第27話楽しい楽しい街歩き

「さあ、ユーキ君行きましょう。」

「はいでしゅ!」

 僕は楽しみで、副団長さんが迎えに来てくれる前から、準備万端で玄関の前に立って、副団長さん待ってました。そしてお父さんも。

「…団長も行くんですか?」

「もちろん、息子の初めての街歩きだからな、ここは私も…。」

「旦那様、貴方は仕事が残っていた筈ですが。さあ、戻りますよ。もし逃げるようなら、2度と部屋から出られないようにしますが。もちろんユーキ様と街へ出かける事は、一生無いと思って下さい。」

「はい…。戻ります。」

「大丈夫よあなた。私が付いて行くもの。さあ、ユーキちゃん、オリバー、行くわよ。」

 悲しそうにお家に戻るお父さんを残して、今日は歩いて、街の中心、お店のたくさんある場所に行きます。ゆっくり見ても、街の中だから、お馬さん必要ないんだって。もちろん僕の歩くのに合わせたらダメだから、今僕は副団長さんが、抱っこしてくれてます。シルフィーはマシロの上にうまく乗って…、あれ、寝てない…?僕乗るだけで大変なのに…。ディル達は、もちろんマシロの毛の中です。


 街の中心へ近づくと人も増えてきて、皆んながマシロを見て、驚いた顔してます。

 マシロカッコいいでしょう!えっへん!僕のお友達なんだよ!!

「あの話、本当だったのか。」

「さすがウイリアム様だ。」

 とか、声が聞こえてきました。

「ちゃんと話が伝わってるみたいね。」

「そうですね。これなら大丈夫でしょう。」

 そしていよいよ街の中心に着きました。


「ふお!ふおおおお!」

 この前はすぐ通り過ぎちゃって、よく見られなかったけど、本当にお店ばかりでお店とお店の間に隙間がないよ。何かこの前より人が多い気するし。

「さあ、ユーキ君、ゆっくり歩きますからね。見たいものがあったら言って下さい。」

「はいでしゅ!」

 お店を順番に見ていきます。

 最初に気になったのは、武器を売っているお店。けっこう多いんだよ。その中でも、1番人がいるお店に行ってみます。お店の人は、おじさんですごく体の大きい人。そして怒鳴ってた。

「いいか、今のお前に合うのはこの剣だ。それ以外はまだダメだ。いいなこれにしとけ。無理して怪我するんじゃねーぞ。ちゃんと回復の魔力石持ってけよ。…、おい、お前!お前はこの前怪我したばかりだろう!今日は帰ってさっさと休め!」

 とか怒鳴ってるけど、買う人のこと心配してた。ほんとは優しい人?そんな事思ってたら、男の人がお母さんを見て、声をかけて来ました。

「ようオリビア。今日はどうした。また、新しい剣でも買いに来たか?ん?そっちのはフェンリルか。じゃああの噂は本物か?マジで契約したのか。」

 お店の人はお母さん知ってるみたい。そう言えば今おじさん、お母さんさんに剣買いに来たのかって言ってた。お母さん剣買いに来るの?お父さんの?

「違うわ。今日はユーキちゃんと、遊びに来てるだけよ。私の新しい家族よ。」

「ああ?いつの間に産んだんだ?」

「まあ、良いじゃない。ほら、ユーキちゃんご挨拶よ。」

「はいでしゅ!ぼくは勇輝でしゅ。よろしくでしゅ。」

 僕はピシッとまっすぐ立って、ご挨拶です。

「ほう、その歳で随分しっかりしてんな。俺の名前はルガー。冒険者だ。」

 冒険者さん。何する人だろう。僕が考えていたら副団長さんが教えてくれました。

 冒険者さんは、もちろん冒険はするし、街の人達や偉い人から依頼を受けて、暴れている魔獣を倒して、安全に皆んなが暮らせるようにしてくれたり、ワザと強い魔獣を倒して有名になりたい人、宝探しをしたり、いろんな事をする人達なんだって。

「ふおお、しゅごいでしゅね。ルガーしゃんは、いっぱいぼうけんしましたか?」

「ああ、もちろんだ。たくさん悪い魔獣倒したりしたんだぞ。そうそう、宝探しに、誰も行ったことのない洞窟にも行ったな。ほら、この腕のキズは、その時洞窟の中で魔獣と戦った時のだぞ。もちろん勝ったがな。ガハハハハ!」

「ルガーしゃん、ちゅよいでしゅ!しゅごいでしゅ!」

 初めてで1番最初のお店なのに、僕のテンションはもう上がりっぱなしです。僕がルガーさんを強い強いって言って、ぱちぱち拍手してたら、

「おいお前俺のこと強いって言ってるが、お前の母ちゃんこそよっぽっ…。」

 よっぽ?何?突然ルガーさんがお腹を押さえて、その場にしゃがんじゃった。大丈夫?

「ルガーしゃん、だいじょぶでしゅか?おなかいたいでしゅか?」

「ユーキちゃん、大丈夫よ。ルガーはたまにお腹痛くなるのよ。でも心配いらないの。ね、ルガー?」

「お、おお、大丈夫だ。しん、ぱい、するな…。」

 ほんとに大丈夫なの?お母さんの方を見ると、気付きました。さっきまでたくさんお客さんがいたのに、今はほとんど居ません。皆んなどこ行っちゃったの?

「さあ、時間が勿体ないわ。冒険者の事はまた今度お話してあげるから、次のお店へ行きましょうね。」

「はーいでしゅ。ルガーしゃん、バイバイでしゅ。」

 ルガーさんは手だけ振ってくれました。お腹お大事にね。


 次に僕が気になったのは、色鉛筆みたいにたくさんの色した粉でした。それがお店の中いっぱいに、置いてあって、お店の人の顔にも、粉が付いちゃってました。

 何に使うのか聞いたら、お料理とかに使うんだって。辛くしたり、甘くしたり、あとは色を付けたりするんだって。

「そうだ。ユーキちゃん、今度お母さんが、おやつを作ってあげるわ。ついでだから少し買っていきましょう。甘いお菓子作ってあげるわね。」

「わあい。たのしみでしゅ!」

 どんなおやつ作ってくれるのかな?楽しみだなあ。

 お母さんは、白と黄色と青と、いろいろな粉を少しづつ袋に入れてもらって、マシロが背負ってるカバンに入れました。このカバンもクロエさんが、マシロ専用で作ってくれました。お母さんが、僕がマシロに乗ってないときは、荷物運びして貰うって言ってたよ。

 買い物が終わって次のお店へ向かいます。今度はどんなお店かな。僕が前にいた世界とは、全然違う物ばかり売ってて、キョロキョロしちゃうよ。

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