第3話出会い
「マシロ、なにがくりゅの?」
「ああ、これから主の家族になる者達が、さっきの騒ぎを聞きつけてやって来るのだ。本当は主の目がさめる場所が、その者達の近くのはずだったのだが、あの、バカ神め。」
マシロ、神様のこと、バカって言っちゃってるけど、いいのかな?でも今はそれより、マシロ、今家族って言った?本当に?
「ぼくに、かじょくができゆの?」
「そうだ。神が選んだ者達だ。だが、あちらはまだ、我々の存在を知らない。何か質問されたら、答えられる事だけ、返事をすれば良いだろう。」
神様、僕に友達作ってくれただけじゃなくて、家族も作ってくれたの?ありがとう!
「わあああ、たのしみでしゅ!ぼくのかじょく!かじょくもできて、ともだちもできて、ぼくとってもうれしでしゅ。もうしゅぐなの?」
「ああ、間もなくだ。気配が近づいて来ている。」
もうすぐ、僕の新しい家族に会える。僕は、ウキウキしながら、家族になってくれる人達が来てくれるの待ちました。
しばらくして、木の向こうから、ガヤガヤざわざわ人の声と、ガチャガチャと、金属の擦れ合う音が、僕達の方へ近づいて来ました。でもね、僕何か急に、不安になっちゃった。もし嫌われて、家族になれなかったらどうしよう。 このままここに置いてかれちゃったら…。僕が不安になったの気付いたのかな?マシロが、声を掛けてくれました。
「大丈夫だ主人。何があっても、我は側に居ると言ったであろう。」
あ、そうか。そうだよね。今から会う人達と家族になれなくても、僕にはもうマシロが居てくれます。僕はマシロの、ふわふわな毛に抱きつきます。とっても気持ちいいんだよ。マシロの言葉に、僕とっても安心しました。それでねマシロにありがとうしました。
マシロに抱きついてたら、木と草が生えてる方から、ガサゴソって音と、ガチャガチャって音が聞こえてきました。
「さっきの大きな騒ぎは、この池の方か?」
「ええ、確かにこちらの池の方角です。」
「全く、何があれば、あんなに大きな爆発のような音と、風が吹き荒れるんだ、一体何が…。」
そして、よしここだなって言う声と一緒に、男の人達が現われました。皆んな同じ、カッコイイお洋服着てます。それでマシロに抱きついてる僕と目が合いました。男の人達が驚いた顔して、ピタって止まりました。そうだよね。こんな毛がふわふわでカッコいいマシロ見たら驚くよね。でもね突然、1人の男の人が、
「全員剣を抜け!」
って言いました。そしたら他の男の人達が全員、ザッと剣を抜きました。え?どうしたの。何で皆んな剣出したの?
「何でこんな所にフェンリルが!あんな小さい子供まで!フェンリルに捕まったのか!」
「隊長、どうしますか!相手がフェンリルでは、我々だけでは到底敵いません!」
「分かっている。しかし、子供を放って置く訳にもいかんだろう!」
もしかして僕がマシロに捕まってると思ったの?
そうか、こんな大きなマシロと、小さい僕だもんね。知らない人が見たらマシロが僕のこと襲ってるように見えるのかな?ちゃんと男の人達に大丈夫って言わなくちゃ。
団長と呼ばれてた人が、僕に話しかけて来ました。
「大丈夫か、今助けてやるからな!」
僕を助けようとしてくれてる優しいおじさん。ちゃんと僕を見て、お話してくれました。嬉しいなあ。この頃お母さん、あんまり僕見てくれなくてちょっと寂しかったから。あっ、早くお返事しなくちゃ。
「ぼくは、だいじょうぶれしゅ。マシロいいこでしゅ。ケンカはだめでしゅよ。」
僕の返事に団長さんが、えっ?ってお顔しました。
「今何て。」
「マシロはぼくの、おともだちでしゅ。こわくないでしゅよ。」
僕の言葉に、その場にいた人達が顔を見合わせて、何かごにょごにょ話し始めました。でも剣はそのまま。少しして、最初に声をかけてくれたおじさんが、また話かけてきました。
「本当に大丈夫なんだな。剣をしまうが、いいんだな?」
「はいでしゅ!」
僕が元気よく、手を挙げてお返事すると、団長さんがボソッと、
「可愛い…。」
って言ってから、剣をしまいました。そうでしょう。マシロは毛はふわふわ、綺麗な色だし大きいし、カッコいいでしょ!僕の大切なお友達だよ。ん?可愛い?カッコいいだと思うんだけどな、まあいいか!
他の人たちも、団長さんに続いて剣をしまいました。これでケンカにならないね。
団長さんが横を向いて、あっちに倒れてる、マシロがさっき倒した、鳥の魔獣に気付きました。
「これは…、ビックエアーバードの変異種か!」
「わからないでしゅ。でも、マシロとってもつよいでしゅ。まもってくれまちた!」
僕が、マシロは凄いっていうのを、小さいな両手を一生懸命上げながら、説明しようとしたら、なんか団長さん達、みんな手で口をおさえて、プルプルしてた。何で?僕何か、笑われること言ったかな?なんかまた、さっきみたいに不安になってきちゃった。
そしたら今まで黙っていたマシロが僕を庇うように、大きな尻尾で包んでくれました。包まれるとあったかくて、安心出来ます。
「何故笑っている。主をバカにしているのか。」
「は?いや、え、しゃべっ、まさか、フェンリルの上位種…。」
「質問に答えろ。」
「いや、別に笑った訳ではないんだ。あんまり可愛い仕草なものだから、つい。」
「もう、わらわないでしゅか?」
マシロの尻尾から顔だけ出して、団長さんに声をかけます。
「うっ…、大丈夫だ、笑ったりなどしていないよ。君が可愛くてみんな、顔が緩んでしまっただけなんだ。」
よく分かんないけど、僕、変な事言って、笑われたんじゃないんだよね。良かった。
「くくっ、主は誰よりも可愛いからな。」
今度はマシロが笑いました。もう、何でみんな笑うの。僕だけ分かんなくて、ちょっとヤダ。ぶー、僕は口を尖らせました。
「すまんすまん、怒るな主。」
マシロとちょっとだけケンカしてたら、向こう側で団長さん達がまたプルプル震えてたの、僕は知りません。ちょっとして僕とマシロが静かになると、団長さんが僕の名前を聞いてきました。
「君、名前は、どうしてここにいるか、教えて貰ってもいいかな?」
団長さんは、僕と目線を合わせるように、膝をついて話しかけてくれたよ。
「いいでしゅよ。」
最初はちょっとだけ、バタバタしてたけど、僕は僕の家族になってくれる人達と出会う事が出来たよ。
ん?神様のこと、どうやって説明しよう?神様のこと、言わない方がいいよね。そんな気がする。知らない人に、連れてきて貰った事にすればいいかな?どうしよう。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます