第144話ほらね、やっぱり噛みやすいんだよ。それとエシェットを応援!

 マシロが2匹のお猿さんに近づきます。それからジャンプして、お猿さんの後ろにサッて飛んだら、1匹のお猿さんが倒れました。あれ?お猿さんどうしたんだろう。もしかして、僕また攻撃見えなかった?アンソニーお兄ちゃんに聞いたんだけど、お兄ちゃんもジャンプしか見えなかったみたい。でもジョシュアお兄ちゃんは、


「俺も全部は見えなかったけど、イーヴィルモンキーのまわり、ジグザグに3回くらい回ってたな。回りながらイーヴィルモンキーに攻撃もしてた。」


「へぇ、さすがジョシュア。ちゃんと見えたんだ。」


 マシロそんなに攻撃してたんだね。お父さんもお母さんも、ばあば達も皆んな見えない攻撃ばっかり。凄いけど少し残念。だって攻撃するカッコいいところ、見られないんだもん。ちょっとブスってしてた僕見て、シルフィーがマシロに大きな声で言いました。


「マシロ!!お尻噛んで!!」


「ぶっ!!」


 ん?サルバドールさんがぶって。何?体もプルプルしてる。お猿さんに攻撃されたの?気をつけてね。もしお怪我したらすぐ呼んで。ディルにお怪我治してもらうから。そう思ってたらお父さんが、お猿さんの攻撃かわしながら僕達の方に叫んできました。


「少し静かにしてなさい!!」


 僕達、結界の中で静かにしてるよ。結界の中で座ったまんま応援してるだけ。シルフィーがマシロにお願いしてくれたのは、お猿さんのお尻噛むのは、攻撃と同じだから良いはずだし。ね。煩くしてないでしょう。何で静かにしてなさいって言われたのか、皆んなで考えました。


「ユーキは静かにしてるよな。応援してるだけだもんな。でも、応援はいいけど、マシロにお願いするのはちょっとだけ我慢しような。」


 ジョシュアお兄ちゃんが僕の頭撫でました。えー。お猿さんのお尻、噛んで欲しかったのに。ダメなの。ちぇー。皆んなでブーブーです。その間にマシロ、もう1匹のお猿さん倒しちゃいました。ありゃりゃ、残念。


「あと1匹か。あれくらいウイリアム達で倒せなくてはと思って任せていたが。ふむ…。ウイリアム下がれ!我が倒す!」


 マシロがお父さん達の方のお猿さんも倒してくれるみたい。お父さん達が一斉に攻撃して、お猿さんが下がってるうちに、僕達の方に戻って来ました。

 マシロがもう1匹のお猿さんに近づいて、サッで後ろにまわります。


「尻を噛めと言っていたな。どれ。」


 マシロがお猿さんの黒いお尻を、思いきり噛みました。噛まれたお猿さんが、思いきりジャンプしてマシロから離れて、マシロの方を見ながら止まります。それで噛まれたお尻をなでなでしてます。あっ!お尻にマシロの歯形がついてる!


「キャッキャッキャッ!!」


「わあ、綺麗に歯形がついたね。」


「いいぞー!!マシロ!!」


「今のジャンプ面白かった。でも、エシェットの時はもっと飛んだ。」


「キミルは今の、面白かったよ。」


 喜ぶ僕達見てサルバドールさんも、お兄ちゃん達も笑ってます。お父さんは困ったお顔してるけど。

 赤い色のお猿さんの顔が、もっと赤くなった気がしました。そしたらさっきまでより早く動いて、マシロに攻撃してきました。マシロも攻撃するけど、いろいろな所に掴まりながら上手く逃げるんだ。皆んなでマシロを応援です。僕達の応援にマシロはしっぽを振ってくれました。それでマシロがお猿さんの方にジャンプして、スタッて着地しました。そして、玄関の上の方のランプにぶら下がってたお猿さんが、ドサァーって落ちてきて全然動きません。またマシロが何したか見えなかったけど、マシロの勝ちです。


 そしたら周りから、たくさんの拍手の音が聞こえました。周りを見たら、今まで居なかった騎士さんや、お城で働いてる人達が集まってて拍手してます。マシロにありがとうって言ってる人、凄いぞ!って言ってる人、皆んなマシロ見てニコニコしてました。

 僕とっても嬉しいです。だって僕の大切なマシロが褒められてるんだもん。


 マシロが風の結界を解いて、僕の所に戻って来てくれます。僕はマシロに抱きつきました。ぎゅううううって抱きついて、それからたくさんなでなでしました。マシロも僕にすりすりしてくれます。ワイワイしてたらサルバドールさんを呼ぶ声が。


