第147話やった!これでお友達!それから集まるいろいろな人達

『名前は決まったのか』


 亀さんの声が戻って来ました。僕はカメキーにしたって言いました。どうしてカメキーにしたのか、ちゃんと説明したよ。そしたら亀さん嫌だって。う~、またダメだって。くろにゃんの時もそうだったよ。僕、お名前考えるのヤダ。


『我には付けてもらいたい名前がある。』


 ん?そうなの?どんなお名前かな。亀さんがそのお名前が良いならそれで良いよ。カメキーはお母さんが言った、あだ名にするから。


『我の住んでいた所は、とても綺麗な海だった。』


 亀さんがここに来る前、亀さんはとっても綺麗な海に住んでたんだって。透明で、キラキラしてて、ゴミとか何にもない綺麗な青い海。

 亀さんは悪い人達とお友達になるずっとずっと昔、船で亀さんの近くを通る人達がたまに居て、その人達の話を亀さんは聞いてたんだって。

 それでねいつも皆んな同じこと言うんだって。だから亀さん気になって、1度だけ、船で通りかかった人に、どういう意味か聞きました。船に乗ってた人達は最初ビックリしたけど、そのあとは少しの間だけど仲良しになって、亀さんが気になってたことを教えてくれました。


『いつもそ奴らはこう言っていた。コバルトブルーと。明るく綺麗な青という意味らしい。我は海が大好きだった。あの綺麗な海が。だから名前はコバルトブルーからつけて欲しい。コバルトブルーは少し長いからな。ルトブルという名前はどうだ。』


 ルトブル。うん。カッコいいお名前。それに綺麗な海は亀さんが大好きな場所。大好きな場所がお名前になるの嬉しいよね。よし!亀さんのお名前はルトブルに決まり!それであだ名がカメキーね。


 じゃあ今度は、お名前が決まったら次にする事。お友達になるために、魔力を溜めるんだよね。どうやって魔力溜めてたっけ。こうお胸が熱くなるように考えるんだよね。


「なぁ兄さん、これ本当に不味くないか。」


「分かってるよ。今まではマシロやエシェットが手伝って魔力溜めてたけど。今はユーキが1人だけで魔力溜められないように願うだけだよ。それか本当は考えちゃいけない事だけど、アスピドケロンを契約しているあっちの人間が、ユーキの魔力より強い魔力を持ってればいいんだけど。うーん。ねぇユーキ?お父さん達が帰って来るまで待たない?」


 えー、ダメだよ。そしたらルトブル苦しいままだし、エシェット達戦ったままだし。お怪我しちゃうかも知れない。だから早くお友達にならないと。僕はまだ魔力溜められてません。マシロも手伝ってくれないし、今エシェット居ないし。


「ぼく、はやくおともだちになるでしゅ。みんなおけがしたらいやでしゅ。ルトブルくるちいのもだめ。それにまちもこわれちゃうかもでしゅ。だから、ルトブルおともだちになるでしゅ。ね、ルトブル。」


 僕がそう言ったら、急にお胸が熱くなりました。


「およ?」


 これ魔力溜めるときと一緒。僕何もしてないのに。でももしかして、これでお友達になれたかな?マシロがガバってお顔あげました。僕の方見て、次にルトブルの方見ます。僕もルトブルの方見ました。ルトブルの背中に生えてる木が大きくなってる気がします。それにね。今まで大きな音してエシェットと戦ってたけど、今はとっても静かです。


『ユーキ。我とユーキは友達だ。』


 やっぱりお友達になれたんだ。やったあぁぁぁ!!


「やったでしゅう!!おともだちでしゅう!!」


「え?ユーキどういう事?魔力今使ったの?!」


「何もしてなかったよな?!」


「まさか…。あの石のせいか?」


「マシロ何の事?ユーキは何したの?」


 お兄ちゃん達がさっきより慌てて、僕にお話して来ました。僕、またまたお友達が増えたよ。シルフィー達と万歳して頭の上で拍手です。

 僕達が喜んでたら、急にルトブルが消えました。ありゃ?どこ行っちゃったの?僕がキョロキョロしてたら、影からくろにゃんとエシェットとシャーナ、それから知らない男の人が出て来ました。みんな帰ってきた!知らない人も居るけど。エシェットにルトブルがどこにいるか聞かなきゃ。


 僕が走ってエシェットの所に行こうとしたら、マシロが叫びました。


「主!動くな!エシェット、結界だ!」


「分かっている!!」


「サルバドール!あなたも動かないで!」


 マシロ達の叫び声に、みんなが剣を抜きました。どうしたのかな?


