第133話お外もお城の中も、皆んな大忙し
僕が次の日起きたら、お城の中がいつもよりももっと、騒がしくなってました。使用人さんもメイドさんも、いろいろな荷物運んだり、僕が廊下から別のお部屋の中見たら、お部屋の中もお片付けしてて、お片付けしたお部屋に、たくさんベッド運んでます。誰かお泊まりに来るのかな?
それからお外も騒がしかったです。騎士さんがたくさん、お庭を行ったり来たりしてます。この前、カージナルに悪い人達が来た時みたい。もしかして、ここにも悪い人達が来るのかな。
「にいしゃん。ここにもわるいひと、きましゅか?きししゃんいっぱいでしゅ。」
「ん?ああ、あれはね、この前森にたくさん足跡あったでしょ。もしかしたら、その足跡の魔獣が、ボルフィスに来ちゃうかもしれないから、街を守るために、皆んな準備してるんだ。大きな魔獣が来ちゃったら、カージナルみたいに街が壊されちゃうかもしれないからね。」
「街には来ないかもしれないけどな。準備はしておかないと、すぐに皆んな動けないだろう。」
大きな魔獣。でもそれなら、エシェットが居るから大丈夫だよ。エシェットはとっても大きいし、とっても強いもん。それにシャーナもいるよ。
「エシェット、まちにまじゅうきたら、まもってくだしゃい。」
「そう言うと思ったが、やはり街の人間皆んなか?我はユーキの家族だけで良いんだが。」
「ダメでしゅよ。みんなでしゅ。いまからとうしゃんに、いいにいくでしゅ!」
皆んなが準備してるんだから、僕達もお手伝いしなくちゃね。僕がお部屋から出て行こうとしたら、お兄ちゃんに止められちゃいました。今日はお父さんとお昼食べられるから、その時にエシェットのこと言えばいいって。やったー!お父さんとお昼。そうだね、じゃあ、お話はお昼の後でいいや。
お昼までお外の、雪のお家のある所で遊びました。もちろんキミルのマネして、雪にジャンプです。ボスって、凄く深くまで埋まっちゃって、起きれなくなっちゃって、お兄ちゃんに助けてもらいました。でもね、雪には僕の跡が綺麗についてました。成功です。それ見て、皆んなも雪にジャンプ。皆んなの跡も綺麗に雪につきました。
「うまくいったでしゅう。」
ニコニコしてる僕の洋服に着いちゃった雪を、お兄ちゃんがパシパシ叩いてとってくれます。
「何でこんな寒そうなことするの。服が雪だらけだよ。」
「いいじゃん。俺も小さい時やったし。けっこう面白いぞ。兄さんもやってみなよ。」
「嫌だよ。」
アンソニーお兄ちゃんが僕の雪を取り終わって、太陽のあたってるあったかい方に行こうとしたら、お兄ちゃんの方にディルとリュカがピュッて、凄い勢いで飛んでいきます。それでお兄ちゃんの足のところ、グルグル回りました。そしたら。
「うわわわわっ!!」
お兄ちゃんが雪で滑って、お顔から雪に倒れちゃいました。慌てて起き上がるお兄ちゃん。冷たい!部屋に帰って着替えてくるってプンプン怒りながら、お城の中に入って行っちゃいました。ジョシュアお兄ちゃんは凄く笑って、それから、
「オーレも!」
アンソニーお兄ちゃんの雪の跡の隣に飛び込んで、自分の跡付けてました。皆んなの中で1番綺麗な跡です。ジョシュアお兄ちゃんは小さい時から、いっぱい雪に飛び込んでたから、うまく跡残せるんだって。僕もたくさんやったら、綺麗に出来るかな。カージナルに戻ったら、リク君とやってみよう。
それからお昼ご飯の時間になったから、お部屋に戻りました。お部屋に戻ったらアンソニーお兄ちゃんがホットミルク飲んでました。
「ぼくもぉー!!」
駆け寄ったら、
「こら、熱いの持ってるんだから、走り寄ったらダメだ。」
お父さんが僕のこと抱き上げました。僕はお父さんに抱きつきます。久しぶりのお父さんです。
「冷た!!随分冷えてるじゃないか!洋服もびしょびしょだし、どうやって遊んでたんだ。ほら着替えなさい。それからご飯だ。」
「はーいでしゅう!」
「そりゃあ、ああやって遊んでればね。」
