第9話カージナルの街へ 1
パカパカ、馬に揺られながら、木の間を進んでく。考えたら馬に乗るの初めて。
この世界に来て、初めての事ばかりで、僕の心はずっとドキドキしっぱなし。今だって、見たことのない木や花や虫を、キョロキョロしながら観察中です。
「ユーキ君楽しいですか。」
僕を支えてくれている副団長さんが、僕が質問する事に、ひとつひとつ丁寧に説明してくれます。
「はいでしゅ!とってもたのちいでしゅ!」
「街にはもっと、色々な物がありますよ。」
「いろいろでしゅか?」
「そうです。カージナルは沢山人が集まる場所なんです。そのおかげで、お店も多いですし、売っている物も、珍しい物が多いです。街に住んでいる私でも、物が多過ぎて、わからない物が、まだまだ沢山あります。」
副団長さんが分からないくらい、沢山色々な物があるんだ。凄いね。カージナルはそんなに大きい街だったんだ。僕が前にいた所は、あんまりお店とかなかったよ。マンションばっかり。
僕、迷子にならないかな?それにお店で売ってる物とか、絶対知らないものばっかりだよね。今だって、知らない物ばっかりで、オリバーさんに教えてもらってるのに。
でも、楽しくそうだなあ。
「ぼくも、みてみちゃいです!」
「なら、案内は私がしますね。」
「いいでしゅか!」
副団長さんが、案内してくれるって。やったあー!
「もちろん。ユーキ君と一緒なら、きっと楽しいでしょうね。」
「なら、私だって…。」
と、団長さんが話しかけてきたきたけど、
「貴方は黙ってて下さい。まだ反省中のはずでは?」
「はい…。すみません…。」
副団長さんに睨まれちゃって、団長さん、またすぐ静かになっちゃった。副団長さんの言うこと、ちゃんと聞かなくちゃね。また怒られちゃうよ。そんな団長さんの姿を見て、マシロはすっ、と後ろの方に下がって行っちゃいました。
「ほかには、なにが、あるでしゅか?」
「そですねえー。そうだ、魔獣もたくさん居ますよ。」
「たくしゃん…。こわくないでしゅか?」
僕はビックエアーバードのことを思い出した。あんな魔獣が街に居たら、大変じゃない?街の人たち皆んな、お怪我しちゃうよ?
この時の僕は、マシロがその魔獣よりも、もっと危ない魔獣だなんて知らなかった。
「大丈夫ですよ。ユーキ君はマシロと友達ですよね?」
「はい!ともだちでしゅ!」
「街に居る魔獣は、ほとんどが誰かの友達なんです。」
そっか、僕みたいに皆んな、お友達なんだね。じゃあ大丈夫だね。あっ、それなら僕、マシロの他にも、お友達出来るかな。マシロは1番の友達だけど、僕、前はお友達居なかったから。だからお友達たくさん出来たら嬉しいな。
「ぼく、マシロだいしゅきでしゅ。たいしぇつな、おともだちでしゅ。でも、もっとたくしゃん、おともだちなりたいでしゅ。おともだち、できりゅかな…?」
「大丈夫。ユーキ君ならたくさん友達が出来るはずです。でも、無理やり友達になってはいけませんよ。相手がユーキ君と友達になってもいいと、一緒にいてもいいと思ってくれたら、友達になりましょうね。」
「はいでしゅ!」
それからね、街に居る魔獣は、お仕事のお手伝いもしてくれるって、教えてくれました。今のマシロみたいに、重い荷物を運んだり、僕みたいに魔獣に乗って、街から街に移動したり、だからね、街には魔獣が多いんだって。
魔獣のお話聞いてたら、急に副団長さんが、さっきの事、大事な事言うの忘れてたって。
「友達になってからも、その友達が嫌がることを、やってはいけません。悲しませることもダメです。自分の考えを押し付け、相手の気持ちを考えないのもダメです。これが1番大切な事です。ずっと仲良しでいたいでしょう?お友達は大切にしましょうね。」
「はいでしゅ!おともだち、たいしぇちゅ、しましゅ!」
良い子って言って、頭撫でてくれました。それから、後ろのバカ2人みたいに、ならないようにって。団長さんとマシロの事でした。バカって言っちゃった…。2人がもっとショボンとしちゃいました。
パカパカお馬さんの足音が、近付いて来ました。マシューさんが、副団長さんの隣に来て、話しかけてきました。
「あれだよな、お前。」
「何ですか、マシュー。」
「お前って容赦ないよな…、お前だけは敵に回したくないわ。」
「そうですか?では敵に回らないように気をつけて下さいね。大丈夫ですよ。ちゃんと常識的に対応して貰えれば、私が敵に回ることはありませんから。」
「ああ、気をつけるよ。」
そう言って、また離れて行っちゃいました。
それからも副団長さんは、色々な話を聞かせてくれました。
話を聞かせてくれている最中でも、森の中に、僕が興味を示す物があれば、話を中断して詳しく説明してくれます。それに疲れてないかとか、眠くなったら支えているから眠っていいとか、ほんとに優しいんだ。
でもね、なかなか森から出ないから、不思議に思って聞いてみたよ。そしたらね、あと少ししたら外に出れるみたいなんだけど、街に行く頃には真夜中になっちゃうから、もう1日、森の出口でお泊まりするみたい。出口の所に、お泊まりするのに良い場所があるんだって。
そんな話をしているうちに、僕はいつの間にか、寝ちゃってました。
「…くん、…君、起きてください。ユーキ君着きましたよ。」
「うにゅ~、おはよ?ごじゃいましゅ…。あしゃでしゅか…?」
「クスクス。ユーキ君、今は朝じゃありませんよ。夕方です。」
言われて確認したら、空が綺麗なオレンジ色でした。それから周りを見たら、狭いけど、皆んなで寝るのは大丈夫な場所です。
「ユーキ君、2人が何か、言いたいことがあるみたいですよ。」
「うにゅ?」
副団長さんの後ろに、マシロと団長さんが立っていて、僕の目の前まで来ると、2人で僕に、ごめんなさいして来ました。
「ユーキ、すまなかった。自分のことばかりで、ユーキを困らせて泣かせるところだった。本当にすまない。」
「我もだ。我は主を守るべき存在なのに、泣かせようとするとは、まったくもってすまない。このとおりだ。」
2人一緒にごめんなさいです。
「もう、けんかしましぇんか?なかよし、できましゅか?」
「「もちろんだ!」」
2人の声が一緒でした。
「じゃぼく、もう、おこりましぇん。みんな、なかよしでしゅ!」
「「ユーキ(我が主)!」」
2人が駆け寄って、抱っこして頭を撫でてくれたり、顔を擦り寄せてきたりしました。なかなか離れてくれなくて、僕が2人にくちゃくちゃにされてたら、また副団長さんに怒られてました。
ノアさんのご飯が出来るまで、みんな仕事があるから、1人で遊んでいられるかって、聞かれたけど、マシロがいるから大丈夫って言うと、みんな納得して、それぞれの仕事するのに、離れて行っちゃった。
ご飯何かな~。
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