第138話冒険開始

 うゆ?今朝?目を覚ました僕。よく見たらお父さんが僕を抱っこしててくれました。あれ?お父さんだ。嬉しいなぁ。僕起きた時、いつもお父さん起きちゃってて、会えないことが多いから。目が覚めてお父さんがいてくれて嬉しい。


「とうしゃん、おはよでしゅ。」


「ユーキ起きたか!」


 お父さんが叫びました。すぐに僕の周りを皆んなが囲みます。


「ユーキ、どっか痛いところないか!オレ、すぐに治すぞ!」


 ってディルが。皆んなとっても心配なお顔してます。どうしたんだろう。それにどこも痛くないよ。あれ、そう言えば暗いね。リュカの魔法で僕達の周りだけ明るい。ここどこ?

 お父さんが、ここは地下だって教えてくれました。魔獣に攻撃されて、それで地面が割れちゃって、僕達落ちちゃったんだって。落っこちた僕とお父さんを、マシロが助けてくれたんだって。ちゃんとお礼言わなきゃ。マシロを探します。でもマシロはどこにも居ません。


「とうしゃんマシロは、どこでしゅか?」


 マシロは今、いろいろ調べに行ってるんだって。お外に出る方法とか、ここが今どうなってるとか。そっか。じゃあ、帰ってきたらありがとうして、たくさんなでなでしてあげよう。


 お父さんが僕に、動いてみなさいって。もしかしたらどこか痛いところがあるかも知れないからって。ジャンプしたり、腕を回してみたり、どこも痛くありません。それ見てディル達はいつもの笑顔になりました。お父さんが自分の手に魔力石で水出して、僕に飲ませてくれました。そんな事してたら、マシロが帰って来ました。


「主、気が付いたのか!」


「マシロ!!」


 僕はマシロに抱きつきながら、もふもふの毛に顔を埋めます。


「マシロ、ありがとでしゅ。おけが、しなかったでしゅ!」


「そうか。どこも痛くないのだな。ならば良かった。」


 マシロはしゃがんで、僕のお顔にスリスリしてくれました。その後マシロはお父さんとお話です。見てきた事の報告だって。


「ウイリアム、少し行った所に、洞窟があるぞ。」


 マシロが調べてたら、ここから少し行った所に、大きな洞窟があったんだって。誰かが掘ったような穴だったって。それでね中を見ようと思ったんだけど、ここよりももっと暗くて、リュカがいないと、中に入れないみたいだから帰って来たみたいです。


 お父さんは洞窟も気になるけど、お外が今どうなってるか、それの方が気になるって。お母さん達大丈夫かな。お怪我してないかな。

 それもマシロは確認してくれてました。気配?が分かるんだって。皆んな元気みたい。良かった。それからお母さんはとっても元気に魔獣と戦ってるって。エシェット達もね。お父さんはその話聞いて、ホッとしたお顔してました。


「少し様子を見たほうが良いだろう。今エシェット達はかなり激しく戦っている。今無理に外へ行くより、エシェット達を信じ、ここで待つ方が良いだろう。それにもしくろにゃんが来てくれたら、そっちの方が早く地上に行ける。」


「そうだな。」


 今はお外に、まだまだたくさんの魔獣がいて危ないから、少しの間、ここに居ることになりました。そしたらディル達がね、何かそわそわしながら近寄って来ました。


「なあなあ、ここに居るなら、さっきマシロが見つけた洞窟行ってみようぜ。」


「そうだよ。ここにいても何にもやる事ないんだし。ほら、この間の冒険の続き。」


「僕も行ってみたい!」


「キミルも!」


 皆んな洞窟に、冒険に行きたいって。僕も!お父さんに皆んなでお願いします。


「あんまり動かない方が良いんだが。ユーキ達がじっとしてられる訳ないしな。それに、気が紛れていいかも知れん。」


「なに、我が先に入って、確認する。それから主達が入ってくればいい。主、それにディル達も、我が危ないと思えば、洞窟には入らせない。良いな。」


「はーいでしゅ!!」


「「「「はーい!!」」」」


 決まり!皆んなで冒険開始です。僕達はマシロに乗って、お父さんは隣を歩きます。リュカが明るくしてくれてるから、さっさ、さっさ進めます。

 歩いてる最中に、いろいろな物見つけました。魔獣の骨とか、魔力石とか、あとお父さんが驚いてた物もありました。魔獣や、貝や、それから葉っぱとか、たくさん化石が壁に埋まってたんだ。絵本で読んだ事あるよ。昔の生き物が、石になっちゃうんだよね。そう言ったらお父さん笑ってました。