(エシェット視点)

 ユーキの奴め、やったな。

 突然アスピドケロンが攻撃を止め、そして大人しくなった。よくよく調べて見ればこの魔力の感じ、アスピドケロンから感じる魔力の感じが変わっている。これは我々と同じもの。ユーキと契約した時と同じ魔力だ。いつの間に契約を?


「ちょっとどういう事なの?これって契約じゃないの?」


 シャーナも気がついたようだ。シャーナが攻撃を止め、我もアスピドケロンを攻撃するのを止めた。そしてアスピドケロンに話しかける。


「いつユーキと話した?それに契約までするとは。」


「魔力の波長が合ったようだ。声が届いた。」


 たまたまか、それとも本当にアスピドケロンの魔力の波長が、ユーキの魔力の波長と合ったのか。

 全ての生き物の魔力は、それぞれが少しずつ違った魔力を持っている。たとえ得意な魔法が同じだったとしてもちょっとずつ違うのだ。それがごく稀に、本当にごく稀にほぼ一緒の者達がいる。そういう者達は同じ力な持ち主どうし、離れていても心を通わせる事が出来る。ユーキとアスピドケロンの波長が合ったようだ。


 はぁ、まさか我の知らないところで、話が進んでいたとは。そう言えば、ユーキは前にもキミルの声が聞こえた事があったな。我もユーキと心で会話してみたい。何故出来ないのだ?今度挑戦してみるか?まあ、今はそんな事よりも。


「それで名前は?何と付けてもらったのだ?」


「ルトブルだ。」


「そうか。」


 マシロめ、止めなかったのか?まあ、ユーキの方から友達になると言ったのだろうが。友達になってしまったのなら仕方ない。この大きい奴をどうしたものか。


「お前、我らのように変身出来ないのか?それかあそこのくろにゃんくらいの大きさになるとかな。その巨大な体ではユーキと一緒に居られんぞ。いいか。お前はもうこの前までのアスピドケロンではない。変異種になったのだ。今までの力とは比べものにならないくらいの力を手に入れたはずだ。」


 我だって最初から変身出来たわけではない。どんどん力をつけ、やれる事が多くなって来たある日突然出来たのだ。もちろん、大きくなったり小さくなったりは、変身するよりももっと早く出来るようになっていたが。

 ふむ。そう考えれば、変異種のマシロはすでに大きくなったり子犬のようになったりが出来ている。そのうち人の姿になれるのではないか?


「人間のイメージは出来ているだろう。これだけ人間の中で暴れていたのだ。我はいつも人間の姿をイメージしてから魔力を溜めると、勝手に変身出来ているぞ。我もこればかりは良く分からん。シャーナもそうだろう?」


「ええ。私も何となくね。」


「お前の魔力だ。人間に変身出来るはずだが、もしやってみて出来ないようなら、小さくなる事を考えろ。それくらい今のお前なら………。!!!」


 何だこれは?ユーキ達のいる所に、とても邪悪な闇の力が近づいて来る。早くユーキの元に戻らなければ。シャーナも気がつき城の方を見た。くろにゃんで戻ればすぐだ。我はルトブルに向かって怒鳴る。ルトブルも連れて行けば、この邪悪な闇の力から確実にユーキを守れる筈だ。


「早く変身しろ!!ユーキが危ない!出来ぬのなら2度どユーキに会えないと思え!おそらくお前を無理に契約させた奴がユーキを狙っている。殺されてもいいのか!すぐにユーキの所へ移動するぞ!!」


 我の言葉にルトブルの魔力が跳ね上がった。そして今まで目の前にいた巨大な体はどこにも無くなり、そこには1人の男が立っていた。やればできるじゃないか。

 我らは人間の姿のルトブルに近づき、すぐにくろにゃんの魔法でユーキの所に移動した。

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