そうか。そういう事か。」


 ねぇ、何見てるのか教えてよ。

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