第128話雪でいっぱい遊ぼう!!

 朝起きてお父さんに抱っこしてもらって、窓からお外見ました。昨日よりも雪がたくさん積もってます。1度ねお城のお庭、雪をお片付けしたんだって。昨日お城についた時、雪は僕の長靴くらいの高さでした。でも今はお外に居る使用人さんの、腰のところぐらいまで積もってます。また夜のうちにたくさん降ったんだ。

 新しいお洋服買ってもらったから、今日はたくさん雪で遊べるかな?あっ、それよりも昨日お母さん、お菓子買ってくれるって言ったよね。今日はお菓子が最初の予定にしよう。でもお外で遊んで良いかも聞かなくちゃ。


「とうしゃん、きょうはおそとで、あしょんでもいいでしゅか?」


「うーん。どうだろうな。ご飯食べたら確認してくるから、ちょっと待っててくれ。確かお茶会をすると言っていたからな。」


 朝ご飯は、僕達のお泊まりしてるお部屋で、皆んなで食べました。食べてる時にサルバドールさんがお部屋に入ってきました。皆んなが立ち上がります。僕も立ちなさいって。まだお口にソーセージが入ってるよ。一生懸命噛むけど、大きいのお口に入れたから、なかなか飲み込めない…。もぐもぐ、もぐもぐ、もぐもぐ…。


「ははは、良い良い、座りなさい。そんなにほっぺを膨らませてたら大変だろう。皆も座ってくれてかまわない。」


 僕は椅子に座って、それから少しもぐもぐもぐ。ごくん。ふう、やっと飲み込めたよ。


「ルドガーすまないが今日のお茶会と話合いは中止だ。急用らしい。」


「分かりました。では今日は我々は自由に過ごしても良いじゃろうか?ユーキがお菓子を買うのと、雪で遊びたがっているんじゃが。」


「そうか…。それなんだが、ルオン達について聞きたいことがあると、宰相のエイダンが話をしたいそうなんだ。子供達以外には集まって欲しいらしい。」


「ほう、その様子では、エイダンは元気にしているようですな。ユーキはアンソニー達が居るから大丈夫じゃろう。ユーキ、すまんが今日お菓子を買いに行くのは無理そうじゃ。じいじ達は仕事をしなくちゃいかん。」


 そっかあ。お仕事じゃしょうがないよね。今日はがまんがまん。でもお外で遊ぶのは良いって。やったあ!早くご飯食べてお外行こう。


 僕は今、お城のお庭に来てます。今いる所はあんまり人が来ない所だから、たくさん騒いでも大丈夫なんだって。マシロ達もたくさん遊べるよって。

 お庭にいるのは、僕とマシロ達とお兄ちゃん達と、それからサルバドールさんです。お父さん達がお話合いしてるから、サルバドールさんが一緒について来てくれたんだ。僕ねサルバドールさんって呼んでたら、お父さんが殿下ってちゃんと言いなさいって。王子様の事は殿下って言うんだって。サルバドールさん王子様だったんだ。でもねサルバドールさん、さんのままで良いって。たまには堅苦しい呼び方から、逃れたいって言ってました。よく分かんないけど、そのままで良いならそれでいいや。

王様に王子様に会えて、お城も見れてお泊まりも出来て、僕とっても嬉しいなあ。


「ユーキ、何して遊ぶの?」


「えと、しゃいしょは、ゆきだるまちゅくりましゅ!みんなのぶんちゅくりましゅ!」


「皆んなって、全員?マシロ達も父さん達も?」


「はいでしゅ!!」


「よし!俺も手伝うぞ!俺が最初の雪玉作ってやるからな。ユーキはそれを転がして大きくするんだぞ。」


 ジョシュアお兄ちゃんが僕のお顔くらいの雪玉、どんどん作ってくれます。僕はそれをコロコロ転がします。雪がたくさん積もってるから、うまく転がせなくて、サルバドールさんが手伝ってくれます。それでも転がすの大変。


「よいちょ、よいちょ。」


 雪玉がとっても大きくなりました。これは下の部分ね。次は頭の部分。よいしょよいしょ。ふう、完成。これを下の部分に乗っけて…。僕じゃ無理。どうしよう。そうだエシェットに乗っけてもらおう。


「エシェット、これのっけてくだしゃい。」


「分かった。これで良いか?」


 エシェットが上の部分乗っけてくれたから、今度はマシロに乗って、お顔作ります。これはエシェットの雪だるまだから、カッコいいお顔が良いよね。僕は葉っぱとか石とか使って、お顔作ります。キリッと眉毛と、キリッとお目々と、…これでいいかな。うん、これでエシェット雪だるま完成です。

 次はマシロ雪だるまです。横長の雪の塊作ります。皆んなで雪を固めて横長の塊作りました。その後に雪玉作って、横長の雪の塊の片方に雪玉乗っけて、雪玉の上に小さい雪玉2つ乗っけて耳の完成です。尻尾もくっつけてお顔作って、マシロも完成です。


