第115話到着した手紙

 悪い人達が僕達の街に来て、少し経ちました。お家のお庭は、とっても綺麗になったよ。倒れちゃった木はキミルが治してくれました。後お花もたくさん咲かせてくれたんだ。あとね、夜、皆んなが寝てる間に、町中の木とお花も治してくれました。

「僕ができるのはここまで。本当は僕は見守る精霊だから。でも、ユーキがお願いした時は助けてあげる。」

 キミルありがとうね。

 それで街は今、ゴミは全部片付けて、壊れちゃったたくさんのお家、直してるところです。ザクスさんがいる街からも、お家直してくれる人達が来てくれて、凄い勢いでお家直ってるんだ。ザクスさんも街にいてくれて、お父さんのお手伝いしてくれてます。僕はね、

「リクくん、こんにちはでしゅう!」

「ユーキ、怪我とかしなかったか。オレはずっと母ちゃん守ったんだぞ!」

「しゅごいでしゅう!ぼくは、おともだちできたでしゅよ。」

 今日はリクくんが遊びに来てくれました。くろにゃん達紹介して、キミルのことは妖精って紹介しました。お父さんがそうしなさいって。

「リク君、元気になってよかったわ。心配してたのよ。」

「それがね、森での出来事の後、少しの間大人しかったんだけど、街に奴らが来てから、何か目覚めちゃったみたいでね。ずっと私のこと守ってくれたのよ。事件が終わってからは、毎日お父さんと稽古してるわ。もううるさくて。」

「でも良かったじゃない。元気になって。」

 剣で遊んでからボールで遊んで、おやつも食べて、とっても楽しかったです。あとね乗り物にも乗せてあげたんだよ。ばあばはすぐにもう1つ乗り物作ってくれて、今は3つの乗り物が合体できます。でもね、3つになって、リク君が乗ったら、僕うまく走れなくなっちゃって、ヒモくっつけて、マシロに引っ張ってもらいました。小さいマシロだったら走れたのに。あとね。

「わあああ、負けたあ~!」

「かったでしゅう!ぼくのおやま、おおきいでしゅう!」

 初めてリク君に、砂のお山作るの勝ちました。僕のお山の方がちょっとだけ大きかったです。後でじいじに報告しなきゃ。


 夕方までリク君と遊んで、夜はお仕事から戻ってきた、お父さん達全員で夜ご飯食べられました。ザクスさんも一緒だから、とっても嬉しいです。じいじにお山の事言ったら、とっても褒めてくれました。

「凄いぞユーキ。また頑張るんじゃぞ。」

「はいでしゅ!がんばるでしゅよ!」

 夜は久しぶりにお父さんとお母さんと、3人一緒に寝られたんだよ。いつもお父さんかお母さんどっちかだから、今日は3人で寝られて、とっても嬉しいです。それから、くろにゃんとキミルが寝るクッションが増えました。皆んなのクッション置いてあるから、床がクッションだらけで、たまにお父さんが踏んじゃって、皆んなに怒られてました。


 今日はお父さんに絵本読んでもらいます。今日の絵本は、冒険者さんのお話。

「とうしゃん、いまのところは、もっと、じいじでしゅ。あと、ばあばもでしゅよ。」

「なかなか難しいな。」

「かあしゃんはとっても、じょうじゅでしゅよ。」

「はは、こればっかりはお母さんには敵わないな。」

 お父さんに読み方教えてあげながら、いつの間にか寝ちゃいました。


(ルドガー視点)

<トントン、トントン>

 夜中、ノックをする音で目を覚ました。

「誰じゃ。」

「アシェルです。夜遅く申し訳ありません。大旦那様、リチャード国王様より、お手紙が届きました。」

「分かった、すぐに行く。休憩室で待て。それからウイリアムも起こしてきてくれ。」

「畏まりました。」

「あなた。」

 一緒に起きてしまったリズに、ゆっくり寝ていなさいと言い、上に1枚羽織ると、すぐに休憩室に向かった。部屋につき、アシェルから手紙を受け取る。アシェルは紅茶の用意をしに部屋を出る。それと入れ替わりにウイリアムが部屋に入ってきた。そして手紙の国印を見て、ソファーに座った。


