第142話上に行こう!そして頑張るエシェット

「とうしゃん。マシロおしょいでしゅね。おけが、ちてない?」


 僕はお父さんにギュってしがみ付きながら、マシロが走って行った方を見ます。マシロが行っちゃって、凄く時間が経っちゃった気がするよ。大丈夫かなマシロ。


「ユーキ、マシロはとっても強い。きっともうすぐ帰って来る。」


 お父さんが抱っこしてくれて、抱きしめてくれました。ディル達はマシロ達の気配を感じて、何か起こったら教えてくれるって。今はまだ戦ってるみたい。

 少ししてディルが叫びました。


「ユーキ!マシロ勝った!!あの変な人形、居なくなったぞ!!」


「マシロかった…、やったでしゅう!!」


 皆んなで手をあげて、頭の上で拍手します。凄い凄い!やっぱりマシロは強いね!皆んなと相談して、頑張ったマシロとモリオンに、今はカバンに入ってるお菓子少ないけど、2人に多くお菓子あげることにしました。モリオン、お菓子食べたことないよね。ずっとここに居たって言ってたし、どんな食べ物好きか分からないけど、お菓子はきっと喜んで食べてくれるはず。だってお菓子みんな大好きだもん。嫌いな人は居ないはず。


 皆んなでカバンの中のお菓子、もう1度分けます。僕達は2個ずつ。マシロ達は4つずつです。戻って来たら、皆んなで食べようね。

 マシロが戻って来るよってリュカに言われたから、マシロが走って行った方をじっと見ます。そして。


「あっ!とうしゃん、マシロでしゅ!マシロー!!」


 僕達は皆んなで、頭の上で拍手しながらお出迎えです。マシロが風の結界を消しました。僕はマシロに抱きつきます。ぎゅうううううう。マシロのもふもふの毛大好き。でも今はちょっとサパサパした感じ。それから、石や砂がくっ付いちゃってる。帰ったらブラシでサササってしてあげなくちゃ。でも今は。


「マシロおかえりでしゅ!モリオンもお帰りでしゅう。2人ともしゅごい。あのお人形たおしまちた!!ありがとでしゅ!!」


「主達も何もなくて良かった。」


「マシロありがとう。完璧に破壊したのか?」


 お父さんがマシロの背中を撫でながら、マシロにどうやって倒したのか聞きました。そしたらモリオンが、マシロの戦う姿を真似しながら教えてくれました。マシロね、あの硬そうなお人形壊して、魔力石全部噛み砕いたんだって。すごいねぇ。そうだ!2人にお菓子をあげなくちゃ。


 僕は自分のカバンの中をゴソゴソ。皆んなで座って、お菓子を配ります。モリオンが不思議そうな顔してます。見たことないもんね。


「これは、おかしでしゅ。とってもおいちいでしゅよ。おかしはあまいのと、いろいろあじがあるでしゅ。マシロとモリオンは、がんばったからいっぱいでしゅ。たべてくだしゃい。」


 モリオンがクッキーを持ち上げます。モリオンの体が隠れちゃうくらい、大きなクッキーです。


「これ、全部食べられるかな?」


「だいじょぶでしゅ。のこったら、かえってからたべるでしゅ。」


 モリオンがサクって、クッキーを食べました。それでね、食べた瞬間、お羽がキラキラ光りました。それから、僕達の周りを飛びまわります。


「おいしい!おいしい!これとっても甘い!僕、あの部屋に咲く花の蜜舐めてて、アレも美味しかったけど、こっちはもっと美味しい!!」


 それからクッキーをそのままにして、今度はおせんべい食べます。そしたらまた飛び回って、喜んでくれました。ね、お菓子美味しいでしょ。戻ったら他にもたくさんお菓子あるからね。楽しみにしててね。


 僕達がお菓子食べ終わって、モリオンが残しちゃったおかしは、お菓子の入ってた袋に戻して、カバンに入れました。モリオンがちゃんと後で食べるから、絶対食べないでって。大丈夫だよ。モリオンのだもん。食べないよ。

 それからマシロとお父さんがお話合いします。これからお外に戻るか相談です。そう言えばエシェットどうしたかな?エシェットも戦ってるもんね。お怪我してないといいけど。


「我の感覚では、まだ戦っている最中だ。それもだいぶ激しくな。どうする。地上に戻るか?」


「いつまでもここに居るのもな。さっきみたいなのに襲われても困るし。まあ、それは上でも同じだが。それにいくらマシロでも、この壁を戻るのは大変なんだろう。私は何も出来ないし、大丈夫なのか?」


