第129話買い物は王様と王子様と?


 次の日、お昼ご飯食べ終わった僕は、お父さん達皆んなでお店通りに遊びに来ました。お菓子買ってもらうんだ。カージナルよりもたくさんの大きなお菓子のお店があるから、もう見るの大変。ディル達も皆んな違うお菓子がいいって言うし。

 でも、初めてボルフィスに来た僕に、どのお菓子が美味しいとか不味いとか、教えてくれる人がいます。冒険者の格好した王様とサルバドールさん、それからエイムさんです。


「お前も相変わらずじゃのう。いい歳してまだこんな事をやっておるんか。」


「良いではないか。この格好をしていれば、民には気付かれんし、気付かない民はいつも通りの生活をワシらに見せてくれる。その生活の姿で、今の街の状況を確認できるんじゃからな。」


「いい加減、その役割は私がすると言ってるんだが、父はなかなか辞めてくれないんだ。」


「そして私は御二方に、その仕事は私の仕事ですと、毎回申し上げているんですがね。」


 歩いてたら声をかけて来た人が、何人かいたんだけど、王様のことも王子様のことも、皆んな違うお名前で呼ぶんだ。何でだろうね?王様はリードで王子様はルド。変なの。お母さんが言ってた、あだ名なのかな?


 最初に連れて行ってもらったのは、クッキーばっかり売ってるお店でした。お店の中全部クッキー。自分で食べたいクッキーを袋に入れて、後で重さを計るんだって。お母さんが僕に袋をわたしてきました。この袋に入るだけよって。よし、頑張ってたくさん入れよう。

 ボルフィスにあるお店は全部、魔獣とか妖精さんとか入れるお店です。だからみんなと一緒にお買い物できます。お母さんはシルフィーにもディル達のも、皆んなに袋くれました。僕はお父さんと一緒に、シルフィー達はお兄ちゃん達とクッキー入れます。


 星の形したクッキーや、ワンちゃんの形したクッキー、後は虹色のクッキーとかいろいろあります。


「ユーキたくさん食べたいなら、みんな1枚ずつ入れていけばいい。たくさんの種類食べられるぞ。」


 そうだね。いろいろ入れたほうが良いよね。よし、じゃあ1枚ずつ。全部は入れられなかったけど、たくさんのクッキー袋に入れられて、僕はニコニコです。

 シルフィーはワンちゃんとかうさぎさんとか動物クッキーたくさん入れてます。ディルとリュカは、自分の洋服と同じ色のクッキーたくさん入れてました。キミルはお野菜のクッキーいっぱい…。僕は入れなかったはず。大丈夫だよね?マシロとくろにゃんは、木の実のクッキーたくさんです。エシェットは…。


「どうちてエシェットは、はこでしゅか?」


「我は体が大きいからな。ドラゴンの姿になったら、袋では足りないだろう。」


 エシェットは箱にたくさんクッキー入れてました。何かエシェットだけずるい。そうだ!後で食べ終わっちゃったら、エシェットの箱から取っちゃおう。


 次に行ったお店はアメばっかり売ってるお店です。エイムさんがいろいろ教えてくれました。ここで売ってるアメ、エイムさん大好きなんだって。だからね、アメはエイムさんが1番美味しいって言ってた、いろいろな木の実の味がするアメの入ってるビンを買いました。アメはビンで売ってるのと、袋で売ってるのがあって、ビンの方が中のアメが溢れにくいし、それにベトベトになったりしないんだって。


 アメを買ったら次はおせんべいのお店。おせんべいのお店はサルバドールさんが、いろいろ教えてくれました。それからこれが良いって言って、いろんなおせんべいの入った箱を2個買ってくれました。全部の種類のおせんべいが入ってるんだって。


「そんな買っていただく訳には。」


「良いんだ良いんだ。ユーキの喜ぶ可愛い顔を見せてもらったからな。」


「ありがとうございます。ユーキちゃん、ちゃんとお礼を言いましょね。」


「サルバドールしゃん、ありがとでしゅう!」


 おせんべい買ったあとも、グミとかマシュマロみたいなのとか、いろんなお菓子買って貰いました。僕、とっても嬉しくてスキップです。僕のスキップみて、皆んな笑ってたけど気にしないもんね。マシロがリュックに入れてお菓子持ってくれます。箱はジョシュアお兄ちゃんが持ってくれました。