「往復で10日ですか。相変わらず早いですね。」

「ワシの自慢の部下だからのう。」

 ワシはウイリアムにこの屋敷を譲った後も、2人ほど側に、伝令役の部下を置いていた。何かあった場合にそなえてだ。今回の事も、本来ならリチャードの治めているボルフィス王国まで往復で、普通の伝令役の人間であれば、12日くらいかかるところを、10日で戻ってきた。本当に優秀な部下だ。

「それで手紙には何と?」


 早速手紙を開ける。それと同時にアシェルが紅茶を持って、部屋に入ってきた。紅茶をひと口飲み、手紙を読み始める。そして全て読み終わり、溜め息をついた。読み終わるまでにそんなに時間はかからなかった。

 まったく奴の手紙は相変わらずじゃ。国王とは思えん。ほとんど一般人と同じ、もしくはそれ以上に、砕けた書き方をしている。やあ久しぶり、最近調子は?私はとっても元気にやっているよ。こんな感じだ。まあ、それがいい所でもあるがのう。

「今回の死黒の鷹狩りの件と、ユーキの話、どちらも一緒に話を聞くと言ってきた。特にユーキの事は、楽しみにしていると。」

「ルオンの事よりもですか?」

「それは、ワシがそう言うなら、そうなんだろうと、ワシが嘘をつく事はないと分かっているから、あとはルオンが死んだ証拠を持って行けば、話は終わりじゃと。」

「完璧にユーキに興味が湧いたわけですね。それで話はいつ頃と。」

「もし街を離れることが出来るのなら、すぐにでもとおっしゃっている。」

 いつもの癖がでたか。昔から変わらんなあ。興味が湧いた事に関しては、我慢がきかん奴じゃった。どんなに早くしなければいけない仕事があっても、興味が湧けばそれを優先させ、いつも父親に怒られていた。それはじじいになった今でも変わらないらしい。

「まあ、今はだいぶ落ち着いたけど、すぐにって言うのは、もう少し落ち着いてからでないと、ザクスがいなくても、やっていけるくらいには。」

「そうじゃのう。まあ、街の家や店はだいぶ直ってきて、あと少しじゃ。8日もあれば、目安はつくじゃろう。ザクスが自分の街へ戻り、ここの事はリアムに任せ、リアムにはアシェルをつける。それで指揮を取れるならば、ボルフィスに向かうとするかのう。」


 さて、そう決まったならば、いろいろ準備が必要か?長旅になるからのう。持ち物がいっぱいじゃ。ん?そういえばルドックが荷物を運べたか?それならば楽になるんじゃが。

 それに、いくらか酒もいる。あ奴は酒が好きじゃて。この前怒られてユーキにも嫌がられたから、あんまりガブガブ飲めないが、久しぶりだ。2人でゆっくり酒を飲みたい。

 あとはユーキの準備じゃな。謁見のための、洋服を用意しなければ。アンソニーやジョシュアのお古では、サイズが合わんじゃろう。ユーキは小さいからダブダブの洋服になってしまう。オリビアの知り合いに確か洋服を作っている者が居たはず。物資も安定してきたし、どうにか間に合うように作ってもらおう。

 それと、ボルフィスに行ったら、ユーキを遊ばせてやろう。きっとユーキが見たことのない物が、いっぱいあるはずじゃ。いろいろ買ってやらなくては。孫が喜ぶ姿を見るのはとても嬉しいからのう。王国に着いて、ユーキが喜ぶ姿が今から頭に浮かんでくる。

「父さん、ニヤニヤして、考えてることだいたい分かるけど、ほどほどにしてよ。アンソニーとジョシュアの時だって、母さんとオリビアに散々怒られたの忘れたの?」

「分かっておるわ。」

 確かに前、アンソニーとジョシュアにいろいろ買い過ぎて怒られたが、可愛いんだから仕方ないではないか。まあ、一応気をつけるとしよう。

 さあ、忙しくなるぞ。

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