第146話亀さんとお友達になるのは大変
そうだよ。お友達になるのが1番良いよ。亀さんに聞いてみよう。
「カメしゃん、カメしゃん。」
返事がありません。どうしたんだろう。少ししてまた声が聞こえました。そう言えば、さっきからお話してる途中で、たまに声が聞こえなくなるよね。あれ何でだろう。言葉の途中が聞こえなかったり、声が小さくなったり。
「カメしゃんどちたの?こえ、きこえなくなったでしゅ。」
『我は今戦っているからな』
あっ!そうだった。今亀さんとエシェット、戦ってるんだった。普通にお話ししてたから忘れちゃってたよ。すぐにエシェットに戦っちゃダメって言わなくちゃ。エシェットの所には、マシロに連れて行ってもらおうかな?もしかしたら亀さんが攻撃しなくなったら、エシェットも戦うの止めるかも。
「カメしゃん、たたかうのだめでしゅ。エシェットにもいうでしゅ。だからなおとなちくしてくだしゃい。」
『そうか。ドラゴンの契約主はお前かユーキ。ユーキ、我は奴に命令されて戦っている。戦いを止めれば、また苦しい思いをしてしまう。それに我はやはり人間が嫌いだ。このままこの街の人間を消したいと思っている。その気持ちは変わらん。静かに暮らしたい我々を、自分のために無理やり契約し、苦しめる人間は許せん。』
「ぼく、いいことおもいちゅいたでしゅよ。とうしゃんにも、エシェットにも、みんなにおねがいしゅるでしゅ。」
一生懸命亀さんに説明します。亀さんや魔獣を無理やりお友達にしていじめた人達は、お父さんやエシェット、皆んなにお願いしてお仕置きしてもらって、それで亀さんは僕とお友達になって、たくさん遊んでそれからたくさんお菓子を食べようって。そしたら突然、今まで黙ってたお兄ちゃん達とマシロがお話してきました。
「待ってユーキ!今何て言ったの?!」
「主、お友達と言ったか?!」
うん。だって亀さん、いじめられてて可哀想だもん。お友達は大切にしなくちゃいけないのに。僕とお友達になったら、たくさん楽しい事できるよ。僕がそう言ったら、みんなが待ちなさいって。えー、何で?その間も亀さんはお話してきます。
『ユーキ、お仕置きと言ったがどうするつもりだ。』
亀さんと無理やりお友達になった人は、とっても強い人で、多分今この街で1番強いから、だから絶対お仕置き出来ないって。う~ん。そんなに強いんだ。でも、エシェットなら大丈夫だと思うよ。だって今までもずっと悪い人達から、僕の事守ってくれたもん。それにマシロだって。マシロはエシェットみたいな、お山をなくしちゃう攻撃は出来ないけど、でも、さっきの変な人形はすぐ倒しちゃうし、どんな時でもそばにいてくれて、僕の事守ってくれるんだ。
だからきっと、亀さん達をいじめる悪い人達は、マシロとエシェットが倒してくれるよ。それで、お父さんがお仕置きしてくれるんだ。
『そうか。だがユーキ。我がユーキと契約して、ユーキの言い方だと友達か?友達になって、絶対に我をいじめないと言えるのか?友達になった後、いじめるのではないか?』
もう、僕そんな事しないもん。お友達は大切に、お友達の嫌がる事はしないってお約束だもん。ねぇー。シルフィー達にそう言ったら、皆んなうんうんて頷いてます。お兄ちゃん達やマシロは、ダメダメって言ってる。何で?
