第11話

今日は念願の土曜日だ。インドア派の俺は決して外に出るという愚を冒さない。それを喜びを覚えるのはリア充だけだ。


「ヨシヨシ引きこもっていないで外で遊びにいきない」


「そうだ!」


昼食で家族と一緒にテーブルに囲んで食べていると母さんが困った

事を言う。父さんは心底どうでもよさそうに母さんに加勢する。


(いや母さんはともかく父さんは

俺の気持ちをしているだろう。

同じインドア派として)


母さんはいかにも学生時代は、

ヒエラルキー頂点にいそうな種類になる。父さんの接点があるとは

思えない対極な二人。

俺は出されたお茶をすする。


「母さんは外が楽しい場所と考えているけど家でも楽しむことは

いっぱいあるんだぞ」


「どうせゲームとかアニメとか

でしょう」


「ああ、そのとおり!

ネトゲとか古い名作や今期を観るという使命があるんだよ」


「その通りだな」


父さんは、黒縁メガネをクイッと

意味もなく上げて俺の意見に頷く。


「ハァー、どうしてそうなのよ。

楓ちゃんとデートとか誘ってみたらどう?」


呆れと諦念のため息をこぼして、

母さんは楓とデートを行くように

促すような言葉に俺は首を横に降る。


「彼氏がいるんだよ楓は。

だから、今頃はその彼氏とデートだと思うぞ」


「あれ?彼氏がいたの・・・おかしいなぁ。2日前に会ったときは

ヨシヨシに好き好きオーラを

あんなに出ていたのに」


母さんは、手をあごに触れて混乱する頭を整理して思考を巡らす。父さんはヘッドホンを

つけて再びスマホでアニメを観ているのだろう。正直、行儀が

悪いからいい加減に改善してほしい。


「そんなわけで俺は一日中、家にいるから母さんはコスプレとかに行くの?」


絶対に他の人に知られたくないが

母さんは三十路を過ぎた立派な

おばさんなのに見た目が20代前半とよく周囲はそう驚くが、

それはコスプレのために維持をしていて父さんとよく行くのだ。

小さい頃の俺も連れていかれたのが懐かしく思うぜ。


「ええ、そうなのよ。

ストブラやグランドオーダーの

コスプレをしていっぱい写真を撮るから楽しみにしていてね」


「あ、ああ。けど写真は別に

見たくないから」


何が悲しくて母親の女子中高生が着る格好を見ないといけないのか。それを理解してくれないか

この人はと露骨に嫌な顔をしたが

にこやかに顔を傾けるだけで、

駄目だと悟った俺は自棄やけになりつつ早食いをした。

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