第24話 レイドバトル
FOからログアウトしてネットで調べてみると、攻略Wikiにレイドバトルの事が載っていた。
『祝 レイドバトルイベント解放!
ただし、解放条件はサーバ毎に誰かがメインクエストを進める必要あり。
「魔王の子」のクエストを終わらせると、解放されると思われる。
尚、現時点では誰でもレイドバトルに参加出来る訳ではなく、GvGで優勝したギルドメンバーのみがレイドバトルに参加出来るようだ。
※メインクエストが進むと、全員参加可能になるかもしれない。
ちなみに、魔王の子の名前はクリス・フォン・ヴァルモーデン。
レイドバトルで戦う相手が、このクリスだと思われる』
「何だって……どうしてクリスが!?」
シュタインさんの言っていた通り、GvGで優勝するとクリスと戦える……って、クリスと戦いたくなんてないよっ!
それにクリスだって、ちょっと中二病な所はあるけれど、かくれんぼや鬼ごっこが好きな普通の男の子だよ。
GvGで優勝するような、大きなギルドに所属する、大勢の人たちと戦いたいだなんて思わないと思うんだけど。
一先ず、再びFOへログインし直すと、
「あ、ツバサちゃん! おかえりっ! 急にログアウトしたから、お姉ちゃんビックリしちゃったよー」
「いやー、ツバサちゃんが戻ってきてくれて良かったぜ。これで戻ってくれなかったら、変な事を言いだしたシュタインをボコボコにする所だったぜ」
「ん? 誰が誰をボコボコにするって? やれるもんならやってみな……って言いたい所だが、とりあえずツバサちゃんが戻ってきてくれたから、良しとしよう」
すぐさま三人に囲まれる。
「あれ……ツバサちゃん、大丈夫? 何だか、悩んでいるみたいだけど。お姉ちゃんでよければ、お話聞くよ?」
「アオイ……あのね。実は、さっきシュタインが言っていたクリスの事なんだけど……クリスは僕のお友達なんだ」
「えっ!? そ、そうなの!?」
「うん。街で一緒に遊んだり、二人でダンジョンへ狩りに行ったりしたんだ」
「そ、そうなんだ」
「でね、どういう訳か、GvGで優勝したギルドの人たちとクリスが戦わないといけないみたいなんだけど……これ、何とか止められないかな? クリスが大勢の人たちから攻撃される所なんてみたくないんだ」
先程スマホで調べた時に思った事を、そのまま素直にアオイへ話してみると、いつもよりも優しく抱きしめられた。
「ツバサちゃんは優しいね。そうだよね。お友達が、皆から攻撃される所なんて見たくないよね」
「うん。やだよ」
「でも、このレイドバトルは私たちじゃ止められないと思うの」
だよね。
ゲームの中のイベント? みたいなのになっているもんね。
けど、どうしてクリスが選ばれてしまったのだろう。
本当に普通の男の子なのに。
どうしたものかと考えていると、アオイが意外な事を口にする。
「けど、一つだけ方法があるわ。すっごく大変だけど」
「えっ!? アオイ、どうにか出来るの!?」
「えぇ、そうよ。それは、ツバサちゃんがギルドを作って、GvGで優勝すれば良いのよ。そうすれば、レイドバトルに参加出来るのは優勝したギルドメンバーだけだから、お友達を傷付けずに済むじゃない」
「……なるほど! そっか。でも、GvGで優勝なんて……ううん。クリスの為に、優勝するんだ!」
いつも学校ではボッチな僕が自分でギルドを立ち上げるなんて、思ってもみなかったけど、クリスを護る為だ。
ギルドを作ってGvGで優勝する!
自分の中で決意を新たにしていると、
「うぉぉぉーっ! ツバサちゃんのギルドだって!? そんなの入るに決まっているだろっ! ツバサちゃん! 俺をツバサちゃんのギルドに入れてくれっ!」
「俺もだっ! ツバサちゃん、俺は前衛職でも盾役、いわゆるタンクっていう皆を護るクラスの三次職なんだ。GvGでは間違いなく役に立つから、俺もギルドへ入れてほしい!」
「ツバサちゃん。お姉ちゃんも、もちろんお手伝いするからね?」
三人ともが僕のギルドへ入って、協力してくれると言ってくれた。
非常に嬉しく喜んでいて、ふと思う。
……ギルドって、どうやって作るんだろう。
「あの、ところでギルドって、どうやったら作れるんですか?」
「確かギルドフラッグっていうアイテムを持って、冒険者ギルドへ行って申請するだけのはずだよ。ギルドフラッグは持っているから、あげるよ」
「あ、ありがとうございますっ!」
「で、申請時に必要なのがギルドの名前と、ギルドのマークだ。マークは後で変更出来るから、先ずは変更出来ないギルドの名前をどうするか考えないとね」
なるほど。ギルド名は変更不可なのか。
優勝するために強い人が沢山入って欲しいから、強そうな名前が良いのかな?
それとも、ギルドの目的を分かり易くハッキリさせるような名前が良いのかな?
「えっと、ギルドの名前って、例えばどんなのが良いのかな?」
「そうだねー。例えば……スク水同好会とか」
「え……スク水? シュタインさん、それってどういう意味ですか?」
何かの神様の名前とか、神話に出てくる英雄の名前とかを考えていたんだけど、シュタインさんから予想外過ぎる名前が出て来て困惑していると、今度はコージィさんが口を開く。
「まったく。シュタインはセンスが無いな。ツバサちゃんが困っているじゃないか」
「ほぉ? じゃあ、コージィの名前を聞かせてもらおうじゃないか」
「ふっふっふ。その名も、天使ちゃんと愉快な仲間たち……だな」
「うーん。何だか普通だな」
えっ!? 今のって普通なの!?
十二分に意味不明で変じゃ無いかな?
天使ちゃんって誰だよって感じだし、ギルドに全く関係無さそうなんだけど。
アオイも混ざってギルド名を考えていると、
「お、何だ? 何の話をしているんだ?」
冒険者ギルドに立ち寄った他のプレイヤーたちが、僕たちの会話に混ざってきた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます