第26話お母さんの良い考え

 この前のお話し合い?から、今日は2日目です。僕はちゃんとお約束守ってるよ。遊ぶのはお家の中だけです。お家で働いてる人達は、お父さんがちゃんと説明したから、大丈夫なんだって。皆んな信用できる人達だって言ってた。

あとお兄ちゃんが、シルフィーを可愛がる会?を、アメリア達メイドさんが作ったって、教えてくれました。

「ユーキを可愛がる会も出来たけど、そっちは黙っとこう。知らなくていい事もあるよね。あのパワーは何処から来るんだろう?」

 何かボソボソ言ってたけど、聞こえなかったよ。それに可愛がる会って、何するのかな。なでなでとかかな?僕はいつも、なでなでしてるけど。きっと皆んなも、そうしたいんだね。

 今僕は、自分のお部屋で、マシロに乗って歩く練習中です。初めて乗った時は、転がり落ちちゃった。やっぱり難しいね。

 今日の朝、副団長さんが来て、街の案内してくれるのはあさってだって言ってくれました。でもまだマシロに乗れないから、今度街へ行く時は、歩きと抱っこです。ゆっくりお店を見るのに、お馬さん邪魔になるからだって。

「さあ、もう1度乗ってごらん。」

 僕は何とかマシロによじ登ります。

「足に力を入れて、マシロの体を挟むように踏ん張るんだよ。分かる?」

挟む…踏ん張る…。こうかな?

「ふんっ!」

「ぷっ、あはははっ、違うよ。それじゃあ顔だけ力んじゃってるよ。あははは、あー可愛い!」

「面白いなお前!ハハハハハッ!」

「ブー。」

 僕、一生懸命やってるのに、お兄ちゃん達笑いすぎじゃない。

「悪い悪い、怒るなよ。ほらこうするんだ。」

 ジョシュアお兄ちゃんが僕の足を、マシロの体にキュッと押しつけました。

「ほら、こうやって挟むんだ。そのままだぞ。おいマシロ、ゆっくり立ち上がってみろ。ゆっくりだぞ。」

 マシロがゆっくり立ち上がります。

「ふぁっ、ふわあああ、のれたでしゅ!」

 転がり落ちないで乗れたよ。すごいすごい!と思ったんだけど、ずっと足に力入れてられなくて…。

「お、おおお?」

 転がり落ちそうになった僕を、ジョシュアお兄ちゃんが受け止めてくれました。

「おちちゃったでしゅ…。」

 アンソニーお兄ちゃんが頭を撫でてくれます。

「大丈夫。皆んないっぱい練習して馬とか乗れるようになるんだよ。ユーキも練習すれば、そのうち1人で乗れるようになるからね。ゆっくり練習しようね。」

「はいでしゅ!頑張りましゅ!」

 早く乗れるようになりたいな。乗れるようになったら他の人みたいに、自由にお出かけ出来るかな?そんなこと考えてたら、お兄ちゃんに注意されました。

「何考えてるかよく分かるよ。ユーキすぐ顔に出るから。乗れるようになっても、1人でお出かけ出来ないからね。ユーキはまだ小さいんだから。誰か大人の人か、僕達と一緒だよ。分かった?」

「…はーいでしゅ。」

「本当に分かってる?お兄ちゃん心配だよ。」

 大丈夫だよ。ただ僕、皆んなと遊ぶだけだもん。


 その後も、マシロに乗る練習してると、遠くからアメリアの僕を呼ぶ声が。そしてノックと一緒にアメリアがお部屋に入って来ました。

 街へ行くため必要な、準備ができたんだって。だからマシロ達も全員で、お母さんのお部屋へ来てくださって。

 お母さん準備出来たんだね。これで皆んな、お外行けるようになるんだ。嬉しいなあ。僕はウキウキしながら、皆んなでお母さんの部屋へ移動です。

「あ~あ。あれ無意識だね。スキップのつもりかな?変な歩き方になってるよ。嬉しいんだね。」

「いつもの1列歩き。何で並ぶんだろうな?面白いよな。」

 お母さんのお部屋の前に到着して、ドアをトントン。返事がありません。もう1度トントン。それでもお母さん、何も言ってくれません。どうしたの?そしたらアメリアが、音が聞こえてないんじゃって。だから僕、大きな声で、

「トントン。かあしゃん、きたでしゅよ。」

 そう言ったら、今度はちゃんとお母さんのお返事が。アメリアがドアを開けてくれます。お部屋の中には、ニコニコお顔のお母さんが。

 お部屋に入ると、お母さんとお父さん、アシェルともう1人知らない女の人が居ました。僕がお母さんの隣に行くと、お母さんが女の人を紹介してくれます。

「彼女は、お母さんの友達のクロエよ。挨拶できる?」

「はいでしゅ。ぼくのなまえは、勇輝でしゅ。よろしくでしゅ。」

「ユーキちゃんよろしくね。クロエよ。それにしてもオリビア、本当に可愛い子ね。これならバッチリよ。」

「でしょう。さあ、始めましょう。まずはシルフィーちゃん。」

 あれ?知らない人にシルフィー見せても良いのかな?そんな事を思っていたけど、お母さんが気付いて、クロエさんはお母さんの、とても信頼出来る人だから、教えても大丈夫だって、そう言ってました。

 「マシロに聞いたのだけれど、シルフィーちゃん、あなた擬態出来るのよね。」

 擬態、擬態って何?