僕はお着替えして、マシロ達はマシロの風魔法で濡れちゃった毛を乾かしました。それから、お母さんもじいじもばあばも、今日は家族全員でお昼です。僕は嬉しくて足をぶらぶら止められません。だってご飯皆んな一緒なんだよ。椅子がガタガタしちゃって、お父さんが押さえてくれます。
「ほら足バタバタするな。」
「もぐもぐ。」
足止めたら今度は、体が揺れちゃった。
「まったく。それじゃあ意味ないだろう。まあ、しょうがないか。少しの間だったが、皆んなで一緒に食べられなかったからな。」
楽しいご飯の時間が終わって、アシェルが皆んなのお茶を運んでくれます。もちろん僕はホットミルクです。ホットミルク飲んだら眠くなってきちゃった。こっくりこっくりしてたら、お父さんにもう少し頑張って起きててくれって。これからお話があるんだって。お話ってなぁに?僕眠たいよ。でもそうだ。僕もお父さんにお話があったんだ。
「とうしゃん。まちにいっぱい、まじゅうくるでしゅか?ぼく、エシェットにおねがいしたでしゅ。まち、まもってくだしゃいって。エシェット、まもってくれるでしゅよ。ね、エシェット?」
「ユーキがそう言うんだから仕方ない。本当はユーキ達家族だけで良いんだがな。結界くらいなら張ってやるし、少しなら魔獣が攻めてきたら、倒してやってもいい。」
「…本当か?」
お話してるうちに、僕寝ちゃいました。
(ウイリアム視点)
ノックの後にアシェルがドアを開け、国王様とサルバドール殿下が部屋に入ってこられた。それからエイムとアシェルが部屋に入る。最後にシャーナが入ってきた。
「すまん遅れた。なかなかエイダンが離してくれんでのう。それでユーキはどうしたのじゃ。」
「それが…。申し訳ありません。」
私は後ろで眠る、ユーキを抱いているオリビアを見た。間に合わなかった。私と話している最中に眠ってしまったんだ。国王様達と話があったのだが。無理やり起こそうとも思ったが、起こしたところで、話ができる状態ではないと思い、そのまま寝かせておいた。
「そうか、ちと来るのが遅かったかのう。本当はユーキがいた方が、話が早く済むと思っとったんじゃが。」
「それについて私から報告が。」
今回国王様達がこの部屋に来た理由。それは、あまり他の人々に聞かれたくない話をするためだった。今回の魔獣の襲撃に関して、国王はシャーナとエシェットに、街に結界を張ってほしいと、頼むつもりでいたのだ。シャーナについては殿下が頼み了承を得たようだが。エシェットはユーキに言ってもらわないとダメだからな。それを国王様自ら、ユーキにエシェットに頼んで貰えるように、言いに来られたのだが。
まさか我々が頼む前に、ユーキがエシェットに頼んでいてくれているとは。エシェットもユーキの頼みは断れない。イヤイヤそうではあったが、エシェットからの了解を得ることができた。
その事を国王様に伝えれば、最初驚いた顔をされていたが、すぐにエシェットの前に行き、頭を下げてきた。まさか頭を下げるとは。すぐに止めるように言ったのだが、これは礼儀だと、譲らなかった。
後から聞いた話では、もし断られた場合、シャーナにも説得してもらおうと、ここにシャーナを連れてきたらしい。シャーナを見たエシェットは、とても嫌そうな顔をしていた。何でそんなに嫌がるのか。一度は誘ったことのある相手だろうに。
ユーキのおかげで話が早く終わった私達は、また自分の仕事に戻る事になった。昼寝から起きたユーキが、私がいない事に気づき、寂しい思いをするのは分かっていたが、私もここで街を守る人間として、いろいろやる事がある。だが、今日はなるべく早く仕事を切り上げよう。そしてユーキとご飯を食べ、一緒に寝よう。
軽くユーキの頭を撫でると、私は部屋を後にした。そんな私の後をエシェットが追ってきた。どうしたのかと思い、立ち止まった私に、エシェットはこう言ってきた。
「あの足跡の魔獣だが、あの時匂いが残っていたからな。何の魔獣があそこにいたか、大体分かるぞ。この街を守るとユーキに約束したからな。お前たち人間のミスで、ユーキが悲しむ事が起こらないとも限らない。教えてやるから、そっちでも対策をとれ。」
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