「殿下、御無事で!」


 エイムさんが2階から走って降りて来ます。お父さん達がこれからのお話を始めました。お母さん達はまだお店通りの方で戦ってるみたい。マシロがそう言ってます。だからこれからお父さんはお母さんの所に行くみたい。


「いいかユーキ。大人しくお兄ちゃん達と一緒に待ってるんだぞ。余計な事しないようにな。アンソニー達もちゃんと見張っててくれ。アシェルも頼む。」


「お任せください。」


「余計な事ってユーキの場合、本人に自覚ないからね。」


「さっきのだって分かってないしな。」


 僕はマシロに乗ったまま、お父さんにバイバイします。お母さん達と早く帰って来てね。よし!僕はお城の中から応援だ!

 サルバドールさん達はお城の上の方に行くみたい。お外の様子を見に行くんだって。

 エシェットの結界のお外には魔獣がたくさんいるし、エシェット達もまだ戦ってるからね。僕もエシェット戦ってるところ見てみたいな。


「ぼくも、うえにいくでしゅ!エシェットおうえんするでしゅよ。」


「こらユーキ、大人しく待ってる約束でしょ。」


「おうえんでしゅ!」


「そうだな。よしユーキ。私と一緒に上に行こう。」


「殿下!」


「いいじゃないか。部屋には戻れないんだろう。それにどこに居たって、いつどこが危なくなるなんて分からない。だったらユーキ君が居たい場所に、居させてやった方が良い。それにユーキ君の応援は力が出るだろうからな。くくくっ。」


 サルバドールさんが僕を連れて行ってくれるって。だから皆んなで上まで移動です。上まで行く間に、お城のいろんな所通りました。僕達のお部屋みたいに割れちゃって通れなくなっちゃった所や、さっき魔獣が居たせいで壊れちゃってる壁とか、穴が空いちゃってる廊下とか、上まで行くのにとっても時間がかかっちゃったよ。

 上まで来て、皆んながフゥって溜め息。それからお顔の汗を腕で拭いてます。僕もやろう。僕も上って来たもんね。


「ふぅ、ちゅいたでしゅ。」


 お顔を拭き拭き。そしたら皆んなが一斉に笑い始めました。


「ぷっ、ユーキは自分で歩いて来てないだろう。ハハハハハッ。」


 ぶー、僕だって上って来たもん。マシロが危ないから歩けって言った所とか。そうだ。マシロもあれ出来るかな。僕はマシロに内緒で相談。それでね。マシロがやってくれるって。

 いつまでも笑うお兄ちゃん達に、マシロが風魔法で雪をお兄ちゃん達の顔に着けてくれます。


「わぁ、待って待って!今は止めて!!」


「ごめんごめん!」


 今度またたくさん笑ったら、マシロとエシェットにこれやってもらおう。


「ユーキ様、アンソニー様、ジョシュア様、外に出ますよ。その辺で終わりにして下さい。」


 アシェルがそう言って、エイムさんが最初にお外には出ました。それから僕達がお外に出て、最後にサルバドールさんです。

 お城の前にはやっぱり、大きなカメさんの背中に乗ってる木が見えます。でもお城の周りが、僕が最初に見たのと全然違います。


 お外見て僕はびっくり。お城の周りにたくさん大きな穴が空いてます。あんな穴、空いてなかったよね。1番たくさん空いてるのはカメさんの居る所。その穴見てたら何かか爆発して、また穴が開きました。

 今の爆発、エシェットの攻撃なんだって。エシェットの姿は見えないけど、今爆発した所で戦ってるみたい。シャーナも近くで戦ってるって。くろにゃん達は、お城の周りに居る魔獣倒してます。


 それからもカメさんのいろいろな所で爆発が起こるけど、カメさんは全然平気。あのカメさんは体がとっても丈夫だからね、ちょっとしか攻撃が効かないんだって。

 頑張ってくれてるエシェット達に、僕とシルフィー達で、大きな声で応援です。


「がんばれでしゅう!!」


「そうだぞ!頑張れ!オレ達が応援してるんだからな!」


「ちゃんと勝たないと、この間の山の事言っちゃうよ!」


「エシェット、この前みたいに飛ばして!!」


「キミルはくろにゃん応援!頑張って!!」


 エシェット達遠くに居るから聞こえないよね。でも、聞こえなくても、僕頑張って応援するよ!

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