第15話

今日の授業を全て終わり放課後を報せる終鈴しゅうれいが教室に鳴る。そして、それは忘れてはいけない誓いを忘却ぼうきゃくした事を思い出させるものとなった。


(・・・や、やってしまった。

シリウスブラックと約束した事があったんだった!)


今日は帰宅しようと約束した楓。

シリウスブラックと約束の場所。

いわゆるダブルブッキング。


(俺ってこんなに記憶力が無かったけ?ど、どうしようか)


早く放課後と祈っていた俺はすでにいない。過去をさかのぼれる能力とか目覚めないかなと現実逃避を始める始末。分かっている、打開案を

考えないといけないことは。

しかし現実逃避とかしないとソウルジェル絶望の末に魔女とかなりそう。


楓が帰り支度をしてカバンを入れている。猶予ゆうよはない、刹那的な時間で解決策を思いつかないといけない。

そ、そうだ!急な用事が出来たからと言って一緒には帰宅出来ないと言えばいいんだ。


一応、その用事の理由も考えよう。えーとバイトとか新しいゲームが発売日とか。

最後の案は絶対に無しにして、

これで行こう。


我ながら策士すぎる、歴史の授業であった黒田官兵衛くろだかんべえのような

作戦だ。けど、教諭が戦場で作戦を考えたり外交がすごいと言っていた?まぁ、いいか。とりあえずすごく頭がいいことで。


(楓には、明日でも一緒に帰宅の約束をしてシリウスブラックに

会いに行くとしよう。楓って

俺が他の女の子と話すと露骨に

嫌な顔とか質問攻めするしなぁ)


中学時代では素っ気なかったくせに高校に上がってからは、よく

話すようになったから俺が変な

女の子に引っ掛かってだまされていないか心配とかさせたくないしなぁ。

そんな感慨深くなっていると楓が

立ち上がり後ろにいる俺の席へと 向かう。


(幼馴染としてよく知っているつもりだけど、楓の頬が赤くなる

理由が全然、分からねぇよなぁ)

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