「その事だが…。」


 さっきまではマシロしか、この壁を登れなかったんだけど、今はモリオンが居るから出来るって。モリオンはくろにゃんと同じ力が使えるから、闇の力使って、モリオンが見える範囲で上に登って行けばいいって。どゆこと?あんまり良く分かってない僕にリュカが説明してくれました。


「ほら、上の方にちょっと岩が出てるでしょう。あそこはモリオンが見えるから、あそこまで闇の力で移動するんだよ。あそこまで行ったら、また次の所まで移動するの。そうすればマシロが、一生懸命歩くところ見つけて登るより、早く上に行けるはず。モリオンはくろにゃんと同じ力だから、お部屋の形や場所が分かってれば、すぐにそこまで移動出来るだろうけど、モリオン、外見たことないからね。」


 そっか。モリオンはくろにゃんと同じで、闇の魔法使うもんね。そしたらリュカのお話聞いてたモリオンが、ちょっと待ってって言って、シルフィーとキミルと、またテレパシーでお話始めました。少ししてモリオンが頷きました。


「大丈夫。すぐにユーキ達が居たお部屋に移動出来るよ。シルフィー達の記憶見せてもらって、お部屋の形とか分かったからね。」


「それは大丈夫なのか?失敗して変な所に出たりしないだろうな。我は安全に戻りたいのだが?」


「大丈夫だよ。バッチリ部屋の様子は分かったし。失敗なんかしないよ。」


 マシロはお父さんの方を見ます。お父さんが頷きました。それからお部屋に戻る前に、お部屋に戻ってからの事を決めます。

 まずお部屋に戻ったら、またマシロが僕達に結界を張ってくれます。それからお兄ちゃん達の所に移動して、お兄ちゃん達と一緒にお城に居る人達を守ります。僕達はマシロに乗っかったまま。僕達だけ壊れたお部屋に居て、魔獣が襲ってきたら大変だから、一緒に居ていいって。そのかわりマシロからは下りないこと。

 今お母さんはお城に居ないんだって。じいじ達の所で魔獣と戦ってるみたい。お母さんに会いたかったけど、しょうがないよね。お母さんとっても強いから、街の人達守ってるんだもん。


 全員マシロに乗っかります。そう言えば、お部屋のお菓子大丈夫だったかな?せっかく買ってもらったお菓子と、貰ったお菓子いっぱいあったんだけど。それに僕のおもちゃ。あとは僕の大好きなうさぎとルーリアのぬいぐるみ。大丈夫だといいなぁ。

 モリオンがキラキラ光ったら、目の前に黒い丸が出来ました。


「ここを通れば、ユーキの部屋に着くよ。さ、いこ。」


 くろにゃんと違って、モリオンのは自分達で黒い丸を通り抜けるみたい。マシロが丸の中に入って行きます。


(エシェット視点)

「さすがに強いな。傷が少し付いただけか。結界がなくて、体がこんなに丈夫とは。さて、どうしたものか。」


「何か随分軽く言ってるけど、本当にどうするの?これだと本当にドラゴンの姿にならないと勝てないわよ。今変身を解けば、私達がドラゴンだって、あの黒服共に教えるようなものよ。」


「分かっている。」


 アスピドケロンとの決着はなかなか付かずにいた。奴が結界を張らないように気をつけながら攻撃を加えているが、奴の体は我が思っている以上に丈夫で、なかなか致命的な傷を付けられずにいた。


「あっちは何とかなったみたいだけど。こっちは全然ね。」


 地下に居るユーキ達の方から、先程変な気配を感じ、マシロが居るとはいえ、少し心配していてが、マシロがその気配を倒したのを感じた。それからこの感じは、ユーキめ、また新しい契約をしたな。しかもこれは…。我はルドックを呼ぶ。


「ルドック部屋に戻れ。ユーキが戻ってくる。そしてそこに闇の精霊が居るはずだ。その精霊とここへ戻って来い。お前の闇の力が強化される。戻って来たら、周りの魔獣を倒して、こっちを手伝え。」


「分かった。」


 そう言うと、ルドックは自分の影に入り消えて行った。

 さあ、ユーキが戻って来る。さっさとアスピドケロンを倒さなければ。それに、アスピドケロンをここに連れて来た、原因もどうにかしたい。反対の方角の少し離れたところに居るあの男。ずっとこちらの様子を窺っている。あの男をそのままにして置くのは不味い気がする。


「また結界が修復してきたわよ!さっさと攻撃しなさい!私は足元を狙ってみるわ。」


 我に命令して良いのはユーキだけなのだが…。ジロっとシャーナを見たが、シャーナはさっさと、下の方へ行ってしまった。やれやれ。

 我は再び復活して来た結界に攻撃をする。地面には、また穴が空いた。

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