第149話始まる戦い。それから僕の夢。

 みんなずっと睨みあってます。エシェットがリュカとくろにゃんに、小さい声でお話します。


「リュカ少しでもいい。周りを明るくしろ。それで他の魔法も少しは使えるようになる。それからくろにゃん、奴らが転移の闇魔法を使ってきたら、お前の闇魔法で弾け。おそらくこの空間ではお前と、そこのちびしか対抗できん。我とて闇の中では上手く動けんからな。いいか。お前がユーキを守るんだ。」


「分かった。」


「それから闇で我らの足場を作れ。行くぞ!!」


 リュカが光ります。でもこの暗い闇のせいで、いつもより明るくないんだ。でも少しだけど明るくなったから僕ちょっとだけ安心。エシェットの前とお兄ちゃん達の前に、黒い丸が出来ました。くろにゃんが魔法で出した闇だって。あれを踏んで、悪い人達と戦うみたい。


 最初にその黒い丸を踏んだのはエシェットです。踏んでぴょんって飛んで黒服の人達の所に飛びました。そしたら黒服さんが消えて、違う所から出てきました。今お城は、闇の力を使える人達や魔獣が、1番魔法を強く使えるんだって。それにねこの闇はあの黒服さんがやったから、自由にいろんな所を動けるみたい。

 でも、エシェットもお兄ちゃん達も、頑張って黒服さん達と戦ってます。僕はマシロのしっぽにくるまりながら、みんなを応援です。


「がんばれでしゅう!!」


 みんな頑張ってるけど、それでも攻撃が全然当たりません。そしたら黒服さんの攻撃がアンソニーお兄ちゃんの腕に当たって、お兄ちゃんお怪我しちゃった。


「ぐっ………!」


 大変!僕はディルにお願いしてお怪我を治してもらおうと思って、マシロのしっぽから出ました。


「主!離れるな!!」


「来ちゃダメだユーキ!!」


 僕は2人の声にピタッて止まりました。僕の手のヒラの上にはディルとリュカ。それから肩の上で寝てるモリオン。


「今ですキュルス様!!」


「よし!!」


 僕の周りに黒いモヤモヤが集まります。


「ふぇ、マシロ!」


「主!!」


 モヤモヤは僕の周りに集まって、丸くなっていきます。それで僕のこと包んじゃいました。お外が全然見えません。怖いよマシロ!!僕はデュルとリュカを抱きしめます。2人も慌てて、リュカは一生懸命光ってくれてるけど、すぐに消えちゃいます。ディルは具合が悪くなったらすぐに治すから安心していいよって。

 真っ暗で何にも見えません。それにね、全然歩けないんだ。歩いてるけど歩けないの。前に進んでるつもりなんだけど、暗くてよく分かんない。


 ちょっとして、急に僕眠くなってきちゃった。何でだろう。それに僕に何か入ってきてる感じがするよ。ディルとリュカを抱きしめてた手から力が抜けちゃう。2人の声が聞こえるけど、僕眠いから何言ってるか分かんないよ。そのまま僕は眠っちゃいました。


 ………うゆ?僕寝ちゃってた?今までは夢だったの。僕は今、自分のお家に居ました。お家のお庭にいて、お父さん達もマシロ達も全員います。

 あれ?僕、お城にいたよね。王様に会って、王子様にも会って、それからたくさんお友達出来て。今みんな悪い人達と戦ってたはず。全部夢?


 お庭のおやつ食べる机の所で、お父さんが僕のこと呼んでます。僕はタタタッて走ってお父さんの所に。お父さんが僕のこと抱っこしてくれて、頭なでなでです。ん?何かいつものなでなでと違う?いつもお父さんのなでなでもお母さんのなでなでも、みんなのなでなでも、とっても気持ちがいいのに、今のお父さんのなでなで気持ちよくない?う~ん?