「ははは、ちょっと違うが、まあ、ユーキはそれで良いだろう。」


「主のおもちゃに加えよう。」


 マシロが爪で引っ掻いて、何個か化石をとってくれました。それをお父さんが自分のマントに包みます。包んだマントをマシロの首に撒きました。


「化石がおもちゃか。学者が聞いたら泣くだろうな。まあ、全部が上手く終わったら、国王様に報告だな。」


 化石を持って、またどんどん進みます。ちゃんと宝物見つけて、ホントの冒険だね。次はどんな宝物見つかるかな。

 お父さんは化石の他にも、魔力石とってもらってました。もしかしたら、必要になるかも知れないからって。お水のほかに、火とか風の魔力石がありました。

 そんな事しながら、やっと洞窟の前に着きました。とっても大きな洞窟です。中は真っ暗。全然中が見えません。


「最初に我とリュカで中を見てくる。主達はここで待っててくれ。さっき光の石を見つけたから大丈夫であろう。」


「ああ。気をつけろよ。」


 マシロ達が中に入って行きました。お父さんが魔力石で明るくしてくれます。でもリュカより暗いんだ。今まで明るかったから何かヤダ。2人とも早く戻って来てね。


 待ってる間、皆んなで座って、僕のカバンに入ってるお菓子の確認してました。お菓子を数えて、皆んなの分があるか確認。だってお腹空いたら、皆んなの分ないと困っちゃうでしょう。でも大丈夫。皆んなの分ちゃんとありました。アメも皆んなの分あったから、マシロ達が戻ってきたら食べよう。

 少し待って、やっと2人が帰って来ました。そしたらリュカが、


「凄いよ!凄いの見つけちゃった!!」


 リュカがいつもより光ってます。何があったの?


「別に危ない物や、気配はなかった。中に入って大丈夫だ。」


「あ!アメ食べるの。じゃあ、それ食べたら中に行こう!これから洞窟冒険だもん。冒険の前にはご飯食べないとね。ユーキの絵本に書いてあったよね。とっても凄い物あったから、楽しみにしててね!」


 何があったのか気になるけど、うん、ご飯は大事。皆んなでアメ食べます。お父さんもマシロもね。そしていよいよ。

 僕はまたマシロに乗って。皆んなも自分の場所に。僕は手を挙げて、


「しゅぱーちゅ!!」


 洞窟の中の入って行きます。リュカがとっても明るくしてくれたから、洞窟の中がとってもよく見えます。少し進むと、マシロが止まりました。それから壁を見ます。壁の中に小さな穴が開いてて、その中に光の魔力石が置いてありました。よく見たら、他の場所にも同じのがあります。


「ウイリアム、それに魔力を流せ。」


「ああ。」


 お父さんが明かりをつけていきます。そしたらリュカの光がなくても、洞窟の中が明るくなりました。


「凄いな。本当に自然に出来た洞窟じゃないんだな。どうしてこんな所に。」


「だいぶ下に落ちたからな。ここの土や石は、地上の物とは全然違う物だ。ここは何千年も前の物。長い年月で、洞窟はどんどん埋まっていったんだろう。化石もあったからな。」


 ここはとっても昔の洞窟なんだって。マシロ達も生まれてないよ。マシロはとっても長生きなのに、それよりも前なんて、どんな人達が暮らしてたのかな。僕達みたいに、たくさん家族がいて、たくさんお友達がいたのかな?


 明るくなった洞窟をどんどん進みます。進んで行くと、どんどん洞窟が広くなりました。リュカが僕の肩から飛んで、もうすぐだよって。

 最後に着いたのは、大きな部屋みたいな所でした。お父さんがまた明かりをつけていきます。明るくなった部屋の中には、真ん中に大きな石の台と、太い石の棒があって、太い石の棒の上には…。

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