 たくさんお買い物してたら、もう夕方になっちゃった。お城に帰る時間です。お菓子のお店以外見れなかったよ。まだ帰らないよね。またお店通りで遊びたいな。


「とうしゃん、まだ、かえらないでしゅか?またここであしょべましゅか?」


「ああ、まだ帰らないから、遊びに来れるぞ。だから今日はもう帰ろうな。」


 良かった。だって他のお店見たいし、アシェルやアメリアのお土産も選ばなくちゃ。カージナルで売ってない物が良いよね。

 夕方になったから、ご飯売ってるお店が多くなりました。とっても良い匂い。イノシシの魔獣、そのまま焼いてるお店とか、大きなヘビの魔獣がぶら下がってるお店、それから、僕の体くらいの大きなお鍋で、スープ作ってるお店、いろんなお店が夜のご飯の準備してます。


「おちろにあるおなべは、いちゅちゅかうでしゅか?ずっとおいてあるでしゅよ?」


「お鍋?何の事じゃ?」


「い、いや、何でもないんです。ユーキ、あれは今使ってないんだ。だからあそこに置いてあるんだ。」


 どこか壊れちゃってるのかな?でもお城にはきっとたくさん、お料理のお道具がいっぱいだから大丈夫なんだね。


 お城に帰って部屋に戻って、今日買ったお菓子を全部、絨毯の上に並べます。僕が遊べるようにエイムさんが絨毯ひいてくれたんだ。絨毯の上には、エイムさんがくれた乗り物のおもちゃや、ぬいぐるみが置いてあります。そこに今日のお菓子を並べます。


「ふおお、ふおおお、おかしたくしゃん!」


「ボクのお菓子もたくさん。」


「オレのだって!」


「僕のお菓子美味しそう。」


「僕のは、僕の大好きな野菜のお菓子!」


 全部お菓子並べて、絨毯の上はお菓子だらけ。嬉しいなあ。今日はお店通りでおやつのケーキ食べちゃったから、夜のご飯の後で、ちょっとだけお菓子食べて良いって。皆んなでどのお菓子食べるか相談です。今日はおせんべいになりました。明日は何食べようかな?


(ウイリアム視点)

 並べたお菓子を見て、ニコニコ顔のユーキを見て、とても安心した。ルオンの事があって、いっそう夜1人で眠れなくなってしまったユーキ。少しでも笑顔の時間が増えれば良いが。


 夕食の後、ユーキが眠るのを待って私と父さんは、国王と殿下、それからエイムを交えてユーキの話をした。ユーキの加護についてだ。


「初日の紹介で、ワシがユーキを加護する事は問題ないと思っていたが、今日の街歩きでそれが確信に変わった。ユーキはちゃんと、契約した者達を従えていた。契約した者も、ユーキの事をちゃんと見ているし、反抗する様子も見られん。そんなユーキの全てを考慮して、初日に言った通り、ワシはユーキに王族の加護を与えよう。」


 私と父さんは立ち上がり、深々と頭を下げた。良かった。これで政治的に何かユーキに不利な事が起きても、国王の加護があるおかげで、そんなに大きな問題になる事はないだろう。


「それからのう。ワシも歳じゃて。もしワシが国王を退いた場合なんじゃが。次は1人息子のこのサルバドールが王位を継ぐ。」


「私が王位を継いだ場合も引き続き、ユーキを加護していくから心配はいらない。それは安心してもらって良い。ドラゴンと契約した仲間だからな。それに私はユーキが気に入っている。」


 エイムが紙とペンを用意した。国王様がユーキの加護者であることの証明書を書くためだ。全て書き終わったのか、国王様は紙に王族の判を押した。エイムがそれを受け取り、それを私に渡してくる。とても大切な証明書だ。だが、これでユーキはもっと安心して暮らせるようになる。

 私はもう1度、深々と頭を下げた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る