第18話

そういえば俺から話を掛けたことはなかった。改めて女の子に声を

掛けるという難易度が非常に

高い高度なミッションを挑まないといけない。俺は出来る!と心中で奮い立たせてシリウスブラックの前に。


「お、おお、お待たせ」


「・・・・・」


「あの、シリウスブラックさん?読書中に申し訳ありませんけど

場所を変えませんか。ちょっと気になって」


「・・・・・」


返事はなかった。ただの読書家のようだ。・・・字を追うその目には

無視しているわけではないと

雰囲気で分かった。

どうしたものかと悩んでいると。


「ねぇ夢中になっているところ申し訳ないんだけど、いいかな?」


トントンと肩を叩く楓。初対面で、それって・・・さすがリア充。

肩をビクッと震わせるシリウスブラックは目を上げて楓の顔に怖い気持ちや怪訝そうな表情。

横を動かすと俺と目が合う。


「あっ、アグニ!来てくれたんだね。よかった来てくれて・・・」


シリウスブラックは腰を上げ俺に満面な喜色を浮かべる。


「もちろんだよシリウスブラックと約束したんだからね。

もしかして待った?」


「ううん。全然」


(どう話をするか考えて悩んだけど、いざこうして話をすれば

話しやすいよなぁ)


本を閉じるシリウスブラック。


「へぇー、あんたがシリウスブラックねぇ」


「なっ!?貴様は?」


シリウスブラックのセリフがいつものような口調になり楓に問う。


「私は二本松楓よ。よろしくね」


「あっ、これは御丁寧にどうも。わたしは芦名詩端あしなうたはと言います」


二人は、仲良く握手を交わす。

シリウスブラックが一瞬だけ複雑そうな表情していたが気のせいであろう。

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