第22話朝はいつでも大騒ぎ?1

「昨日はユーキ様に、可愛そうなことをしてしまいました。泣かせるなどもってのほかです。気を引き締め直して、仕事に勤めねば。さあアメリア、先ずは、朝のご挨拶から参りますよ!」

 <トントントン>

「ユーキ様、朝ですよ。起きてくだ………!だんなさまあああ!ユーキ様があああ!」

 うーん、誰叫んでるの?もう少し寝かせて。昨日、たくさん友達出来て、まだ眠たい………。

 僕がそのまま寝てたら、また誰かが、僕を起こしに来たよ。

「…キ、ユーキ、起きろユーキ、朝だぞ。」

「うゆう、まだ眠いでしゅ…。」

「ダメだ起きろ。目を覚まして、コレの説明をしてもらう。何でこんな事になってるんだ。」

 こんな事?何かあったっけ?僕ただ寝てただけだよ。確かに寝たの遅かったけど、それはお友達が出来たからだし、それだけだよ。何も変わった事ないよね?うん、異常なし!

  ペロペロと僕の手を舐めて来たのは、昨日友達になった、精霊さんのシルフィー。良かった。どっか行っちゃってなかった。シルフィーの姿見て、やっと目が覚めて来たよ。そうだ、ちゃんとご挨拶しないと。

「おはよ、ごじゃいましゅ…。」

「ちゃんと挨拶出来ていい子ね。おはようユーキちゃん。」

「ほら、先ずは顔洗って、ちゃんと目を覚ませ。マシロ、お前はユーキの準備が出来るまで、その生き物達の面倒を見ていろ。いいか、この部屋から出すなよ。」

 顔を洗いに、お母さんに連れて行ってもらって、また部屋に戻ってきました。そして今度はお着替え。今日の洋服は、アメリアが選んでくれた。お着替えが終わる頃、やっとちゃんと目が覚めたよ。


 そして今、僕は自分の部屋の椅子に座ってます。横にはマシロ。肩にはディルとリュカ。お膝にはシルフィー。

もふもふ、モコモコ、キラキラに囲まれてます。そして、そんな僕たちを囲んでいるのは、お父さんお母さん、お兄ちゃん2人に、アシェルにアメリアです。

 皆んな困った顔してるけど、どうしたの?今日は部屋も壊れてないし、まったく問題ないですよ?

「ユーキ。まず、その羽が生えてる生き物はなんだ?」

 お父さんが最初に話しかけて来ました。僕はシルフィーの自己紹介します。それから、妖精さんのディルとリュカの事も聞かれたから、2人の自己紹介も。ちゃんとに紹介出来たよ。バッチリ!

「あーちょっと待て。アシェル、私は聞き間違いをしたか?精霊と妖精と聞こえたんだが。」

「間違っておりませんよ。確かにユーキ様はそう仰いました。しかも友達だと。」

「そうか聞き間違いじゃないか、そうか、そうか…。ユーキ夜に何があったか話せ。全部だ。マシロお前はちゃんとユーキの話聞いてろ。ユーキだけじゃ、友達で終わってしまう可能性がある。」

 僕ちゃんとお話し出来るよ。今だって、ちゃんと自己紹介出来てたでしょう。何でマシロ?僕がそう思ったら、マシロまで分かったって。ブー、何で。

 僕は、夜にシルフィーがお怪我をして、僕のお部屋に来た事。魔力石が使えないから困ってたら、ディルとリュカが来て手伝ってくれた事。お怪我が治ったシルフィーにどうしてお怪我したか聞いて、それから、もふもふなでなで、させてもらった事。たくさん友達ができて嬉しい事を、説明したよ。

 ほらね、ちゃんと説明出来たでしょう。出来たよね?

「マシロ、間違ってないか?」

「まあ、大体はそんな感じだ。」

「そうか。分かったような、分からんような。で、何で妖精はユーキと契約したんだ。力を貸してくれたのは分かったが、本来妖精はなかなか人間と契約しないだろう。」

 それはな、ユーキといると、きっと面白いからだ!って、ディルが胸を張って答えました。リュカも、うんうん頷いてます。

 僕がディルが言ったこと、お父さんに言ったら、お父さんの動きが一瞬止まりました。アシェルが首を横に振って、お母さんとアメリアはとってもニコニコしてます。そんな2人にアンソニーお兄ちゃんは、ニコニコしないように言ってて、ジョシュアお兄ちゃんは…。ジョシュアお兄ちゃん、話始めてからずっと運動?してない?

 「マシロ?今妖精はユーキに、妖精の言葉が分かる粉をかけたか?それとも、夜にかけて貰った粉の力がまだ残ってるのか?私には今妖精が、キラキラ軽く光っただけに見えたんだが…。」

 ふいっとマシロが横を向いたよ。そう言えば、ディル達も粉の事言ってた。

 僕が、粉がなくても、お話出来るよって言ったら、お父さんは黙ったままガックリって感じで、下を向いちゃった。大丈夫お父さん?何か疲れてるみたいだけど、僕の椅子に座る?

 アンソニーお兄ちゃんが、困った顔しながら、僕に近づいて来て、軽く頭を撫でてきました。

 「ユーキ、それは大丈夫じゃないんだよ。兄さん、マシロだけでも結構驚いてたけど、それくらいで驚いてちゃいけなかったね。精霊の事もあるし。て言うか、ユーキがウチに来て、まだ2日目だよね。それなのにコレ?凄くない?」

「旦那様ここは1度、休憩室へ移動した方が。どうも話が長くなりそうです。ユーキ様にきちんと説明しませんと。どこまでご理解頂けるか分かりませんが。」

「…ああ、ああそうだな。ユーキ休憩室へ行こう。」

「はーいでしゅ!」


 お父さん疲れてるみたいだから、早く休ませてあげないとね。皆んなで休憩室へ移動です。先頭をお父さん、次にお母さん、次が僕です。僕の後ろにマシロ、次にシルフィー、その後ディルとリュカ。

「ねえ、面白いねジョシュア、皆んな真面目に、きちんと1列にならんでる、誰もはみ出てない。面白くて可愛い。」

「ほんとだな。あの真面目な顔もなんとも。」

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