「だってユーキ。お友達になっても、アスピドケロンと一緒に居られないよ。だってアスピドケロンはあんなに大きいんだから。ね、だからお友達はダメ。」
あっ、そうか。あんなに大きい亀さん、お家に入れない。お家だけじゃない、街にも入れないや。どうしよう。僕は考えて、またまた良いこと思いつきました。亀さん、マシロみたいに小さくなれたり、エシェットみたいに人の姿に変身出来ないかな。そうしたら一緒に居られるよ。
「ちょっと待てユーキ、アスピドケロンが小さくなるとかその前に、友達になりたいって言ってるのか?友達になりたくないって言ってるんじゃないのか?」
ってジョシュアお兄ちゃんが。え?お友達ダメだったの?嫌だった?大事な事聞くの忘れてたよ。
「カメしゃん、ぼくとおともだち、いやでしゅか?」
『………。ユーキの中ではもう友達になる事が決まっているようだが。ユーキは我と友達になるのが嬉しいのか?我は、人間が嫌いなのだぞ。』
「うんと、ぼく、たくしゃんおともだちなりたいでしゅ。カメしゃんが、もうおうちとかこわしゃないなら、おともだちなりたいでしゅ。もしぼくとおともだちになれたら、きっとカメしゃんもたのちいでしゅ。」
お父さん達皆んな優しくて、ザクスさんとか他の人もみぃ~んな優しいから、きっと亀さんだって皆んな好きになるよ。
そう言ったあと、また声が聞こえなくなっちゃいました。エシェットと戦ってるからね。ずっとお話できない。早く2人とも戦うの止めないとお怪我しちゃうかも。早くお友達になるって言ってくれないかな。
少しして、また声が聞こえて来ました。
『もしユーキが我を苦しめる事があれば、その時はお前も、お前の大好きな者達も消してやる。それでもいいのか?』
だから、僕はそんな事しないもん。僕は皆んなで遊びたいんだもん。それからお菓子食べるんだもん。ねぇー皆んな。僕は腰に手を当てて、ふんってしました。
『まだ問題があるぞ………。』
もう、まだ何かあるの?いつもはサッてお友達になれるのに。それに、亀さんお友達になってくれるのか、全然教えてくれない。お兄ちゃんが言ったみたいに、お友達になりたくないのかな?それなら、残念。だって無理やりはダメだもん。
『我は別の人間と友達になっているだろう。ユーキと友達になるには、そいつを倒すか、ユーキがそいつよりも強い力を持っていないといけない。』
なんかね、お友達になるのに、たくさんの魔力が必要なんだって。今亀さんとお友達になってる人、さっきカメさん、とっても強いって言ってたでしょう。僕がその人より魔力が強くないといけないみたい。うーん。その人にお願いしたらダメかな。でも意地悪する人なんだよね。だからお仕置きして貰うんだもんね。
それに亀さん、1番大事なこと言ってくれてない。
「カメしゃんは、ぼくとおともだち、いいでしゅか?」
『………まあな。(それにお前の温かい光には抗えん。)」
最後の方はよく聞こえなかったけど、まあなってことは、いいよって事だよね。やったぁー!!もう、お友達になってくれるなら、早くそう言ってくれれば良いのに。
じゃあ、あとはお友達になるのに、悪い人にお願いするか、僕がお友達になれれば良いんだよね。それから亀さんが小さくなれるか、変身出来るかだね。
それを亀さんに聞いたら、お友達になってから考えるって。お友達になれないなら、そんな事考えてもしょうがないからって。
大丈夫。僕頑張るよ。もしくろにゃんの時みたいに上手に出来なかったら、悪い人に会うのは怖いけど、亀さんのために頑張ってお願いするよ。
僕はマシロやお兄ちゃん達に、お友達になってくれるって報告です。報告したら、皆んなのお顔が変。皆んな笑ってないし、怒ってもないし、ただびっくりしたお顔したまま固まってるの。ディルとリュカ、シルフィーとキミルは、とっても喜んでくれたよ。まぁ、いっか。僕は亀さんのお名前考えるので忙しいから、お兄ちゃん達はそのままでいいや。
名前どうしようかぁ。亀さん、亀さん…。とっても大きい亀さん。それから、木がいっぱい生えてるでしょう。う~ん。全然、思いつかないよ。くろにゃんみたいに、色と声でお名前付けられたらいいのに。そうだ。亀さんと木をくっ付けて、カメキーさんは?うん、カメキーさんがいい!
「お名前決めたでしゅ。カメしゃんと、しぇなかのたくしゃんのきで、カメキーしゃんでしゅう!!」
「ブッ?!」
誰今の?さっき戦ってたサルバドールさんの、ブッに似てるけど。僕がサルバドールさんの方見たら、またお体がプルプルしてます。それからお顔隠してました。この頃変だよねサルバドールさん。
「殿下、笑っている場合では。」
「あ、ああ。そうなんだが。」
「ゆ、ユーキ、ちょっと本当に待って。マシロ止めてよ!」
「………我は知らん。」
固まってたお兄ちゃん達が、今度は慌ててます。皆んな忙しいね。よし名前が決まったから亀さんにお名前カメキーでいいか聞いて、それからお友達になる準備だね。
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