第25話やっぱり騒動は終わらない?
どれくらい経ったかなぁ。まだお話し合い終わらないかなぁ。
ディルとリュカは、ただ今僕のお部屋を探検中。いろんな所飛び回ってる。シルフィーは最初、やっぱりお部屋飛び回ってたけど、飽きちゃったみたい。今は僕のお膝で眠ってるよ。
アンソニーお兄ちゃんは、僕に絵本読んでくれてます。
題名は『ルカ王子の大冒険』
どんなお話かっていうと、僕と同じ歳くらいの小さいルカ王子が、お城の周りのお庭を冒険するお話。とってもおもしろいよ。体の小さいルカ王子は、大人の人が入って行けない場所にも入れるから、そんなルカ王子にしか見つけられない物がいっぱい。
僕も冒険してみたい。僕もお庭の冒険できるよね。だってまだ、お家の周り全部見てないもんね。小さいから、どんな所にも入って行けるし、新しい発見があるはず。今度お父さんに冒険していいか聞いてみよう。
そんな事を考えてる僕の横で、ジョシュアお兄ちゃんは運動です。…運動してるとこしか見てない。そんなお兄ちゃんを、アンソニーお兄ちゃんが嫌そうに見てました。
<トントン。>
ドアをノックする音が聞こえました。アンソニーお兄ちゃんがお返事すると、ものすごいニコニコ顔のアメリアが入って来ました。
「お待たせ致しましたユーキ様、さあ休憩室へ参りましょう。」
「その顔だと、僕の考えは当たってたみたいだね。じゃあ行こうかユーキ。さあ、みんなついて来て。」
さっきみたいに移動です。僕、マシロ、シルフィー、ディルとリュカです。
「ふふ、どうしても列になっちゃうんだね。見てる方は可愛いからいいか。」
休憩室に到着。お兄ちゃんがドアをノックすると、お父さんの声が。みんなで中に入ります。
お部屋の中には、アメリアと同じように、ニコニコ顔のお父さんお母さんが居ました。アシェルはいつも通りの、よく分からないお顔してる。アシェルはどうして、あんまり笑わないのかな?
お父さんが寄って来て、僕をギュッと抱きしめてくれてくれます。
「ユーキ、良くやった!こんなに友達(珍しい)作るなんて、素晴らしいことだ!それに私も覚悟を決めた。お前と友達の事は必ず守る。だからこらからもどんどん友達作るんだぞ!」
「おともだちたくしゃん、いいでしゅか?ありがとでしゅう!!」
僕もお父さんを、ギュッーッと抱きしめたよ。良かった。お父さん笑ってくれてる。皆んなも。アシェルさんも…。ん?今笑ってた?気のせいかな。今はいつものお顔だけど、今ニコってしてたような…。
思わずじっと見てたら、お父さんは僕を抱っこしたまま、自分のソファーに座りました。それでね、僕にお願いがあるんだって。
「ユーキは友達と外で遊ぶだろう。外で遊ぶのはちょっと待ってくれるか?」
「うゆ?」
お父さんが最初にお話ししてくれたのは、シルフィーもディルとリュカも、とっても珍しいってこと。特にシルフィーは、他の人達に、精霊だってバレちゃいけないんだって。もしバレたら意地悪してくる人がいて、またお怪我しちゃうかもって。なんで意地悪するの?意地悪ダメなんだよ。
「でね、ユーキちゃん、お母さんね、シルフィーちゃんが誰にも意地悪されないように、ユーキちゃんとゆっくりお外で遊べるように、いい考えがあるの。その用意ができるまで、少しだけ、お外で遊ぶの待ってもらえるかしら。大丈夫。すぐお外で遊べるわ。」
シルフィーが意地悪されるのやだ、お怪我するのもダメ、可哀想だよ。そのための準備なんだよね。ならちゃんと待たなくちゃね。
「わかりまちた!おそとであしょぶのまちゅでしゅ!」
「ユーキちゃんいい子ね。そうと決まればアメリア、行動開始よ。さあ、ユーキちゃんを待たせないように、手際良く行動するのよ!」
「もちろんです奥様!これもかわいいユーキ様のため、全力で行動しますわ!」
「まずは採寸よ!さあやるわよ!」
お母さんの掛け声で、お部屋の中はいっきに騒がしくなりました。まずアメリアがヒモみたいので、身長とかお腹とか、僕の体のサイズを測って、次にシルフィーの大きさを測ったよ。
「さあ、次はあの部屋へ移動して、作業開始よ。ああ、あの人もちゃんと呼んでね。」
「もちろんです奥様!すぐに手配いたします!」
…バタバタと、お母さん達お部屋出て行っちゃった。何だったんだろう?
