第50話ついに再会!!

 僕達の下に、騎士の人達と、黒服の人達が居ます。皆んな戦ってます。そして戦っている真ん中の所、お父さんが見えました。

「とうしゃんでしゅ!とうしゃん、とうしゃーん!!」

 一生懸命呼ぶけど、気付いてもらえません。

 あれ、あそこで戦ってるのお母さん?ふお、ふおお!お母さんさん強い。黒服の人が遠くまで飛ばされました。

「これは、結界を張って貰っているが、主は下に降りない方が良いな。」

「ブー。」

「ブーじゃない。魔法が飛び交っている。もしも魔法が結界に当たれば、主では反動で、転がりかねん。」

 なかなかお父さんの所に行けない。さっきから止まってばっかり。皆んなの怪我も治したいのに。

「どれ、我がまた下に降りてくるか。あの黒服達を止めれば良いのだろう。早くユーキを家族に会わせてやりたいからな。」

 マシロがエシェットに確認します。黒服の人達だけ倒す事。なるべく殺さないようにする事。間違っても騎士に殺気を飛ばさない事。

 エシェットは嫌々そうな顔してます。

「我がヘマすると思うか?まったく小言が多い。あんまり煩くしてると、そのうちユーキに愛想を尽かされるぞ。」

 マシロが何か文句言ってたけど、僕に声をかけるまで、ここで待ってろって言って、さっさとエシェット下に降りちゃった。

 エシェット、間違えないでね。お父さん達、攻撃しちゃうダメだよ。

 

 上から見ていたら、エシェットが下に降りた途端に、皆んなの動きが止まりました。うんとね、止まったのは黒服の人達で、お父さん達は、突然現れたエシェットにびっくりして、それと黒服の人達が攻撃やめたから、止まったみたい。

「ふむ。やはり先ほどの奴らよりも弱いな。おい、そこの騎士ども、我が止めているうちに、此奴らを捕まえたらどうだ。ボサッとしていないで早くしないか。」

 エシェットの言葉に、騎士の人達が慌てて黒服の人達を捕まえていきます。ほんとに黒服の人達動かない。エシェット凄いね。今度どうやってるのか聞いてみようかな?

 お父さん達が全員捕まえて、エシェットの所に戻って来ました。

 早く呼んでエシェット。お父さん僕ここだよ!

「お前が誰だか知らないが、助かった、礼を言う。一応信用して良いんだよな。あの黒服を止めてくれたと言うことは。」

「ああ勿論だ。ところでこの騎士の中に、家族を探してる者はおらんか。」

「!!何故それを知っている!」

「おお、お前だったか。よし!」

 エシェットが僕達を見て、ニコッと笑うと大きな声で僕の名前を呼びました。


「とうしゃーん!かあしゃーん!」

 僕は2人に手を振りました。マシロがゆっくり下に降ります。お父さんはびっくりした顔して動きません。お母さんもです。僕のことを、エシェットが抱っこして、マシロから降ろしてくれます。

 あれ?お父さん達の所に行こうとしたけど、降ろしてもらった所から動けない。何で?早くお父さん達のとこ、行きたいのに。足が動きません。

 会えて嬉しいのに。でも、嬉しいの僕だけだったら?前のお母さんみたいに、近寄るなって言われたら?

 前のお母さんの事思い出したら、お父さん達のとこ行けなくなっちゃった…。

 左手でマシロのしっぽにしがみ付いて、右手はエシェットと手を繋ぎます。

 お母さんが僕の名前を呼びました。

「ユーキちゃん。」

 ビクッと、体が揺れました。しっぽに隠れながらそっとお母さんを見ます。僕は聞いてみました。

「とうしゃん、かあしゃん、おこってましゅか?かっていなくなって、きらい、なったでしゅか?」

 2人は黙ったままです。やっぱり嫌われちゃった?もう一緒に居られない?僕はしっぽに顔をくっ付けました。

「何バカ言ってる。」

 お父さんの声です。

「私達がどれだけ、お前に会いたかったか。どれだけお前を抱き締めたかったか。」

「そうよ、ユーキちゃん。ほら、お母さんにユーキちゃんを抱っこさせて。それで皆んなでお家に帰りましょう。」

 チラッと2人を見ます。2人はいつもみたいに、笑ってます。僕の大好きなお父さんとお母さんの顔です。

「とうしゃん、かあしゃん…。」

 お母さんが大きく腕を、広げてくれました。

「とうしゃーん!かあしゃーん!」

 僕は走ってお母さんの所へ。そして腕の中へ飛び込みました。

 お母さんがギューっと抱き締めてくれます。その後、お父さんも僕の所に来てくれて、僕とお母さん一緒に抱き締めてくれました。僕は、僕は、

「とうしゃ…、かあしゃ…、ふえ、ふええ…、うわああああん!!」

「マシロ達が居たとはいえ、今まで良く頑張ったな。怖かっただろう。すぐに迎えに行けなくてすまなかった。ユーキ帰ってきてくれてありがとう。」


 僕は、会えて嬉しいのと、寂しかったのと、いろんな気持ちがいっぱいになって、泣いちゃった。そしたらもっとギュッて、抱き締めてくれました。

 お母さんの顔見たら、お母さんも泣きながら笑ってました。

 そのままお母さんが抱っこしてくれて、アメリアとオリバーさん達のところに連れてってくれました。まだぐすぐす泣く僕に、皆んな順番に頭を撫でてくれます。リアムさんのなでなでは、ちょっと首が痛かったけど…。でもでも、皆んな僕が帰ってきて、とっても喜んでくれました。僕のお家に居る、騎士さん達もです。

 あっ、嬉しくて忘れるところだった。皆んなのお怪我治さなくちゃ。

「とうしゃん、グス、なおしゅでしゅ、えっぐ。」

「治す?何をだ?」

 僕は泣いてるせいで、うまく話せなくて、ディルを指差しながら、何とか説明しました。お父さんは、もう他の事考えてるのか、せっかくの家族の感動の再会が、他の人達に邪魔されたって、いろいろブツブツ言ってた。

 それを聞いてオリバーさんが、お父さんの事を怒りました。せっかく僕が皆んなの事考えてくれてるのにって。

 でも、僕が泣き止んで落ち着くまで、待っててくれるって。今すぐ治さないといけないお怪我してる人、いないから大丈夫なんだって。

 そっか、大丈夫なら、もう少し抱っこしててもらいたいな。お父さんにも抱っこしてもらいたい。

「とうしゃん。」

 僕はお父さんさんに手を伸ばしました。お父さんは僕を抱っこして、次に肩車してくれたよ。きゃっきゃって喜んでるうちに、いつの間にか泣き止んでた。やっぱりお父さんの肩車大好き!

 僕は、お父さんの肩車をいっぱい楽しんで、もう1度お母さんに抱っこしてもらって、今までも元気だったけど、もっと元気になりました。

 良かった。皆んなが、お父さん達が喜んでくれて。もう絶対何処にも行かないもん。ずっとお父さん達と一緒に居るんだもんね!

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