第12話閑話Ⅰバレンタインデー
「ねぇ、他の女の子にバレンタインチョコとか貰っていない?」
放課後、
ショートボブヘアーの茶髪は地毛で染めたような不自然さは無い
光沢感がある。そして
(これ、上目遣いなんだろうけど
「バレンタインチョコ?ハッ」
「な、なによ!その態度は」
「楓も知っているだろう。
俺が貰ったのは情けで貰った楓のチョコだけなんだぞ」
三ヶ月前の2月に貰ったのは二つのみ。その時は中学生最後に貰ったのが義理チョコを何度も連呼
する楓のと母さんの貰って2つという現実に膝をついたものだ。
もし、シリウスブラックに知り合っていたら貰っていたのだろうか。
「そ、そう・・・も、もしもだけどそれが本命だったら嬉しい?」
あっ、これ
「んなわけねぇだろ」
「な、なによ・・・・・」
言葉だけなら鋭いが、小さくなって弱々しくなる声に俺は驚いた。
彼氏がいるのに、どうしてそんな
反応をするのかを。
「・・・冗談だよ。ほら、楓って
可愛いだろ。だから変な事を言うけど嬉しいかったんだよ。
たとえ義理チョコでもなぁ」
「・・・・・」
「お、おい!
目を丸くなって驚きやがって、
両手を組んで薄く赤い頬した楓を
俺は落ち着かない気分になる。
「はっえ?そ、そんなこと無いし!
あまりにも
「滑稽って、なんだよそれは。
本当に、どうしてそんなことを」
「・・・女の子があんたを見つめていた子がいたのよ」
「はぁ!?」
「はぁー!?どうして疑いの目なのよ。半信半疑とかじゃないの」
「自慢じゃないけど、そんな好意を
事をしないといけないんだよ俺は」
ゲームでは百戦錬磨の俺が、そんなイベントを見逃すことは無いと自負している。リアルでも
決して見逃さずにいようと思っている。逆に言うと思っているだけ。
「・・・あんたマジでバカ過ぎるから。超絶な鈍感でしょうあんたは・・・・・私の気持ちを気づけ」
「くそっ、散々と言いやがって。
で最後の言葉で気持ちを気づけってどういう意味?」
一瞬とはいえ俺に恋を抱くような
発言にも聞こえたが、幼馴染として楓が一筋で相手を
想う奴だって知っている。
だから
「っ〜〜〜!バカァァーー!!」
「どわあぁ!!?」
楓は罵声を叫んで教室を出る。
窓越しから夕陽が眩しい中で俺は
いくらなんでも、その返事はないだろと心でツッコミため息をこぼす。
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