第13話カージナルの街へ 2

 お父さんは少し行ったら、って言ってたけど、なかなか森から出ませんでした。僕には長く感じるけど、お父さん達にとっては少しなのかな?

 それでも森の中には、まだまだ発見があって、全然飽きることなんてなかったよ。

「とうしゃんしゃま、あれは、なんでしゅか?」

「ん?あれか?あれはな、リアムとってくれ。」

「はいはい。」

 リアムさんが、僕が見つけた木の実を採ってくれて、僕に渡してくれました。

「ありがとでしゅ。とうしゃんしゃま、これたべられましゅか?おいしいでしゅか?」

 見た感じ、その木の実は黄緑色をしていて、りんごが赤くなる前みたいな感じです。まだ食べられないかな?あっ、それよりもまだお父さん、食べられるって言ってない。もしかして、食べるものじゃなかったりして。

 僕ね前に、テレビで見たことあるよ。木とか葉っぱとか、木の実使ったて、紙とか作ってるの。

「ユーキ、これは食べるんじゃないんだ。飲み物なんだよ。」

 …。飲み物!!僕の考えてたのと、全然違ったよ。これ飲み物なんだ…。どうやって飲むのか、じっと木の実を見つめて考えていたら、

「どれ、貸してみろ。」

 お父さんは僕から木の実を受け取ると、お馬さんに付けてる、縄から手を離しナイフを出して、木の実の上の部分を、切り始めました。

 縄はね、手綱って言うんだって。お馬さんに乗るのに、大切なんだって。それなのに手綱、離しちゃっていいの?誰もそのことに何も言わないから、大丈夫なのかな? あっ、でも、お父さんだから大丈夫なのか!団長さんだしね。

 木の実の上の部分を切って、僕に下の部分を渡してくれました。受け取った木の実を見ると、中が空洞になっていて、その中に水?が入ってました。

「ほら飲んでみろ。美味しいぞ。」

 僕はそっと、ひと口だけ飲んでみました。

「!!!。」

 もうねびっくり、木の実の中に入ってたお水は、サイダーでした。僕サイダー大好き!嬉しくて固まってたら、お父さんが

「はは、ビックリしたか?甘くて、シュワシュワしてて、美味しいだろう。」

 そう言って、凄くニコニコしてました。

「はいでしゅ!」

 木の実の名前は、ソルダって言うんだって。こういう森に多く生えてて、森の中を歩く人は、お水の魔力石、忘れちゃった時に、よくソルダを飲むんだって。それとね、疲れてる時に飲むと、その疲れが取れるんだ。皆んなそうなんだって。不思議だね。


 お馬さんは、どんどん進んで行きます。僕はサイダーに喜んでて、周りをちゃんと見てませんでした。お父さんが、ほら木が少なくなって来たぞって。僕は慌てて周りを見ます。今までより、全然木がありません。森のお外が、もうすぐだからなんだって。

 そしてついに…。


 僕達は、森のお外に出ました。

 この世界に来て、森以外の初めてです。ゆっくり周りを見ます。何処までも続く、長い長い一本道と、その周りは、草原でした。前の世界は、いろいろな物が、ごちゃごちゃしてた感じだけど、ここには道以外、何もありません。でもね、僕、こっちの方がいいや。だってね、なんか綺麗だよ。

「よし、森を抜けたぞ。ここからは、この一本道を、進むだけだ。」

 道を進むと、この世界に来て、お父さん以外の人達を、たくさん見ました。皆んないろんな格好をしてて、たくさんの荷物を、運んでる人達が多かったよ。時々、お父さん達みたいな、剣を持って歩いてる人達もいます。

 歩いている人以外にも、よく分からない箱みたいので、移動している人達、副団長さんが言ったみたいに、マシロみたいな魔獣に乗って移動する人達がいて、本当に、いっぱいの人が、街に向かって移動してました。

「たくしゃん、ひと、いましゅ。びっくりでしゅ。」

「この道は、大きな街から大きな街に行くための道だ。皆んなが使う道だから人が多い。村へ行く道だったら、こんなに人はいないぞ。たまにすれ違う程度だ。」

 その後も、僕は、キョロキョロと周りを見て、どんどんお父さんに質問します。そしたらお父さんが。

「ユーキ、少し落ち着け。オリバー、少し休憩しよう。」

「クスクス、では、休憩にしましょうか。」

 お父さんが僕の質問に疲れちゃって、休憩することになりました。

 今日は、他の人達がたくさん居る所だから、お昼ご飯食べません。人が多い所で、ご飯とか作ったら、邪魔になるかもしれないからだって。だから副団長さんが、僕におやつを出してくれました。もちろん飲み物は、さっきのソルダです。


 少しの休憩のあと、街に向けて再出発。僕は、お父さんと居て安心してて、いつの間にか寝ちゃってました。

「…キ、…ユーキ起きろ。街の壁が見えて来たぞ。」

 お父さんの声に、目をを擦りながら前を見ます。そこには、遠くからでも見える、壁が見えてきました。ここから見えるなら、あの壁、きっと大きいんだろうなあ。それでね、どんどんその壁に近付いたら、ほんとに、ほんとに大きな壁でした。

「しゅごく、おおきいでしゅ!」

「そうだろう。この壁の中に街があるんだ。大きな壁は、街を守るために建てられているんだ。」

 壁が大きくて、中の街は全然見えません。これなら街も安全だね。そしてついに壁の前まで到着です。

「とうしゃんしゃま、なんでみんな、ならんでるでしゅか?」


 お父さんが、説明してくれます。あの壁の前には、お父さん達みたいな騎士さんが立っていて、この街に入ろうとしてる人達を調べたり、持ち物を調べたりしてるんだって。もしも悪い物を持っていたりしたら、街には入れません。街の人達が、お怪我とかしたら大変だから。そうならないように、騎士さん達が確認するから、時間がかかっちゃって、あんなに並んでるんだって。なら僕達も、早く並ばなきゃ。

「はやくならぶでしゅ。はやくまちに、はいりたいでしゅ。」

「ユーキ君、私達騎士は、特別に別の入り口から入れるので、あの列には並びません。ほら、あっちに別の入り口があるでしょう。あそこから入るんですよ。」

 騎士さんは、特別なの?お父さん、団長さんだからかな。

「とくべつでしゅか、しゅごいでしゅ。はやくいくでしゅ!」

「待ってくださいね。ここで待ち合わせをしているんです。その人が来たら、街に入れますからね。」

 誰を待ってるんだろう、早く壁の中、入りたい!街はどんなかなあ。面白い物、たくさんあるといいなあ。


 もう目の前は街なのに、なかなか中に入れなくて、ワクワク、ソワソワです。

「間に合うと、いいんですがね。これ以上帰りが遅いと、いろいろ聞かれますからね。伸ばせるギリギリの時間です。」

「大丈夫だ。アイツがいるんだからな。」

「そうですね。団長よりも優秀ですからね。」

「…。一応私は、団長なんだが?」

 早く、待ち合わせの人来ないかなあ。まだかな、まだかなあ。

 

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