第28話新しい友達(人間)とお母さんの知り合い

 僕がゆっくりお店を見ていると、お野菜を売ってるお店のおばさんが、お母さんに声をかけて来ました。

「あら、久しぶりじゃないオリビア。最近お店に遊びに来ないから、どうしたんだろうって言ってたんだよ。」

「アニータ久しぶり。ちょっと忙しくてね。」

「まあ元気なら良いさね。で、そっちは噂のフェンリルかい。それとそっちの坊ちゃんは初めましてだね。私の名前はアニータ。ここでいつも野菜とか果物とか売ってるよ。よろしくね。」

 僕が元気良く、大きな声で自己紹介したら、アニータさん褒めてくれて、お店に置いてあった木の枝を、僕にくれました。木の枝には、何個か木の実が付いてます。

 木の実は、オレンジ色の…、りんごでした。匂いがりんごだから、多分りんご。でも大きさはぶどうの実くらい。それがたくさん木に付いてました。

 副団長さんが、これはチルの実だって教えてくれて、とっても甘くて、美味しいんだって。お家に帰ってから、食べることにしました。

「アニータ、リク君いる?確かあなたのとこのリク君と、ユーキちゃん、3歳くらいしか違わないと思ったんだけど。」

「ああ、ちょっと待ってね。ちょっとリク!こっちに来なさい!」

 おばさんが大声で誰か呼びました。ちょっとお店から離れた所で遊んでた男の子が、こっちに走って来ました。

「母ちゃん、なあに?」

「この子はユーキ君。リクあんた、友達になってあげな。まだ小さいからね、あんたがお兄ちゃんなんだから、ちゃんと面倒見るんだよ。」

 男の子は僕の前に来て、自己紹介してくれます。

「うん。オレ、リク。5歳だ。お前の名前は?」

「勇輝でしゅ。よろしくでしゅ。」

 男の子のお名前はリク君。赤い髪の毛がクルクルした男の子です。腰におもちゃの木の剣、付けてました。剣良いな。カッコイイ!

「けん、かっこいいでしゅね!」

「そうだろう、父ちゃんに買ってもらったんだ。」

「リク君、今度私達のお家に遊びに来て。ユーキちゃんと遊んであげてくれる?」

「うんいいぞ。オレ遊びに行く。ユーキ、遊ぶときにこの剣、貸してやるよ。」

「ふわ、ほんとでしゅか、ありがとでしゅ!」

 お友達も出来て、剣も貸して貰えるって。嬉しいなあ。

 僕がキャッキャッて喜んでたら、お母さんが小さい声で、考えたら、人間の子供の友達って初めてじゃないかしらって、そう言えばそっか。でもお友達になれるんだったら、誰でも良いよね。僕気にしなあい!

「ユーキまたな!」

「バイバーイ!」

 手を振ってお別れです。いつ遊びに来てくれるかな?僕は剣貸して貰えるから、僕はどうしようかな。何して遊ぼうかな。そんな事を考えながら次のお店へ。


 街の中心へ来て分かった事。それはお母さんの知り合いが多い事。ちょっと歩いただけで、道を歩いている人や、お店の人に、声をかけられてたよ。しかも元気いっぱいの人が多いんだ。あとお店は武器を売ってる人が多かったよ。お父さん団長さんだもんね。きっと武器とかたくさん必要なんだね。

 今いる武器屋の人もお母さんの知り合いです。

「へえ~。オリビアの子供か。名前はユーキね。なあユーキ、君オリビアの魔獣討ばっ…。」

「………。」

 あとね、何かお母さんの知り合いの人、皆んなじゃないけど、お腹が急に痛くなったり、頭が痛くなったりする人が多かったよ。突然痛くなるんだ。お母さんお仕事してて痛くなっただけだから、大丈夫だって言ってたけど、皆んなゆっくり休んだ方が良いんじゃないかな。痛くなる人多すぎるよ。

「オリビア様、相変わらず健在ですか。2年程、実戦からは遠退いているのに。動きが全く見えませんよ。」

「あらそう。それは良かったわ。最近動いてなかったから、体鈍っちゃって。動けてて良かったわ。」

 何の話かな?お母さん今何かしてた?僕と並んで立ってただけだよ。

 お腹を抑えたお店の人とサヨナラして、次に向かったのは、ご飯を売ってるお店。ちょうどお昼になったみたいで、ご飯のお店のまわりは、たくさん人が集まってました。


「何食べようかしらね。私達は何でも良いけど、ユーキちゃん食べられる物あるかしら。」

「確か、あのお店にお肉を煮込んだスープを売ってた筈です。それなら柔らかいし食べられるのでは。あとは、パンなど買ってきます。ここで待ってて下さい。」

 ご飯を食べる人達用に、テーブルが用意してあって、僕とお母さんはそこで、副団長さんを待ちます。

 お母さんが街は楽しい?って聞いて来ました。

「とってもたのしいでしゅ!みたことないの、いっぱいでしゅ。」

 僕がそう言ったら、マシロの毛の間から、ディルとリュカがコソッとお顔を出して、

「オレたちも楽しいぞ!」

「うんボクも。それにマシロと行動するの、思ってたより楽で良いね。毛を結んでそこに座れば、捕まって無くていいし。」

「おい、後でちゃんとほぐすのだぞ。」

 ってお話して来ました。お母さんにその事話したら、お母さんは笑ってました。シルフィーは相変わらずマシロの背中に乗って、ずっと寝てます。1度起きたけど、すぐまた寝ちゃった。

 少しして、副団長さんがご飯を持って戻ってきました。僕の前に、スープとパンを置いてくれます。パンは焼きたてでふかふか。あれ?そう言えば。僕は気になって、副団長さんに聞いてみました。

「ふくだんちょうしゃん、あの?」

「ユーキ君、私のことはオリバーと呼んでください。皆さん名前なのに私だけ副団長さんじゃ、私も寂しいですよ。」

「さみしいでしゅか?」

「はい。」

 そうか僕、お父さんの事も団長さんじゃなくて、お父さんて変えたし、他の皆んなは、名前で読んでるもんね。副団長さんだけ、仲間はずれだったね。

「わかったでしゅ!オリバーしゃん!」

「はい何ですか?」

 僕は初めて会った時、食べさせてもらったパンが、何で硬かったのか聞きました。あれ、ほんとに硬かった。石のパンです。でも、今目の前にあるパンはふわふわ。

 そしたら、あれは旅とか調査とか、長い間街に戻らない時に、良く食べるご飯なんだって。固いお肉もそう。腐らないようにしてあるから、硬くなっちゃうって。

 そうなんだね。僕、旅とか行けないや、ご飯食べられない。

 硬くない、美味しいご飯食べ終わったら、続きの街歩き。次はどんな初めて、見つけられるかなあ。

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