第14話

流石さすがに彼女と一緒に

帰ることに罪悪感を覚えた俺は

楓の彼氏である留守海斗るすかいとに休み時間にラインメッセージで送る。


「・・・マジかよ」


ラインスタンプで、クマがサムズアップの「わかった!」と数秒で

続けて美少女キャラが「応援している!」と返してきたのだ。


「はぁー・・・どうなって」


彼女と帰ると知れば戸惑うか

怒るかがだと思っていたらこれだ。罵詈雑言ばりぞうごんな言葉に傷つく事を決めていた俺は応援というなぞの返事に、ただ、ただ混乱する。


「ねぇ、一緒に食べない?」


「うぉー!?か、楓かよ」


小さなお弁当巾着きんちゃくを右手で持ってグラウンドがよく見える一番後ろの窓際にすわる俺に。


「な、何よ。私が誘って気持ち悪いとか言うの」


「いや、そんな事を誰も言っていないだろ。そうじゃなくて

俺じゃなくてもいいだろ事だよ」


「・・・と、友達が少ないから」


「・・・何ていうか、うん。

俺も楽しみにしていた。どこで食べる楓?」


「ねぇ、今の間は何?

もしかしなくても同情とかしているのよね。絶対そうだよね!」


「屋上というものいいけど、

変な噂とかされるのかな?

どこにする」


「堂々とスルーしないでよ。

・・・えーと、屋上」


いたまれない気持ちになってしまい俺はスルーした。

極力そこに触れずに傷つかないために。教室を出て屋上を目指す

けど予想外な事が起きた。


「好きです。付き合ってください」


「喜んで!」


屋上で女の子が勇気を振り絞り告白していた。見事カップルできた瞬間・・・爆発してくれ。


「「・・・・・」」


屋上ドアの隙間すきまから見ていた俺と楓は、音を立てないよう気をつけて階段を降りることにした。


「楓、確認だけど俺で

よかったのか?」


断念して、屋上から出てもばったりと新カップル遭遇しない

人気ひとけもない踊り場で

食事することになった。


「急に何?やっぱり、いやだった」


箸で唐揚げを口に運ぶ途中だった楓は入れる前にそう返事した。

そして怒っているし不安そうだしの顔で。


「マイナス思考すぎるだろ。

だって幼馴染で自分で言うと悲しいけど風のような男だし」


「風のような男って・・・

その話は終わり。

ねぇ、どこに行くか話をしよう」


「そうだな・・・映画とか?」


「わぁー、いいよね。

うん、行こう!」


思いついた考えもなしの言葉に

楓は嬉しそうに食いついてきた。

びっくりするなぁ、情緒不安定でもなったのか楓は。

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