「ぎたい、なんでしゅか?」

 マシロが説明してくれます。シルフィーは敵から逃げたり、人から隠れたりするのに、周りの色と同じ色になって、見つかりにくくするんだって。そういう力があるんだって。

 それでね、シルフィーのピンクの毛は、とっても珍しいから、色が変えられるなら、違う色に変えた方がいいって。お母さんが言ってきたのは、マシロと同じ白色でした。

「シルフィー、しろいろ、なれましゅか?」

「僕、マシロと同じ色がいい?その方がユーキと遊べる?」

 僕がお母さんをみると、お母さんが頷きました。

「うん。あそべましゅ。」

 そうしたらシルフィーの体が少し光って、その光が消えたら、そこにはマシロと同じ真っ白なシルフィーがいました。

「おおー、しゅごいですね。マシロといっしょでしゅ。」

「うん、これで良いわ。あとは羽ね。羽は隠すの無理だものね。」

「僕、羽隠せる。見てて。」

 シルフィーがまた少し光って、今度はお羽が体の中に消えちゃいました。

「ふお、おはねなくなりまちた!」

「羽、たまにじゃま。穴とか入るとき。そう思ったら、勝手に羽、体に消えた。出し入れ自由。」

 シルフィーってすごいね。何でも出来ちゃう。


 お母さんが、これで全部の問題解決ねって言ってから、シルフィーはお母さんの所に、僕はアメリアの所に呼ばれました。

 お部屋の奥に連れて行ってもらって、アメリアは箱の中から、洋服?を出しました。そしてそれを着せてくれたアメリアが、小さいお声で、天使って叫んで、すっごくニコニコお顔です。僕はビクってなっちゃった。やっぱりアメリア、時々おかしい?

 洋服を着た僕は、お母さん達の所に戻りました。そしたら、僕の格好見たお母さんも、凄いニコニコお顔です。

「やっぱり思った通り。完璧だわ。シルフィーちゃんにはちょっと窮屈かもしれないけど、額の石も隠せるし。色も白に変わってもらったから、何か言われても、ホワイトウルフの子供って誤魔化せるし。何より、とっても可愛いわ!」

 僕とシルフィーは今、お揃いのお洋服を着てます。すっぽり上から下まで1枚のお洋服です。帽子もついてて、ウサギさんの耳が付いてます。しっぽもちゃんと付いてるよ。

 シルフィーのお洋服の帽子には、リボンのも付いてて、そのリボンをちゃんと結べばオデコの石がちゃんと隠れるんだ。

「おしょろい!シルフィーかわいいでしゅ!」

 シルフィーをなでなでしてたら、お母さんが突然座り込みました。アメリアもクロエさんも。

「ど、どうしたでしゅか?」

 僕は、またまたびっくり。お父さんが抱っこしてくれて、ほっとけって言われたよ。本当に大丈夫なの?

「まあ、なんにしろ、これで外に行けるが、ユーキいいか。絶対にシルフィーの洋服はぬがすなよ。約束な。」

「はいでしゅ!シルフィー、おそとでいっしょに、あしょべましゅよ。うれしいでしゅね。」

「僕、ユーキと一緒。遊べる。嬉しい。」

 ワイワイ、もふもふ、なでなでしている僕たちを見ながら、お父さん達が何か話してました。


「それにしても、良く思い付いたな。羽、最初どうするつもりだったんだ?」

「背中から出して、羽洋服に付いてるように、見せかけようと思ったのよ。でも心配なかったわ。」

「しかし、こんなに可愛くなったユーキは、逆に目立たないか?」

「それも考えてあるわ。あの洋服、絶対に流行ると思うのよね。それで、クロエに頼んで、もう何着か作って貰ってるのよ。それをクロエのお店で売ってもらうの。街で流行って小さい子やペットにしてる魔獣が皆んな着たら、そんなに目立たなくなるわ。もちろん1番可愛いのはユーキちゃんだけどね。」

「商売の事まで考えてこれ作ったのか。…お前凄いな。」

 こうして、外に遊びに行くことが出来るようになった僕は、副団長さんと一緒に、街で遊べる事になりました。

マシロも、ディルとリュカも、もちろんシルフィーも、皆んなで一緒に遊びに行けて、とっても嬉しいです!

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