第31話 GvG準決勝戦
一回戦を快勝した僕たち――と言っても、僕は応援しかしていないんだけど――は二回戦と三回戦も勝利し、準決勝へと駒を進める事が出来た。
残り二回勝つ事が出来れば優勝で、クリスを守る事が出来る!
いずれも時間内に相手のギルドマスターを倒して勝利しているから、周囲の皆も盛り上がっている中で、
『只今より、GvG準決勝の相手とバトルフィールドを発表いたします。尚、発表直後にワープしますので、御注意願います』
『天使護衛団の準決勝の相手は、ギルド「魔法中年隊」。バトルフィールドは、コロシアムフィールドⅢです』
次のGvGの相手と戦場が発表された。
すると、コージィさんとシュタインさんが険しい表情を浮かべる。
「なぁ、シュタイン。次の対戦相手のギルドだけどさ……」
「あぁ、コージィの言いたい事は分かるよ。ちょっとヤバいかもな」
「そうだよな。名前からすると、魔法攻撃主体って感じだろ? フィールドによっては、ツバサちゃんが直接狙われかねないな」
なるほど。
うちギルドは前衛のキャラが異様に多いから、相手が僕の所まで来る事は今まで一度も無かった。
けど、相手が魔法攻撃主体となると話が変わってしまう。
ある程度離れていても、魔法で直接攻撃されて、僕が戦闘不能になってしまったら、皆が元気でも負けになってしまうんだ。
「だから、次の戦いはツバサちゃんの装備を、魔法防御の高いものに変えよう!」
「そうだな。うん、これは仕方が無い。ツバサちゃんを守る為だっ!」
「そう。決して、俺たちが色んなツバサちゃんの衣装を見たいという訳では無く、GvGで勝つためなんだ!」
ん? 何だか、皆が僕に集中してない?
しかも、皆ニヤニヤしているような気もする。
「さぁ、ツバサちゃんっ! 今こそ、オレが用意したこの服に着替える時だよっ!」
「……あの、それってレオタードですよね?」
「もちろん。昨日、GvGが始まる前にも話したけど、魔法防御が非常に高い装備なんだよ! さぁ、ツバサちゃん!」
そう言って、ピンク色の薄い生地のレオタードが渡されてしまった。
『桃色レオタード+6をを受け取った』
昨日は+5って言っていなかったっけ!? 更に精錬させてきたのっ!?
装備の精錬ってお金とアイテムが必要だって言っていた上に、昨日の時点では僕が装備しないって話だったのに。
レオタードを渡してきたオジサンの気合と意気込みを感じるけれど、けど、それでも僕がピンクのレオタードって変だよ。
ただ唯一の救いとしては、レオタードと言っても子供用なのか、フリルみたいなヒラヒラのスカートが付いているタイプだっていう事だろうか。
それでも変態チックなのには変わりないんだけどさ。
「ツバサちゃん。早くっ! GvGが始まっちゃうよっ!」
レオタードを提供してくれたオジサンが、満面の笑みで微笑みかけてくる。
この装備はスクール水着並みに恥ずかしい。でも、GvGに負けてクリスが攻撃されてしまう事に比べたら、恥ずかしいなんて言っている場合じゃない。
クリスの……クリスの為だっ!
意を決してアイテム欄からレオタードを装備する。
「やったぁぁぁっ! レオタード最っ強っ!」
「むぅ……ブルマも良いが、確かにこれも悪くない」
「スク水も……スク水もお願いぃぃぃっ!」
薄い。触った時にも感じたけど、生地が薄いよ。
あのスクール水着よりも薄いんじゃないかな。
幸い、足は白いタイツになっているから……って、僕は男として色々と失っちゃいけない物を失っていないだろうか。
「さぁ、ツバサちゃん。体操服と同じ様に、これにもセット装備があるから、こっちも装備して」
『トゥシューズ(ピンク)+4をを受け取った』
『シニヨンネット+5をを受け取った』
いいよ。もう何でも来いだ。
バレエダンサーが履く靴と、頭に着ける飾りかな? よく分かんないけど、装備するよっ!
『バレエセットが装備されました。魔法防御力と敏捷性が大幅に上昇します。尚、年齢制限モードのため、年齢適合により上昇率が五倍になります』
渡されたアイテムを装備すると、体操服と同様にセット効果が発動し、年齢適合で効果が更に向上した。
けど、このレオタードは、明らかにもっと幼い子用だよね?
年齢は適合していないと思うんだけど。
しかし、僕の内心のツッコミなどお構いなしに、皆がジロジロと見てくる。
く、クリスの為なんだからっ!
この格好を何故かアオイが気に入ったらしく、物凄く褒められ、抱きつかれているうちに、
『時間になりました。只今より戦闘開始です!』
GvGの準決勝戦が始まった。
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