 どんどん雪だるま作っていきます。全部で14個作らないと。ジョシュアお兄ちゃんは何か嫌そうなお顔してました。だって1人だけ雪だるまないの嫌でしょう。時間かかるからって雪玉作るの、お兄ちゃん達が手伝ってくれました。

 全部作り終わったのは、おやつ食べる前でした。でもちゃんと、全員分の雪だるま出来たよ。


「凄いねこれ、こんなに雪だるま並んでるの初めて見たよ。」


「でも顔の作り方とか、皆んなの特徴出てるから、誰の雪だるまかちゃんと分かるぞ。」


「君達はいつもこんな大変な思いを。体があちこち痛いんだが。子供の行動力を甘くみていたよ。」


 14個の雪だるま、全部1列に並んでるんだ。凄いでしょう。大きさも形もお顔も全部違うんだよ。ふう疲れた。


「あのやりきった顔。面白いね。」


「さあユーキ、おやつ食べに行こう。」


「はいでしゅ!!」


 皆んなでお部屋に戻ろうとしたら、エシェットがちょっと待てって言いました。それから絵本を出してきました。いつの間に絵本持ってきたの?ダメだよ濡れちゃう。早く戻して。濡れちゃうと思った僕は慌ててたけど、エシェットは絵本を開いて、絵を見せてきました。


「この前これを見て、ユーキはこの中に入ってみたいと言っていただろう。我が作ってやるぞ。その中でおやつを食べればいい。」


「ふわわ、エシェットちゅくれるでしゅか?!ちゅくってくだしゃい!!」


 エシェットが僕に絵本渡してきます。そして僕達はエシェットから少し離れて待ちます。


「エシェット、やりすぎるなよ。」


「怒られるの自分だからね。」


 大丈夫だよお兄ちゃん達。エシェット雪のトンネルだって作っちゃうんだから。きっとカッコいいの作ってくれるよ。

 積もってた雪が、エシェットの風魔法でふわわわわって持ち上がりました。


(ウイリアム視点)

 ユーキのおやつの時間になって、ようやく話が終わった。父さん達とまだ戻って来ていないというユーキ達の居る庭へ、ユーキを迎えに行くことにした。そしてそこには、ただの庭ではなく、2階建ての雪の家が出来ていた。思わず叫んでしまった。


「ユーキイイイイイ!!何をした!!」


 2階の窓から、サルバドール殿下に抱っこされたユーキが顔を出した。とっても可愛い笑顔で手を振りながら、私達の事を呼んでいる。


「とうしゃん、かあしゃん、エシェットがちゅくってくれたでしゅう!!」


「入って来るといい。なかなかだぞ。」


 殿下までそんな楽しそうに。私達は言われるままに雪の家に入った。中を見てびっくりだ。ちゃんと机や椅子、それから台所みたいな物が再現されていた。雪の階段を上がり2階へ。2階にも机と椅子が置いてあり、そこにお茶のセットが用意してあった。ユーキが駆け寄って来る。


「とうしゃん、ゆきのおうちでしゅう!エシェットが、ちゅくってくれたでしゅよ。ゆきのおうちのなか、しゃむくないでしゅ。」


 言われてみれば、雪の家なのに寒くない。何だこれは。


「私も最初はびっくりする事ばかりだった。雪の家をササっと作ってしまう事にも、家の中の再現してある物も。それに中に入ってみて、雪の家の中がこんなに温かいとは。」


「父さん、僕達一応注意したんだからね。」


「そうそう。あ、あと、反対の窓から外見てみて。あっちもあっちで、結構凄いよ。」


 そう言われて、反対の窓から外を見る。そこにはズラっと、いろいろな雪だるまが並んでいた。これ全部作ったのか?!

 慌てる私に殿下が、まずはお茶を飲んで落ち着けと。雪の椅子に座ると、いつの間にか来ていたメイドが、お茶を入れてくれた。少しの間お茶とお菓子を食べ、少し落ち着いて来た所で、さっきの雪だるまの所へ。そして思わず笑ってしまった。


 全部ちゃんと顔や形が違っていた。ちゃんと特徴が出ていて、なかなかの雪だるまだ。ユーキが凄いでしょうと、えっへんと胸を張っている。ちゃんと私達の事を見ている証拠だ。


「とうしゃん、ゆきであしょぶの、たのちいでしゅ。」


 ニコニコ顔のユーキの頭を撫でる。


「良かったな。たくさん遊べて。」


「はいでしゅ!!またあちたもあしょぶでしゅよ!」


 タタタタタッと走って雪の家に戻るユーキ。もう少し大人しく遊んでくれると良いんだが。まあ、元気が良いのは良い事か。私もユーキの後を追い、雪の家に入った。

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