第53話街に到着。それぞれの夜。

<ユーキ視点>

 ついに森のお外へ。ちょうど夕方です。そのまま街に向かって移動して、街に着いたのは、お父さんが言った通り夜でした。

 街の中に入ると、いろんなところで、魔力石が光って、街の中がとっても明るかったです。

 僕達の街は、食べ物とか武器とか、生活に必要な道具売ってるでしょう。この街は、魔力石をたくさん売ってるんだって。だから普通よりもたくさん、街で魔力石を使えるから、夜でも明るいんだって。


 街に入ってすぐ、マシューさんが。泊まれるお家、見つかったって。

 そのお家の場所を聞いたら、お母さんは冒険者ギルドに報告があるから、後でお家で会いましょうって、アメリアと一緒に行っちゃった。僕はしょぼんです。

 それなのにお父さんも、誰かに会いに行くって、オリバーさんに僕を渡して、後でなって言って、どっか行っちゃった。

「ふええ…。」

「ユーキ君。団長達は、ユーキ君が見つかったこと、報告に行ったんですよ。だからすぐ戻ってきます。宿に行って待ってましょうね。」

「宿?」

「ああ、今日泊まるお家のことです。」

 そうか、泊まるお家、宿って言うのか。

 オリバーさんに連れられて、お宿へ。

 そして着いたところには、大きなお宿が。このお宿は、この街で2番目に大きいお宿で、僕のお父さんみたいに、偉い騎士さん達が泊まる所なんだって。1番大きいお宿は、何か今、壊れちゃって使えなくなっちゃったんだって。そう言えば、たまに壊れてるお家が。どうしたのかな?

 お父さん達待ってたら、眠くなって来ちゃった。でも、今日はみんなでご飯食べたいから、我慢です。

 でも…。こっくり、こっくり…。ねむい…。


 ふっ、と目が覚めました。ベッドの上で寝てて、僕の隣には、お父さんとお母さんが。2人に挟まれて寝てました。マシロ達はベッドの隣で寝てます。

「ん?どうした?起きちゃったか?ほら、もう1度寝ろ。朝までまだある。」

 お父さんが僕を抱きしめながら、ベッドの中に。あったかい…。

「とうしゃん…。」

「ん?」

「おうちかえっても、しゅこしだけ、いっしょ、ねていいでしゅか?」

 なんか、今は離れたくないです。一緒にいたいです。お父さんにお願いしたら、

「…ああ、勿論だ。一緒に寝よう。約束だ。だからほら、今はもう少し寝ろ。」

 お父さんがニッコリ笑ってくれました。僕は何だか凄く安心して、またすぐ寝ちゃいました。


<ウイリアム視点>

 ユーキがまた、すーすー寝息をたてながら眠りに着いた。

「あなた、ユーキちゃん大丈夫?」

「ああ大丈夫、また寝たよ。起きてたのか?」

「何か心配で。そしたらあんな起き方するから。」

 気付いていないだろうが、今ユーキはガバッと、勢いよく目を覚まして起き上がった。あの捕まっていた時のことを、まだ心は覚えているんだろう。

 可哀想に。こんなに小さいのに、どれだけ神経を使ったことか。マシロ達がそばにいてくれなければ、今頃どうなっていたか。


 それにしても、突然男が現れた時は驚いたが、さらにユーキが現れて、息が止まるかと思った。あれだけ探し求めていた奴が、木の上で手を振っているんだ。しかもニコニコと。いや本当にビックリした。

 街に着いて、私が向かったのは領主の所だ。ユーキが見つかった事を報告すると、それはそれは喜んでくれた。また、今回捕まえた連中の取り調べを、領主と私、ザクスでやる事が決まった。数日は私達が指揮を取り、後半は領主が指揮を取る。私達は自分の街へ戻るが、何人か部下をこの街に残し、調べを進める。

 その話を終わらせ、宿に戻ると、オリバーの腕の中でユーキが寝ていた。オリビアはまだ戻っていなかった。

「オリバーすまない。遅くなった。」

 私はユーキを受け取る。いつもの可愛い寝顔だ。それを見てようやく安心出来た。ユーキが、私達の息子が戻って来た。


 オリバーを休ませるため、部屋に返してから少しして、オリビアとアメリアが戻って来た。話はまた明日と言う事になり、アメリアは自分の宿に戻って行った。皆んなそれぞれ疲れているからな。面倒くさい話は明日からでいい。

 簡単な夕食を取り、ベッドに入る。ユーキを真ん中に、2人で挟むようにして眠る事にした。マシロ達はベッドの横で、皆んなマシロにくっ付いて寝る事にしたらしい。あのマシロがおじさんと呼ぶ男は、マシロを枕にして寝ると言うと、さっさとマシロに寄りかかり寝てしまった。

 いや、別の宿に行って欲しい、と言おうとしたが、マシロとシルフィーがすごい勢いで止めて来た。妖精達も、私の周りを飛び回っている。

 森の中でのマシロの忠告。嫌な予感しかしない…。仕方なく男はそのままに眠りに着いた。

「大丈夫よあなた。」

 オリビアの言葉に、オリビアの方を見る。

「ユーキちゃんが、友達って言ったんだから。悪い人じゃないわよ。今までだってそうだったでしょう。」

「だがな~、それが問題でもあるだろう。ユーキの友達は、規格外がが多すぎる。もし政治的に力のある奴らにバレたら、守ってやれるか…。」

「あら、弱腰ね。そこは絶対守るって言わなくちゃダメよ。そんな弱いあなた、ユーキちゃんには見せないでね。あなたはユーキちゃんの憧れの騎士なんだから。まあ、冒険者もそうだけどね。」

 いやそこは、最初の部分だけで良いだろう。そんな事を思いながら、もう1度眠るユーキを見る。

 まあ、オリビアの言う通り、こいつがどんな友達を作っても守ってやるつもりだ。もう2度と、あんな失敗は許されない。必ず守ってみせる。

 そう決意しながら、私は再び抱きしめると、眠りに着いた。

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