部屋の中がまた静かになって、今度はディルとリュカのお話。
普通の人は、妖精さんに特別な粉かけてもらわないと、言葉が分からないんだって。僕みたいに話せる人居ないから、知らない人がいる所では、あんまりお話ししないようにって言われました。やっぱり悪い人達が僕達に意地悪してくるかもしれないから、もし話さなくちゃいけない時は、粉をかけて貰った事にしなさいって。
「主、移動の時は2人を、我の毛の中に隠して移動すれば良い。2人とも、毛の中に隠れてみろ。」
2人がマシロの毛の中に入ると、全然見えなくなったよ。2人とも飛んで移動できない事、最初文句言ってたけど、マシロのもふもふのマシロベットが気に入って、なかなか出て来なくなっちゃった。
ん?そう言えば、マシロ大きいまま街に行っても良いのかな?
「とうしゃん、マシロおおきいまま、まちいってもいいでしゅか?」
「ああ良いぞ。マシロはユーキの友達だろう。私の友達にもなったんだ。だからそのままの大きさで大丈夫だ。でもな、小さくしないといけない場所もあるから、そのときはちゃんと小さくするんだぞ。ちゃんと首輪も忘れずにな。」
「はいでしゅ。」
あれ、そう言えばいつの間に、お父さんマシロとお友達になったんだろう。ま、いっか。皆んなお友達、嬉しいね。
「とうしゃんも、ともだちなったでしゅか。よかったでしゅね!」
マシロが大きいまま街に行けるなら、マシロに乗る練習頑張らなきゃ。街の人達、魔獣に乗ってる人もいたよね。僕もふもふもマシロに乗って動きたい。今のままじゃ絶対落ちるし。よし、今日から練習だ!
「とりあえず今、急いでユーキに伝える事は、これくらいか?」
「そうですね。今のユーキ様には、ここまででしょうね。後は、何処かへ出かける時は、必ず誰かがついて行けばいいでしょう。目を付けられないようにしなければ。」
「そうだな。ふう、何か飲み物が飲みたいな、頼めるか。」
アシェルさんが出て行ってから、もふもふを堪能した2人が戻ってきました。2人がマシロの毛の中で、動き回ったせいで、マシロの毛がボサボサに。あ~あ 、せっかくのもふもふが…。僕のもふもふベッド…。ブラシが欲しいなあ。
「父さんお疲れ様。朝から大変だったね。今日はもう、驚く事ないといいね。」
「やめてくれ、本当にそうなったらどうする。」
アシェルが飲み物を運んできてくれて、朝ご飯食べてなかったから、お父さん達にはパンとスープ、僕にはスープと果物を、持って来てくれました。ディル達は僕達のご飯が気になったみたい。飛び回って、皆んなの邪魔してた。
「ディルだめでしゅよ。みんなのごはんでしゅ。リュカもでしゅよ。」
「なあユーキ?」
「なんでしゅか、ジョシュアにいしゃん?」
ジョシュアお兄ちゃんがディル達に方見て、話しかけてきました。
「妖精の2人の事、どうやって見分けてるんだ?今だって、ちゃんとそれぞれに話してただろ。俺には同じ光に見えるんだけど。」
「うゆ?ひかりでしゅか?ひかりディルもリュカも、いっしょでしゅよ?」
「じゃあ、どうやって?」
「ディルもリュカも、おかお、ちがいましゅよ。おようふくもちがいましゅ。ジョシュアにいしゃん、ちゃんとみてくだしゃい。」
ゴホゴホゴホ、急にお父さんがすごい勢いで、咳しました。
大丈夫?やっぱりお父さん疲れてるんじゃ、ゆっくり休んだほうがいいよ。マシロもふもふベット貸してあげようか?
ん?また皆んな変な顔してる。今度はどうしたの?
「ユーキあのさ聞きたいんだけど、2人の妖精ってどんな格好してるの?」
「ふえ?どんな?えっとディルは、みどりのおようふくきてて、リュカはきいろいおようふくきてましゅ。ちゃんとみてくだしゃい。ぜんぜんちがいましゅよ。」
僕が答えると、お父さんはまた、ガックリして下を向いちゃって、お兄ちゃん2人はなんか凄く笑ってて、アシェルはやっぱりさっきみたいに、顔を横にふってた。
どしたの?
「アンソニー、お前があんな事言うからだぞ。」
「父さんごめんごめん。」
アシェルが教えてくれました。普通の人は妖精さんの姿、分からないんだって。ただの光にしか見えないんだって。
そうなんだ。僕ってほんとにラッキーだね。やった!
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