 お父さんが僕を下ろして、今度はマシロがお顔をすりすりです。あれ?これも何か違う感じ。気持ちよくない。僕が不思議がってたら、アシェルとアメリアがおやつ運んで来てくれました。皆んなでおやつの時間です。

 今日は家族全員でおやつです。じいじもばあばも居るし嬉しいなぁ。僕はお父さんのお膝の上でクッキーを口に入れます。サクって音がしていつも通りとっても美味しいです。美味しいはず?何かこれも違う感じがする。何だろうね。


『ユーキどうした?お菓子美味しくないか?』


「とうしゃん。おかし、おいちい?」


『ああ、いつも通り美味しいぞ。ユーキは美味しくないのか?』


 う~ん。美味しいけど美味しくない。僕はクッキーを全部口に入れて、今度はお茶を飲んでみました。これも美味しいけど美味しくない?何か今日のおやつはヤダ。

 僕はおやつ食べるのやめて、お父さんに肩車お願いしました。お父さんはすぐに肩車してくれたけど、いつもみたいに楽しくありませんでした。今日は全部楽しくありません。変なの。


 あっ!お城の話してみよう。僕は夢のお城のお話しました。

 王様や王子様に会ったこと。お城にお泊まりしたこと。悪い人達がきてみんなが戦ったこと。それからお友達が出来たこと。たくさんお話しました。


『良かったわねユーキちゃん。お友達が出来て。』


「でもぉ、ぜんぶ、ゆめだったでしゅう。」


『夢でも、楽しかったならいいでしょう。悲しい夢や嫌な夢よりもね。』


 そうだけど。あれ本当に夢だったのかなぁ。僕本当だと思ったんだけど。でも、みんな夢だって言うし。本当にお城に行ってたらそんなこと言わないよね。


 おやつを途中でやめた僕は、その後はマシロ達と遊びました。ふとお父さん達の方を見ます。みんな笑ってるけど、やっぱりなんか違う。

 いっぱい考えたけど、何が違うのか分かんない。何が違うんだろう。


 遊んでた僕の前に、突然黒いモヤモヤが。僕これ夢で見たよ。慌ててお父さん達の方に行こうとしたら、黒いモヤモヤからお父さん達が出てきました。

 え?なんでお父さん達2人いるの?それにマシロ達も。今まで僕といたマシロ達が、今までのお父さん達の方に走っていきます。僕は両方のお父さん達の真ん中で動けません。だってどっちのお父さん達の方に行けばいいの?


『ユーキ騙されるな。そっちにいる奴らは偽物だ!』


『そうよ!騙されないで!』


『主、我の方に!』


 モヤモヤから出てきたお父さん達がそう言ってきました。でも前からいるお父さん達もおんなじ事言うんだ。僕、どうしよう。

 僕がどっちの方にも行けなくなってたら、最初にいたお父さん達が、闇の魔法を使って、モヤモヤから出て来たお父さん達を攻撃しました。それでお顔は違うけど、あの黒服さん達とと同じ格好してる人達に変身したんだ。


「とうしゃん!!マシロ!!」


『くっ、これで分かっただろう。あいつらは偽物だ!ユーキ、お父さんの方に。』


 僕はモヤモヤから出て来たお父さんの方に駆け寄ります。


『ユーキ、父さんお願いがあるんだ。』


 お父さんが僕にお話ししてる間、マシロ達が偽物のお父さん達と戦います。


『ユーキ。ユーキに魔法を使って欲しいんだ。お父さん達は今、あの悪い奴らに魔法を使えなくされているんだ。今魔法を使えるのはユーキだけ。だからお父さん達を助けてくれないか』


 そっか。お父さん達今、戦えないんだね。じゃあ、僕が助けなきゃ。でも魔法いつの使っちゃダメって。


「まほう、ちゅかっていいでしゅか?」


『ああ、今日は特別だ。悪い奴らを倒すためだ。』


 いつものお父さんはそんな事言わないのに。ちょっと変だけどでも僕、お父さん達お手伝いしたい。うん。僕頑張るよ。


「どんなまほう、ちゅかうでしゅか?」


『あいつらを倒すには、闇魔法しかダメなんだ。ユーキには闇魔法を使って欲しいんだ。』


 闇魔法?あの悪い黒服さん達と同じ?僕悪い人達と同じ魔法使うの?なんかヤダな。僕がうんて言わないでいたら、マシロが攻撃を受けて飛ばされました。木に当たって、その場に倒れちゃった。


「マシロ!!」


『ああ!!ユーキ早くしないと、みんな攻撃されて怪我をしてしまう!』


 お怪我ダメだよ!早く魔法使わなきゃ。でも魔力石ないよ。そしたらお父さんが闇の魔力石を僕に渡してきました。真っ黒な石。モリオンが石だった時みたいな石です。


『さあ、私が教える通りにやるんだ。』


「はいでしゅ!!」


 僕が前を向いた後ろで、お父さん達がニヤッて笑ったの僕は知りませんでした。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る